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まとめるほどでもないもの
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#創作

君と最後に会った日

 いつがそれになるかわからないけれど、きっとその日が遠くないことはわかるし、ひょっとした…

蜩ひかり
2か月前
4

繊細な花

 あれはすばらしい花だと言われ、咲きそうな蕾を誰かがたいせつに育てている時、その花を見る…

蜩ひかり
2か月前
3

あなたがいたから

 運命の輪の軸に選ばれる人間というのはたぶんあらかじめ神様が決めたもので、あなたは最初か…

蜩ひかり
2か月前

あいまいな空

朝起きて、わたしの頭上に覆い被さるどんよりとした曇り空からふと光がさすのを見あげて、今日…

蜩ひかり
2か月前
5

梅雨

 紫陽花が似合うあなたはいつでも冷たい雨に打たれている。濡れそぼった髪が額にはりつくのを…

蜩ひかり
3か月前

天国と地獄

 死後の世界には三途の川があると聞いていたけれど、あの話は嘘だったのだと今しがた思い知っ…

蜩ひかり
3か月前
3

告白雨雲(毎週ショートショートnote参加作品)

 二人きりが定員の世界の内側で、天気予報が外れた事に密かに感謝していた。きみのこえが反響して重い雨垂れは遠雷になった、わたしの脈拍は道沿いの運河へ流れる事を祈っていた。 「ねえ、傘の下で聴く声が、人の声の中で一番綺麗らしいよ」  きみのうつむく音が雨傘のなかで跳ね返って、こんな時に限って雨足は急に逃げる。天気予報が外れた事を感謝したから、きっと願いも反射したんだ、やがてしとしとという音すらなくなり、沈黙がわたしを刺しにくる。  あんなに黒かった雲の間から光がさせば、二人き