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絶対行かない


あー、わかったわかった。

手のひらをヒラヒラさせて、仏頂面で若手女性社員を追い返した。
彼女は、してやったりと満面に笑顔を浮かべ、去って行った。

私がどれだけ苦手なのかを知ってるにもかかわらず、楽しかっただの、面白かっただの、また行きたいだの、富士急ハイランドのリアルな話を、これみよがしに聞かされた。


絶叫系が苦手な男性は、世に多いかと思う。
私もそのうちの一人であり、いわゆる絶叫系はもとより、回転系、高所系、揺れ系など、三半規管を揺るがす乗り物は全て嫌いだ。
例えば、コーヒーカップもダメ、観覧車もダメ、ブランコに似たようなものもダメ、たぶん、ちびっこコースターもダメ、乗る以前に見るのもイヤだ。

そうすると、遊園地などに行く意味はなく、考えてみれば、確かに数十年行ってないかもしれない。
絶叫系などと言うが、絶叫どころか、声などあげる余裕は皆無、目をしっかり瞑り、つかめるものにしっかり掴まり、ひたすら下を向き、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、私からすると、沈黙決死系に近い。


もうね、すごいんですよ、速いし、高いし、眺めはいいし、スリル満点っ!!
あ、そうか、ひがしさん、ダメなんですもんねぇ。
あんなに楽しいのにぃ。
そうだ、今度一緒に行きません?
へへ。

あー、わかったわかった。
んなとこ、絶対行かねーよ。



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