国力の低下と自給率38%

とある70、80代の方々がやってる勉強会に若者枠でオンラインで参加したんだけれども、備忘録の意味も兼ねて投稿してみる。

テーマは、農業からみた今後の日本ってところか。

日本の農業はだいぶ前から大規模化が叫ばれていたが、土地の問題で一向に進まない。そもそも欧米や中国のように広大な農地が存在しないし、零細の兼業農家が果たしている役割は意外に大きい。

自給率はカロリーベースで38%。そんなことが、物価高騰や円安でにわかに大問題になりつつある。特に畜産業の飼料価格の高騰は異常なレベルで、死活問題。根本的な手立ては、自給飼料を急増させることだが、一朝一夕にはいくまい。

一方、人口が増加し過ぎたという話題が上がった。日本は、戦後、工業化で成功した。工業立国で世界に冠たる地位を築いた。自動車に代表される質の高い工業製品を大量に製造しては世界に売って、輸出で外貨を稼ぎ、食糧は二の次としてきた。

稼いだ金で、食糧をたらふく輸入し、食もライフスタイルも多様化。一気に人口を増加させ、一時はその人口が消費に回り、バブル崩壊まで贅を尽くした。

簡単にいえば、稼げているうちは、なんでも買えると思っていたし、人口は減らないという錯覚に陥っていたのだろう。

しかし、その後、デフレは続き賃金も上がらない。根底に人口減少や物欲の低下で消費力が低迷もある。ただ、20年はそのまま何も考えずにいられた。この表面上の平和が禍根を残すことになる。

もちろん、戦争は誰もが予想もしたくなかったことだ。コロナから突然やってきたこの衝撃で、これまで見て見ぬふりをしてきた食糧問題が突如露呈した。

日本人は自国の食糧でまかなえない人口まで増えていた。要は身の丈に合わない生活に慣れていたのである。

他方、最先端産業でも出遅れ、工業立国の看板もおろし、何の特技も見当たらない。もはや、何においても中途半端な国に成り下がってしまった。

問題はこれからである。

現在の円安は金利の問題という説明もあるが、国力の低迷論がにわかに主流になりつつある。国の力が弱まれば、円を持っている魅力が失われ、円が売られて安くなる。何の特技もない日本の国力低下が円安を招いているとしたら、これは一過性のことではなく、長期的なフェーズに突入したことになる。

もとより、日本の人口は減少して消費が落ちる中で、世界の人口は増加している。●自給率38%●大規模化が不可能●外貨を稼げない・・・状況下、当然想定されるのは、食糧が今よりもっと高騰する、それ以上に入ってこない、みたいな食糧危機である。

国同士が資源で争う時代に、今後も戦争が波及しないとも限らない。また中国が力をつけた今、これからがイデオロギーの対立の本番を迎えるのではないか。そんな時、我々はどうやって自分の生活を守れるのだろうか。

ちょっと大きな話だけれども、農村地域に住んでいるからこそ、ひしひしと身近に感じることでもある。工業立国の座を奪われた日本は、これから〇〇立国になれるのだろうか。それとも、農業を手厚く保護し、零細でも十分に自国民が食べていける食料を確保しながら、高付加価値の産品で輸出に舵を切って稼げるか。世界中のどこよりも緑の豊かな国なのだから、農業に新たに目を向けるチャンスではないか。

さらにいえば、円安は輸入飼料の畜産業に大ダメージを与えているが、安価な海外産品に対して、自国の農産品の価値を相対的に上げる具体的な契機でもある。







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