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ジャスミンと児童労働

このたび、個人的に大変に気になる記事を目にしました。

フランスの化粧品大手ロレアルが所有するランコムと、米国のエスティーローダーが所有するエアリン・ビューティの2社が販売する香水が、エジプトで児童労働に基づいて収穫されたジャスミンを用いている可能性がある、というものでした。

エジプトは、世界のジャスミン生産量の約半分を占めているとのことです。

上記のBBCの記事では、
「多くの高級ブランドを所有する一握りの企業が予算を切りつめており、材料費の支払い額が非常に安くなっている。そのため、エジプトのジャスミン収穫者たちは、収穫作業に子どもを使う羽目になっている」
と説明されています。

強制労働、児童労働をめぐるEUの措置は近年厳しさを増しており、EUは2023年12月にも、域内で流通する製品が児童労働に関わっていないか、監査を強化する決定を行ったばかりです(2027年以降本格的に施行される見通し)。

今回はランコムとエアリン・ビューティだけが名指しされたわけですが、香水の原材料としてのジャスミンは幅広く使われており、今後調査が進めばこの2社の香水だけでは済まない可能性が高いと思われます。

その際、欧州の香水業界は原材料確保の方法の抜本的な見直しを迫られるのではないでしょうか。

このニュースが私にとってとても気になるのは、私自身がジャスミンを用いた香水に目がなく、今もジャスミン香水放浪の旅の最中だからです…

様々な香りの要素を重層的に楽しめる香水も素敵なのですが、私は「ジャスミンがガツンと香る」香水が断然好みでして、今のところディオールの「ジャスミン・デザンジュ」に落ち着いています。

(その前は、ゲランの「アクアアレゴリア ジャスミノラ」(廃盤)も、私には少々甘過ぎに感じられたものの、好きな香水の一つでした。)

よりジャスミン度の高い(?)香水を探し歩くのを楽しみの一つにしていた私にとって、今回の報道内容は大変衝撃的なものでしたし、香水製造プロセスにおける児童労働の可能性にほとんど思いを馳せることがなかった自分を深く反省したのでした。

「ジャスミン・デザンジュ」は、晩夏のニースのジャスミンの香りをイメージした…とされていますが、ニースのジャスミンだけで原材料がまかなえるとも思われませんので、今回問題になっているエジプトのジャスミンを使用している可能性も大いにあるでしょう。

今後の調査を待ちたいところですが、サプライチェーンに児童労働に基づく製品が含まれているのであれば、EUにおける香水市場のあり方も大きく変化しそうです。

ジャスミン香水を長年愛用してきた私としても、この問題はしっかりと注視していきたいと思っています。

(見出し画像はnoteフリー素材からお借りしました)

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