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日々の料理、日々の飲み物 7月16日 奈良漬

この時期は保存食的なものをよく作る。
というか、梅の仕事あたりから、やることが増える。

なぜだろう?と考えることがあり、自分なりに考えてみた。

1つは夏は食材の足が速いから。
昔は冷蔵庫なんてなかっただろうから、どの食材も、湿気と暑さでどうも痛みやすくなる時期である。
なので、塩や砂糖で菌の繁殖しにくい環境で保存するか味噌、酒粕などの好ましい発酵菌が豊富な中に食材を入れて、保存した。

もう一つは、菌の繁殖が旺盛になるからこそ、発酵食品が重宝された。
さっきの考察からすると逆の考え方になるのかもしれないが、いろいろな菌が繁殖しやすい時期だからこそ、良い菌が繁殖しやすい環境を作り、発酵させ、美味しく食材をいただく。

あと、付け加えるなら、夏は疫病が流行りやすいので、こういう発酵食品を食べて腸内を健全に保つみたいなのもひょっとしたらあったかもしれない。

そんなことを考えながら、今日はかりもり(愛知の伝統野菜)で奈良漬を作る。

本来なら白瓜でつけることが多い奈良漬ですが、梅雨に入る頃から、夏にかけて出てくるかりもりで奈良漬を我が家では作る。

右側の大きなウリがかりもり

これを半分にわり、種と周りのゼラチン状の部分を丁寧にスプーンでこそげ取る。(これが結構重要。この周りのゼラチン状のものが残っていると、塩が入りにくいのと、漬かった後に食感が悪くなる)

続いてかりもりに対して20%の塩で塩漬けにする。

切り口が上になるようにして、窪みと切り口に塩をする。大きめの袋(45lくらいのもの)に入れてやるとこのあとの作業がやりやすい。

できれば丸い桶のような漬物容器の方が良い(うちの漬物容器が全てで払っていたので、今回は急遽100均で購入。

かりもりに対して10倍の重石を乗せて、5日ほど塩漬けにする。

1日か2日で水が上がり、かりもりが塩水に浸かった状態になる。

5日後。
かりもりの水分をとり、陰干しを半日から1日行う。
この時、水で洗わない。洗ってしまうと塩が抜け水っぽくなる。

しっかりと乾かしたら、漬物用の酒粕とザラメを用意する。


かりもり4キロに対して漬物用の酒粕は4キロ ザラメは800g

漬物用の酒粕はなかなかスーパーで手に入りにくいが、近くに酒蔵があるのなら聞いてみると大体持っている。酒粕を常温でさらに発酵させたもので、通常の酒粕より色が褐色で、味はなめらか。大体5-7月の間が手に入りやすいと思う。

我が家ではいつもお世話になっている、原田酒造さんのものを使用する。

漬物樽にビニールをしき、
酒粕にザラメを混ぜたら、容器の下に酒粕を敷き詰める。
そしてその上にかりもりの切り口が下になるように乗せる

その上にまた酒粕を乗せ、またかりもりをのせる。

全てかりもりを乗せ終えたら、最後、酒粕で蓋をする。

最後、空気を抜きながらビニールの口をしばり、重石を乗せて寝かせる。

塩っぽいのが好きな方はこのまま半年から1年くらいつける。

甘めが好きな方は、1ヶ月で酒粕を変えて今度は酒粕に対して10%くらいのザラメを加えて着け直します。

この時の漬け変えた酒粕は捨てずに、来年またつける時用に置いとくといい。(その時は、砂糖はいらないが、つけ直しの時の砂糖を15%くらいにする)

1年後(去年つけたものです)

べっこう色を超えて、ほぼ黒く仕上がってます。

見た目はイマイチですが、塩分は程よく抜け、甘みがしっかりある。
ご飯にももちろん合うし、日本酒やコクのあるお酒との相性が良い。

これをつまみながら、冷酒がしあわせなのである。

待つしあわせ。

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