告白雨雲(毎週ショートショートnote参加作品)
二人きりが定員の世界の内側で、天気予報が外れた事に密かに感謝していた。きみのこえが反響して重い雨垂れは遠雷になった、わたしの脈拍は道沿いの運河へ流れる事を祈っていた。
「ねえ、傘の下で聴く声が、人の声の中で一番綺麗らしいよ」
きみのうつむく音が雨傘のなかで跳ね返って、こんな時に限って雨足は急に逃げる。天気予報が外れた事を感謝したから、きっと願いも反射したんだ、やがてしとしとという音すらなくなり、沈黙がわたしを刺しにくる。
あんなに黒かった雲の間から光がさせば、二人き