SNS上で私を誹謗中傷していた茨城県警元警部の略式起訴について

 SNS上で私の中傷を続けていた茨城県警の元警部が、侮辱罪で略式起訴されたとの連絡に接し、まずは安堵しております(事件番号:令和6年検第2368号)。

 元警部は、私を恒常的に中傷していた複数のアカウント(すでにその多くについては開示請求済です)とやり取りを行いながら、私に対する侮辱を繰り返していました。また、元警部が侮辱を書き込んでいた対象は私に留まらず、ロシアによる侵略に耐えるウクライナや、同国に心を寄せる人々、国際政治学者、私が勤務する筑波大学、そして中国や韓国等と言った隣国、さらに皇室に至るまで、多岐にわたっていました。報道にあった「バケモノ」や「ヒステリーババア」などの私に対する罵倒は、元警部による問題ある書き込みのほんの一部にすぎません。「醜い女に『醜い』と言っただけで刑事告訴するのか。言論の自由の弾圧だ」という趣旨の非難が私に向けられていることは承知していますが、そうした非難は今回の問題の本質を全く捉えていません。

 このことに加えて元警部は、私が法的手段を採ったあとにも、反省している形跡は全く見られませんでした。このため、私は元警部から持ちかけられた金銭的和解の一切を拒否し、告訴を取り下げませんでした。

 元警部は、私への中傷を行っていた時期に茨城県警で生活安全課長を務めており、私の個人情報には容易にアクセスできる状況にあったのではないかと思料しています。このため本件の発覚後、私は茨城県警に対して複数回にわたり「元警部が私の個人情報に不当にアクセスし、その情報を不当に他のアカウントに共有した形跡はないか」という疑問を呈し、調査をお願いしていましたが、この点について今日に至るまで、茨城県警からは明確な返答はありませんでした。

 また元警部は、私の職場である筑波大学に極めて近い場所に居住しています。このため現在も、私は元警部と勤務地近辺で遭遇するリスクを抱えています。私の容姿を侮辱した先方は私の顔を知っていますが、私は元警部の顔を知りません。従って出勤途中で元警部に会ってしまっても、私はそれに気づくことも出来ません。このため私は茨城県警に対し、自衛のためにもこの元警部の顔写真を私に見せて欲しいとお願いしてきましたが、元警部のプライバシーを保護するという理由で、その要望も叶えられませんでした。

 このため私は現在も、元警部の顔を知らないまま、彼の生活圏内で勤務を続けざるを得ない状況です。このため、私の公的・私的生活は大きく制限を受け続けています。自分自身の身の安全を守るため、つくば駅から勤務先まで、自己負担でタクシー通勤を余儀なくされました。また、私は毎年度、学生を引率して国際政治関連のテーマを扱った映画を近隣の映画館まで観に行っていましたが、その映画館は元警部の居住地からほど近い場所にあり、今年度に関しては学生を守るため、映画鑑賞を行うことは叶いませんでした。

 このような茨城県警が管轄する茨城県の学校に、私の子どもを通わせることは出来ません。私の子どもには、第一志望校を含め、茨城県内のすべての私立学校への出願を断念させました。また、茨城県警からは元警部が私の個人情報にアクセスしたかどうか、その情報を漏洩していないか等の懸念事項に関する明確な返答も得られていない状況では、現在の住居に安心して住むことは出来ません。私と家族は転居を検討しています。この事件は、元警部が略式起訴を受けたことで完結してなどおらず、引き続き私と家族の生活を脅かし続けています。

 なお、今回の刑事告訴の内容やタイミングに関し、SNS上で複数のアカウント(実名で運営されている研究者のアカウントを含みます)が事実無根の憶測に基づく非難を書き込んだり、刑事告訴そのものを「言論抑圧」と見なして私を激しく中傷したりした複数の事例を把握しております。私は被害を受けて泣き寝入りしなかったにすぎず、完全に無関係の第三者から憶測に基づく二次加害を受けるいわれはありません。
 そもそも、侮辱の被害を受けて法的手段に訴えたということは、だれしもに認められた権利を行使したにすぎません。むしろ、この刑事告訴に関する事情を知るはずもない第三者が風説を流布することこそ、大きな問題ではないでしょうか。これまでにこの刑事告訴に関連してなされた悪質な書き込みは、すでにすべて記録を取り、弁護士や警察、検察に情報共有していること、今後も続く場合はどなたであろうと躊躇なく法的措置を採る所存であることをお伝えしておきます。

 現職の警察官から、自らの娘・妻・母親がインターネット空間でつきまとわれていたことを知ったときの私の家族の衝撃と動揺はいかばかりだったでしょうか。私以上に不安な思いをさせてしまい、今でもその不安が完全に払拭されるに至っていない私の家族には、詫びても詫びきれません。

 それでも、この元警部が起訴されたことは、私と私の家族にとっては重要な安心材料となりました。ここに至るまで、気の遠くなるような煩雑なプロセスを支えて下さった担当弁護士の先生に深く感謝申し上げます。また、ご自身の仕事や生活を犠牲にしてまで、元警部の膨大な書き込みを分析し、証拠を残しながら、私を支え励まし続けて下さった方々に、心からの感謝を申し上げます。

 皆様にはご心配をおかけいたしましたが、私は今後徐々に、本件を受けて控えていたSNSでの発信を元に戻す等、以前の生活に戻すための努力を行っていく所存です。
 
 私に対する誹謗中傷が完全に収まる日は来ないのかもしれませんし、私がこうした発信を行うことを待ち構え、次なる中傷の材料にしようとしている方々もいらっしゃることでしょう。しかし恐れず、負けずに、なすべき仕事を続けて参りたいと思います。

 最後に、このようなことがあっても、変わらず私に発信の機会を与え続けて下さったメディア各社の方々や、私の発信を受け止め続けて下さった皆様に、心からの感謝を申し上げたいと思います。

                           2024.11.6
                                                                                                東野篤子


追記:今年6月に本件について最初に報じられた際には、私の勤務先である筑波大学の広報に取材依頼が殺到し、大変な負担をかけてしまいました。
 このため広報と相談の上、私の側でも直接取材を受け付けられるよう、申し込みリンクを作成しました。
 このリンクはまだ生きておりますので、私に対して本件での取材を希望される場合は、従来通りに大学広報を通していただいてもよいのですが、以下のリンクからお申し込み下さっても対応可能です。

https://docs.google.com/forms/d/1zrIhMDamhi0KM_071HtC9e724N9K49CgJDh45KYJEAo/edit

なお申し上げるまでもありませんが、私への取材に関しては、私と弊学広報とのあいだで情報共有が出来ていることを改めてご報告いたします。

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