公明党の現金給付案

普段、ブログなど書かないのだけれど、言いたいことがあり過ぎるので、noteを始めました。公明党が出している18歳以下に対する現金給付案ですが、明確に不当な政策であると言わざるを得ません。考えられる政策目的に照らして書いていきます。

①子育て世代への支援

正直、これが唯一理解できなくもない目的です。しかしながら、国民民主党の玉木代表が会見で述べているように、ワンショットの現金給付での支援というのは適切ではなく、児童手当のような継続的な支援が望ましいといえるでしょう。また、所得制限を設けないのであれば、児童手当について所得制限を設けるという政策と明らかに矛盾します。やるならば、児童手当の所得制限も撤回すべきで、それと合わせてワンショットの支援も行うというならばその政策には賛同できます。

②若者の消費喚起

若者が消費を活性化してくれるのであればそれはそれでありがたいことではありますが、若者に限定する意味が分かりません。そもそも2022年4月以降の給付になるとしても18歳の人以外は民法上「未成年者」であり、自由に契約を行うことが制限されている立場です。そして、中には単に取り消しが可能なだけでなく、そもそも契約の締結ができない意思無能力者である年齢も含まれています。このような世代に現金を給付して消費を喚起するというのは、意思能力を前提とした民法の建前を無視しており、これまでの民法を根本的に否定するものであると言わざるをえません。

③子どもがいる世帯の消費喚起

消費喚起を18歳以下の子どもがいる世帯に限定する理由は存在しません。普段、子どもための支出に負われ、親が自分たちのための支出を行えないというのはあると思いますが、その対策は①で述べた子育て支援であるべきで、消費喚起を目的とするならば、彼ら彼女らが子どものための消費を行っている以上、日本経済に与える効果は乏しいと言わざるを得ません。

④少子化対策

流石に誰もこのようなことは言っていないと思いますが、現在子どもがいる世帯に現金を給付しても少子化対策にならないのは当然です。やるならば、将来における一定の期日を設定して、その段階で18歳以下の子どもがいる世帯に給付するという形が必要でしょう。それだと10万円いう金額は過少であると思いますが、これを100万円程度に引き上げればある程度の効果は期待できるかもしれません。しかし、その結果生まれた子どものことを考えれば、一時的なお金のために出産して、その後生活に困窮するという事態もありうるので、やはり少子化対策は「産ませる」のではなく「産める」社会を目指すのが本筋だと思います。

⑤結論

全体を通して言えることは、経済状況が変わらないのに、(単身者なのでどこまで厳密に記録しているのかがわかりませんが、おそらく)秒単位の差で誕生日が違うというだけで10万円というある程度大きな金額の支給を受けられるか否かが分かれることには何ら合理性がありません。これが年齢ではなく所得水準で切り分けるということであれば、「収入」という現金給付と共通の物差しがありますから、ある程度の合理性は確保できるといえるでしょう。支給の前に所得で振り分けても、支給後の課税時に逆還付を求めても結果が変わらないのであれば早い方がよく、結局国民民主党が示している案が最も優れているだろうというのが私の見解であり、公明党の案は憲法の平等条項及び民法の行為能力や意思能力という概念を無視した最悪の提案で、もはや憲法違反であると解されるものです。こうした悪法を通すのであれば、何もやらない方が良いです。

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