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観光立国を目指すなら、海外旅行者を増やすべし。

この記事は、所属企業と一切関係なく、個人の気持ちを記しています。旅を"する"から"提供する"時に感じた課題を書いています。誰もが胸を張って、Welcome to Japanと言えることを願って。

12月から、欧米豪をターゲットにしたインバウンド旅行会社で働いています。僕の業務は、自社内でストックしたノウハウをもとに、日本各地の観光地をコンサルティングする仕事です。

「いずれかのタイミングで観光業界…」と思っていましたが、こんなに早く決断するとは。観光への熱烈な思いをずっと持ち続けていました。

入社して1週間ちょっと。毎日、大好きな観光について考えることができ、
脳みそにいい汗をかいています。

11月に訪れた東南アジアの楽園・バリ島

「観光立国・日本」をつくるための現状と課題

さて、今の観光業界は、国の政策が大きく反映されています。観光庁から大きな予算が地方自治体に振られ、地方自治体が民間企業と一体となり、地域観光政策を進めていくことが基本線です。「観光立国」になるには、インバウンドだけでなく、国内観光や観光公害など観光に関わる全ての項目において、一定数の成果を出すことが求められると思います。
(誰がどう評価するのか?という話はありますが。)

とはいえ、現状の我が国に置いて、成長市場であり、経済規模も大きく、国や国民の生活にインパクトが大きいのは間違いなくインバウンドと言えるでしょう。2030年までに訪日外国人数6000万人を達成することが大きな目標です。国の一大プロジェクトですし、僕も観光事業者の一人としてぜひ大きな貢献をしたいと思っています。

しかし、「観光立国・日本」を作っていく上での、一番の課題が「人材」です。コロナ禍からの急激な回復による人員不足は、どこでもかしこでも耳にします。これは、日本だけでなく世界的な課題でもあります。

話が少し大きくなりましたが、人材不足が課題の観光業界において、もっと奥深くの課題が、日本人の海外旅行・海外を感じる経験の不足だと思っています。旅にいっておもてなしを経験したことがない人が、観光客を出迎えおもてなしすることは極めて難しいですし、おもてなしを提供してみたい(観光業をやってみたい)と思わないのではないでしょうか。

僕は、もっともっと日本人が「旅」そのものを好きになり、「海外」に行きお客さんとして、海外でおもてなしを受ける経験が「観光立国・日本」を作る上で、必要不可欠であると思うのです。

低下し続けるパスポート所持率

この問題を端的かつ明快に表しているのが、日本のパスポート所持率。観光庁のデータによると、日本人のパスポート所持率は2022年時点で17.8%。コロナ前の2019年でも24.4%となっています。

参照:外務省 「旅券統計」
※発行数なので所持「率」とは異なりますが、所持率もほぼ同様のグラフでしょう

諸外国の所持率は、米国:42%、カナダ:66%、英国:76%となっており世界で見ても日本の所持率がいかに低いかわかります。

もちろん地政学要素や近年の円安なども大きな原因でしょう。しかし、日本のパスポートは世界最強と言われていて、ビザなしで行ける国と地域が、世界193都市もあります。これを使わないわけにはいけません。(政治的・外交的な問題もありますが、日本は世界に認められてる国とも言えますね。)

海外旅行者を増やすべき2つの理由

①世界のおもてなしを肌で体感する

海外に行くべき1つの理由が、海外のおもてなしを体験して、日本で還元することだとです。コンビニに1回も行ったことがない人が、コンビニの店員さんになれるでしょうか?コンビニでお客さまの気持ちをわかる、コンビニのシステムを理解する、だから店員になった時に、お客さんの気持ちがわかり、より良いサービスができるのではないでしょうか?(なるべく早く会計を終われせて欲しいとか…。)

僕も世界15カ国ほど旅してきましたが、世界のサービスはピンキリです。国民性が表れていると言った方が正しいかもしれません。

東南アジアの入国審査官たちは、音楽を聴き、スナックをかじりながらパスポートにスタンプを押しています。ヒンドゥー教の聖地・バラナシ川沿いでは、寄付をしてくれと言っていた僧侶の人が、平気で川沿いで優雅にコーヒーを飲んでいます。(本当に寄付してるか?笑)ハワイのステーキ屋さんでは、当たり前にチップを払います。

「日本のサービスは素晴らしい」とは、世界に出て比較をしてから肌で感じます。比較は良くないというけど、比較しないと今の自分たちが世界でどのレベルで何が良くて、何が悪いのかわからないこともあります。

海外を経験し良し悪しの判断をたくさんしてきた人たちが、今度は日本でおもてなしを提供する。もちろん、郷に入れば郷に従うべきですが、世界を基準にしたときに、日本のおもてなしがどうであるか、改めて見直して、切磋琢磨していくことが必要だと思うのです。

②「旅」そのものを好きになる

そもそも全体総量として、観光事業者が少ないように思います。それは、経済がしっかりと回っていて観光以外の産業で成長しているものが多々あるからでしょう。観光業界の労働面の問題もあるかもしれません。

観光業と聞くと、ホテル・旅行代理店・エアラインなどが上がりますが、我々のような観光地づくりを行う会社もあります。

「努力は夢中に敵わない」との言葉の通り、旅を好きになる人が一人でも増えれば、表面的な観光ビジネスだけでなく、旅を多角的に検証し、新たなイノベーションも起こる可能性が非常に高いと考えています。

画面越しでは絶対にわからない"ホンモノ"を旅では感じることができます。観光地だけを見るのではなく、その土地の普段の暮らしや生活、文化に触れることで、その土地に対する愛が湧くと思います。観光立国・日本としてそのようなデェステネーションを目指すべきだし、本気で作っていく仲間が必要だと感じています。

旅は人生を加速させるものである

旅に出る前のワクワク、旅中での出会い、旅後のお土産話。旅は、旅人も観光事業者も人生を加速させるものです。あの出会いが、あの時行ったどこどこ…。

この時代に生まれ、前代未聞のウイルスを経験したからこそリアルの価値を再実感する時代です。そこにしかないものは世界中にまだまだあります。そして、日本は世界に認められているそこしかないものの宝庫です。

東洋の島国の文化・歴史・風習を見ることを世界は求めています。観光立国・日本を造るために、まずわ我々が世界を経験することで、還元できることがたくさんあります。

日々、暗いニュースばかりに目が言ってしまいますが、国の光を観る観光をこれからも盛り上げていきたい。

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