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変わりゆく駅

新宿駅を出た電車は、10分もせず目的の駅に着いた。
ホームに降り立ち、どのぐらいぶりだろうかと考えた。
学生の時によく使った駅も、社会人になり、そしてビジネスの場としても縁遠い駅になった。
久しぶりにしては、駅の構造も変わっておらず、他線への乗り換え口も当時のままだった。
そして、駅舎自体も変わりなく、駅前も立ち並ぶ商店の顔触れは変わったものの、骨格そのものは変わっていなかった。

ただ、駅を出て、いわゆる裏口に出てみると、大量の空き地と、建設用の白いフェンスとが聳え、そこだけは昔と大きく変わっていた。
線路の高架化と駅周辺および駅舎の建築プランの絵が掲げられており、今の雰囲気がまったくなくなる未来像が描かれていた。

また当分来ることがないだろうこの駅。
しばらく歩き、景色を瞼に収め、喉の渇きを潤すため、カランと鳴るドアを開け、冷たいコーヒーをお願いした。

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