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元作詞家の「Xmas にはこれを聴く!!」Side A

♬ Christmas Time

Bryan Adams

 私がこの曲を初めて聴いたのは、以前にも述べたアルバイトをしていたそのクリスマスシーズンでした。仕事はレストランのウェイター、当時日本で一番忙しいと言われた青山のその店には、クリスマスとなれば当然多くの予約が入りました。クリスマス特別ディナーと称した(確か)三日間は基本皆さん同じコース・メニューを召し上がるのですが、そういう時代だったのでしょう、そこに見る光景は今思えばとても滑稽なものでした。

 私が主に担当した二階のテーブル配置、片側壁に沿ってカップル用の小さめなテーブルが十卓程…一直線に並ぶのですが、勿論ここは全て奥側の繋がったシートに女性、手前席に男性といった形でLove Loveなお二人が占拠する訳です。メニューの説明と食前酒のサービスが済むと、全てのテーブルでプレゼント交換が始まります。面白いのは男性から女性へ手渡される紙袋若しくはパッケージが、八割、九割と言っても過言ではない確率であのライトブルーの “TIFFANY” のものであること。お互いに隣接のテーブルを意識し合いつつそれを開けては喜んでいるのです、ほぼ一斉に。そして食事が始まればこれもほぼ同じペースで同じものを食しております。そんな感じで一晩二回転、少々羨ましく思いはしたものの正直「何がいいんだか…?」と客観的に冷めた目で見ていた記憶があります。全てが「いっせーのーせ!」で構成された芝居のようでした(笑)。

 そんな時にBGMの有線で流れていたのがこの楽曲。一日中そこにおりますと何度もこれを聴く訳ですが、初めて聴いた私は
「えっ、これ誰の曲? R.スチュアート? B.スプリングスティーン?」
など思いながら曲の良さを感じました。
「あー、B.アダムスか…」

 と申しますのも当楽曲、当初発表は一般市場へではなくファンクラブに向けての限定盤でありました。その後ラジオのオン・エア時等に問い合わせが殺到、日本での人気上昇に伴い「日本のファンのために」とCDがリリースされます。そんな経緯からある意味 “幻のシングル” とされておりました。

 私の心を打ったのは、サビに向かって高揚を感じるメロディーの心地良さ、決してヒット狙いではなかろう純朴な詞、そしてそれに何故かマッチした彼の掠れたヴォーカル。何故こんな良い曲をそれまで知らなかったのかと後悔の思いさえありました。

There's something about Christmas time
クリスマスの時期には何かがある

Something about Christmas time
何かがあるんだ

That makes you wish it was Christmas everyday
だから毎日がクリスマスだったらいいのにって思うんだよ

他の部分は是非皆様なりに訳してみて下さい。私も改めて歌詞を見て大変に驚いたことがあります。その内容こそ、今世界が迎えようとしている大変容とその先の未来をまさに表現したものなのです。上記のようなSomethingを何かお感じにはなりませんか?

The world would be a better place

今年のクリスマスには本当に何か良いことが起こったりして…

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