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風の強い日を選んで走ってきた 【福丸小糸 P-SSR含む、W.I.N.G.編〜G.R.A.D.編までの所感】


遂に全世界待望の福丸小糸G.R.A.D.編が実装されました。

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待ってましたよ〜この日を。

まぁ私的な知り合いに紹介する意味も含めてサックリ1万字程度書いていくんですが、他の記事も含めて私がシャニマスから要素を吸ってnoteに吐くだけの呼吸の副産物として、私の好きな女の子の魅力がもっと多くの人に少しでも広まったら嬉しい限りです。

今回は私の一からの振り返りも兼ねて書いているので、G.R.A.D.編と、G.R.A.D.編の結論に至るまでのW.I.N.G.編と感謝祭編、P-SSRの【ポシェットの中には】【おみくじ結びますか】のコミュの所感とネタバレが含まれます。

後、イベコミュの《天塵》《海へ出るつもりじゃなかったし》《アジェンダ283》とにちかのW.I.N.G.編で書いた記事にもほんの少し触れてます。

かなり深読みし過ぎている部分もあると思うので、解釈違いがあってもご了承ください。



G.R.A.D.編以外の情報が不要な方は目次でスキップしてください。




福丸小糸 超簡易導入


さて、皆さんは福丸小糸にどういう印象をお持ちですか?


まぁ小糸が可愛いことは


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この通り、言葉でアレコレ語る前に火を見るよりも明らかなわけですよ。


外見以外だと、イベコミュやアイドル同士の会話において、ノクチル以外のアイドルとのコミュニケーションに多大な難がある姿のインパクトが強いと思います。

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その高校生らしからぬ小柄さや独特な鳴き声「ぴぇ」や「ぴゃ」も相俟って、色物キャラとして認識している方も少なくないでしょう。

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しかし彼女の物語までもがトリッキーかと言われると、それが全くの誤解であろうことを、これから長々と語るわけです。




W.I.N.G.編


小糸がアイドルになる当初の目的。

それは幼馴染のノクチルの面々と一緒にいたい、ただそれだけでした。中学時代の彼女は幼馴染4人の中で1人だけ別の学校に通っており、勉強漬けで孤独な思いをしていたからです。

そのために親に完全に内緒でアイドル活動を始めています。よく言われる小糸の私文書偽造案件はこれですね。それほどまでに彼女の幼馴染に対する執着心は強いです。

また、彼女は劣等感から幼馴染3人に対して大きな引け目を感じており、光るものが際立っている3人と共にある事で自分も「特別な存在」であろうとします。

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『みんな、わたしがいないとだめなんですよー!』

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福丸小糸(ノクチル)が最初に発表されたPVで出てきたこの台詞も、自信の無さから来る「特別な3人に必要とされる存在でいたい、自分を必要としていて欲しい」という気持ちの裏返しでしょう。



幼馴染と一緒に活動することが本意である初期段階では、「どのようなアイドルになりたいか」という理想や目標を小糸自身が全く有しておらず、アイドル活動を通じてそれを探ることが彼女のW.I.N.G.編を通じた最初の課題になります。

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小糸はその自己肯定感の低さから、アイドルになって以降も悲観的な努力を積み重ねます。

彼女にとっての自分の努力は、自分が他者と同じ「普通」というスタートラインに最低限辿り着くための、マイナスをゼロに戻すだけの過程です。

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そしてそんな努力の過程を意識的に隠そうとする様子も見られます。


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例えばMorning③コミュでそういう面の一端が確認できます。

成績優秀で新入生総代となった小糸を褒める際、右側の選択肢がノーマルコミュニケーションです(左がグッド・真ん中がパーフェクト)


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彼女にとっての努力は他人の「普通」に追いつく事。

自分が努力しているのを他者に知られることは、客観視点でも小糸が「普通」の基準に遅れを取っているという認識になります。

他人の足を引っ張ったり、他人に置いていかれて孤独になったりすることを極端に恐れる彼女にとっては最悪でしょう。


そういう悲観的な価値観の下、心が折れないように「自分はまだ余裕だ」と自分自身に対して必死に見栄を張りながら夜遅くまで自主レッスンをこなす小糸に、シャニPはこのように声をかけます。

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シャニPは、小糸が楽しそうに幼馴染について話す姿やひたむきにレッスンを行う姿に、当初から「応援したくなるアイドル」としての素質を確かに感じていました。

埋めたくても埋められない他者の「普通」とのギャップに対する苦しみに喘いできた小糸もまた、自分の積み上げてきたものをしっかりと確かな言葉で肯定してくれるシャニPの言葉を、どこかで必要としていたことでしょう。


「努力する事も才能の一つ」であるとここで認識出来た彼女。

かつての練習は他人に置いて行かれないようにするためだけの後ろ向きなものでしたが、そこからは己の限界と新しい世界を知るべくかつての狭い世界から羽ばたかんとするポジティブなものに変わりました。


常に疎外感を覚えていた以前の勉強漬けの日々。

そうした体験にも無駄なものは一つもなく、今こうして誰よりも頑張るための布石だった。思考をプラスに転換出来た小糸は輝きを増します。

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そしてW.I.N.G.編での経験を踏まえ、優勝した小糸は最初の課題に対して自分なりの解答を出します。

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かつて寂しさを抱えて生きていた一人の少女は、自分のアイドル活動を通じて、自分と似たような鬱屈とした孤独を抱えている人の居場所を作ることを決めました。

がむしゃらに頑張る自分を見て、応援するファンが楽しめるように、同じ気持ちを持つ仲間を見つけられるように。そうして誰かの居場所になれるように。


優勝後コミュに関しては、他のアイドルを見る限りだとこれまで支えてきてくれたシャニPへ感謝を伝える展開が多いです。

が、アイドルに対しての具体的なイメージを元々持っていなかった小糸のそれは、不安げながらも「自分がなりたいと思う理想のアイドル」を初めて語るものとなっており、シャニマスの中でも特に印象に残りました。

初めてプロデュースした際、そこで小糸の口から語られる類稀なる他者への優しさに心を打たれ、彼女の物語を追うことを決めたのを覚えています。

こうして自他共に【アイドル】になった小糸が、その小さい体躯で精一杯胸を張りながら言うこの台詞でW.I.N.G.編は締められます。

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ポシェットの中には


公園のうさぎの遊具に乗る小糸のカードです。

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これは完全な余談ですが正直な話をすると最初は、子供服を着て『前からやってみたかった』と嬉々として公園の遊具に乗って遊ぶ高校1年生の図に、何か狂気じみたものを感じていました。



かつて中国では、女性の足に布をきつく巻く事で足の成長を阻む〈纏足〉という文化があったらしいです。

その〈纏足〉のように、抑圧される環境にいたために幼さが抜けないまま年月を経てしまう小糸。勉強漬けの日々を強いられていたこと、母親にアイドルになることの相談を全くしていないことなどを踏まえると、「何か家庭内に不和があるのでは?」という類の邪推も生まれました。

が、イベコミュ《海へ出るつもりじゃなかったし》の家族とのやり取りを読む限りだと、そこまで悲惨な状況ではないようです。


閑話休題。コミュ名にある《公園うさぎはとべない》の話をします。

私はこのうさぎを小糸自身のメタファーだと解釈しました。

公園の遊具は地面に打ち付けられており、空を飛ぶどころか跳ねることさえままなりません。その様子は、狭い世界で縮こまりうずくまっていた、かつての小糸と重なるものがあります。

アイドル活動を通じて次々と新たな世界を知り成長を遂げた小糸は、そうした以前の自分の記憶・体験を文字どおり「乗りこなす」ことが出来た、そういう比喩ではないでしょうか。

実際に、W.I.N.G.編の項で前述した小糸の「無駄な経験は一つも無かった」という旨の発言もシーズン4の共通コミュで生まれており、そしてこの遊具が出てくるコミュも4番目の発生イベントです。

シャニマスのことですから、ここまで計算されていても何も不思議ではありませんね。


このカードでは、小糸がアイドル活動を通じて悩みを抱え顕在化させながらも、シャニPの支えもあって前を向き、新しい世界を知る喜びに溢れる姿が描かれています。

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小糸がシャニPとの交流やアイドル活動を通じて自分の考えや体験を見つめ直し、シャニPと共に未知の世界を紡いでいくその様子は、《絡まる糸を解くように》→《或いは編むように》というコミュ名の繋がりで示唆されていると言えるでしょう。

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W.I.N.G.編でも思いましたが、小糸のコミュのタイトルは全体的にセンスを感じて好きです。



ファン感謝祭編


人一倍ファンの存在を大切にしている小糸は、感謝祭でファンの為に自分に何が出来るかを考える一方、彼女自身が考える「ファンへの感謝」に足るパフォーマンスの質に達していないことに強い焦燥感を覚えます。

それでも健気な小糸は普段のレッスンに加え一人で自主練をするなど、ひたむきな努力を重ねます。彼女なりに「ちゃんと」出来るまで。

そして、アイドルとして大前提となる歌とダンスのクオリティが彼女の中で納得のいった時に初めて、ファン感謝祭の演出案に自分の意見を挟みます。この辺りの不器用な律儀さ・頑固さも小糸の大きな魅力ですね。

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小糸が感謝祭でやりたいと言ったのは手紙の朗読でした。

感謝祭の冒頭の個人コミュでは初めて貰ったファンレターに、戸惑いつつも喜びを噛みしめる小糸の姿が描かれています。

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そのファンの気持ちに応えられるようなステージにすべく、いつもステージ袖までファンレターを持ち歩いている彼女がその結論に至るのも、自然と言えるでしょう。


小糸が感謝祭でMVPを取った後に読み上げた手紙。そこにはこう綴られていました。

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W.I.N.G.編で自分と似たような思いを抱えている誰かの居場所を作ることを決めた小糸。

しかし自分もまた、応援してくれるファンによって【ノクチルの福丸小糸】という新しい居場所を作ってもらっている事に気が付いたようです。

元々は「幼馴染」という彼女に残された数少ない居場所に縋り付く為にアイドルを始めた小糸が、そのアイドル活動を通じて他者との繋がりを増やし、自分の世界(居場所)を広げていく。

小糸のストーリーこの流れがとても美しいと思いました。


感謝祭の最後ではファンレターの返信をキチンと自分の手で出しにいこうとする小糸とシャニPのやり取りが見られます。

感謝祭全体を通してですが、アイドル活動に対して前のめりでポジティブな発言が小糸の口から度々飛び出すことに、初期からの成長を感じてとても清々しい気持ちになります。

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おみくじ結びますか


このカードでは、自分の劣等感とどう向き合うかが小糸の壁として立ちはだかります。

W.I.N.G編の共通コミュでも確認しましたが、元々小糸は自己肯定感が低く、自分が弛まぬ努力を積み重ねて出来る事は他のみんなが「普通」に出来ることだと考えています。このマイナス思考はかなり根深く、必ずそうであると信じきっている、と評しても過言ではないでしょう。


学校の持久走の大会に向けて真面目に走り込みの練習をする小糸。人と比べて自分だけが「普通」を持ち合わせていないように感じられて落ち込みます。

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そんな時、オーディションに合格した小糸に舞い込む仕事。それは小柄な体型を生かした小中学生向けの子供用着物モデルでした。高校生の彼女にとっては複雑な心境でしょう。

闇雲な努力の中で眼前に見えている指標が少しでも欲しい彼女は、少し悩んだ上に引き受ける事を選択します。

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そんな強がりを見せる彼女に対して「人に求められる小糸も大事だが、自分がどうなりたいかが一番重要だ」と助言するシャニP。そしてそれでも仕事を全うせんとする責任感のある小糸の意志を尊重し、出来る限り支える事を表明します。

このカードに限らずですが、小糸担当時のシャニPは基本的に超有能だと思います。


仕事当日。着付けとヘアメイクを終えた小糸。超可愛い。

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ここにもうさぎの飴が出てきているので、やはり小糸はうさぎがモチーフなのかな?


着付けとヘアメイクをしてもらう中で小糸は、撮影を一緒にする、もう一方の大人用着物の担当の子が中学生モデルであることを聞きます。

自分の体型に少なからずコンプレックスを抱えている彼女にとって、高身長で大人びている自分より年下の女の子は眩しく映った事でしょう。思わず羨望の想いが溢れ、それを相手に直接伝えます。

ですが、小糸の言葉を聞いてその中学生モデルは怒りを露わにします。元々子役で活躍していた子なのですが、早い内に背丈が伸びた影響で子供の役を演じるのが難しくなり、モデルに転向せざるを得なくなった過去を持つからです。

小糸はその事実を知らなかったため、意図せずにモデルの子のコンプレックスを刺激してしまう形になってしまいました。しかも、相手がかつて望んでやまなかった小柄な体躯を持つ小糸が、です。


シャニPからモデルの子のバックボーンを教えてもらった小糸は考えます。

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小糸はこれまで他者と自分を比較し、一方的な劣等感に苛まれてきました。

しかし、完全無欠な人間などこの世に存在しません。誰しもが自分の欠点と向き合い、理想と現実の狭間で闘っています。

そういう意味で、自分だけが「持ってない」側の人間だ、という小糸の思い込みは、一種の傲りだとも言えるでしょう。


その後、中学生モデルの子がかつて出演した雑誌やドラマを調べて研究した小糸は気付きました。

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ここはW.I.N.G.編からの明確な前進です。こういう一本筋の通ったストーリーを追えるのが、小糸プロデュースの醍醐味でもあります。


このカードのTrueで小糸が最終的に打ち出した目標、それは、

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W.I.N.G.編終了時点では、自分と同じような人間の居場所を作ることがアイドルとしての目標だった小糸。

しかし今回の経験を経た小糸は、誰しもが自分の悩みと向き合う辛さを抱えているかもしれないという可能性に思い至り、救いの対象を全世界の人々にまで広げています。

かつて小さな世界の中に閉じこもっていた小糸が、アイドル活動を通じて様々なものに触れて視野が広がり、今ではここまで大きな目標を自ら掲げるようになっている。

王道好きの私にとって福丸小糸の物語の流れは、シャニマスの中でも特にタイプです。


その他、最初のコミュで描かれた小糸の走り込みの努力の成果が細かい部分に表れているなど、精神面だけでなく身体面での成長も窺えて微笑ましいです。

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結局このカード内のコミュではモデルの子と小糸の不幸なすれ違いが直接的に解消される事はありませんが、仕事で撮影した二人の着物姿の写真が載ったパンフレットにあるモデルの子のコメントを、小糸が読み上げるシーンが最後に挟まります。

自身のコンプレックスと向き合いながらも実力を磨き、自分がなりたいと思う大きな目標(女優)に向かって一つ一つ目の前の小さな目標をこなしていく決意がそこには書かれていました。

中々芯の通った良いキャラだと思うので、今後の再登場に期待。


中学生モデルの信念のこもったインタビューを読み、彼女もまた「自分がどうなりたいか」を一番大事にしていると知ることが出来た小糸。

中学生モデルに感銘を受けて夢を語る小糸にシャニPがかけたこの言葉と、それに応える小糸の満面の笑みでこのカードのTrueは終わります。

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神様に願わないという事は、イコール自分の力を信じる事。成長した今の小糸にはもうそれが出来そうですね。


最初は自分だけが劣った不幸な存在だとかたく信じていた小糸。しかし、着物の蝶々結びを解くように、たった一つの気付きでその考えは改められました。

コミュ名も回収されましたね。

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G.R.A.D.編

ここまでが前座。かつ書き溜めとなります。

ここからが一応本編です。



いつかとべるように


開幕早々、意味ある「何か」を為すために焦る小糸。

ただ、ここで「何か」が何であるかは分かりません。恐らくこの時点では小糸自信でも理解できていないはず。

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雛菜の以前の発言は《天塵》のこれですかね。

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生放送で進行を無視したノクチルが干された時のものです。当時のノクチルは正にどこにどうやって向かうか分かっていない不安定な状態であり、今の小糸が似たような状況であることを示唆しています。

改めて考えると、【おみくじ結びますか】のTrueで「世界中の人を笑顔にしたい」という大望を掲げたものの、何を為してどういう道筋で進むかの明確な話はこれまでされていませんでしたね。

その対比として【おみくじ結びますか】に出てくる中学生モデルの子は、モデルの仕事をこなしつつ世代を代表する女優になるという夢に対して演技のレッスンを日々こなしている、というエピソードがありました。

【おみくじ結びますか】の前向きな終わり方からするとやや唐突な感じも否めませんが、小糸の場合理想がかなり漠然としているので、そこに向かって具体的に何をどうすればいいのかに対する小糸の不安は、いずれにせよいつか生まれていた可能性はあります。



空で呼吸する方法


『G.R.A.D.に出ているアイドルはSNSを使った自己アピールをよくしている。だから小糸も練習で頑張っている風景をSNSに投稿して皆に応援してもらおう。』

ザックリ要約するとシャニPからこういう提案があります。


まず初見の時にここで思ったこと。



お前は何を言ってるんだ?


歯に衣着せず言うと、小糸が自分の頑張りを知られたくないと言う事実をシャニPが察する描写がW.I.N.G.編であったにも関わらず、こういう旨の発言をする意図が全く理解出来ませんでした。

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まぁ一応ここに関しては後々フォローは入りますが……。また後述。


W.I.N.G.編での小糸とのやり取りが無かったとするならば、SNSの活用は有効かつ妥当な策だと言えます。

シャニPが最初から一貫して感じている小糸の魅力は「一生懸命な姿を見ていて応援したくなる」という点であり、所謂「頑張っているアピール」をするのは効果的です。


何にせよ、ここで小糸が自分の意思表明を遠慮してシャニPに委ねた事で、一応その策が採用される運びになります。



わたし


小糸の負担を考えてSNSの更新はシャニP(スタッフ)がすることになっています。

自分の中ではまだまだ全然上手くいっていない練習の風景がSNSに載っているのを見て気を落とす小糸。

感謝祭の項でも書きましたが、彼女は「ちゃんとした」姿をファンに見せたい(=応援してくれるファンに真摯に向き合いたい)という考えが強く、「ちゃんとしてない」部分を見せることに何かしら思うところがあるのでしょう。

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レッスンにも中々身が入らず、心配したトレーナーさんに「悩みがあるのならばプロデューサーさんか誰かに相談したらどうか」と提案されます。

ここで最終的に小糸が、他の誰かではなくシャニPに相談する事を決めたのも、今までの積み重ねで信頼関係が構築できてる感じがあって良いですね。

かつてW.I.N.G.編の最初の方ではガッツリ本音を濁されましたからね。

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今日の練習風景の写真や動画があったら送って欲しい、というシャニPからの電話に対する小糸の返答。

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この言葉の「今」はダブルミーニングになっていて、小糸とシャニPですれ違いが起きています。

詳しく説明すると、

シャニP視点『それって今じゃないとだめなんでしょうか?(今は忙しいので、動画を送るのは後でではだめでしょうか?)』

小糸視点『それって今じゃないとだめなんでしょうか?(まだ「ちゃんとした」パフォーマンスが出来ていない、今の段階の動画でなければだめでしょうか?)』

という具合です。


そしてここで明確にすれ違った事で、初めて小糸の本音がシャニPに伝わります。

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カナリアは歌わない


シャニPの謝罪からこのコミュは始まります。前述したように、W.I.N.G.編で既に知っていた筈の小糸の気持ちを蔑ろにしてしまった件についてです。

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正直シャニPの普段の小糸への気持ちの汲み方の有能ぶりを見てるとここまで致命的なミスを犯すとはあまり思えませんが、にちかのW.I.N.G.編での記事でも若干触れたとおりシャニPにもまだまだ未熟な面があったという事でしょうか。


そして小糸もまたそんなシャニPに声をかけます。

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小糸は自分を冷静に客観視出来ていますね。確かに彼女はオーディションに落ちている描写も既存のコミュで多々ありますし、この自己評も認めたくはないですがどこか説得力があります。

そしてこれは小糸自身も認めていますが、シャニPが今回採用した手段は、小糸の気持ちを全く考慮しない場合は正解に近いんですよね。


【おみくじ結びますか】では、自分が羨むような人も含め、誰しもが裏では必死に努力していて辛いことと向き合っているのかもしれない、と気付けた小糸。

それでも彼女は、自分の頑張っている姿(下手くそで情けない姿)を晒したくない。これが自分の長所なんだとステージの上で胸を張れるほどまだ強くはなれない。そう漏らします。

この辺の考え方、良い意味での我儘には、【おみくじ結びますか】でシャニPが発した『求められる小糸ではなく自分がどうなりたいかが小糸にとって一番重要』という言葉が響いてそうですね。



そんな小糸の心の声を聞いたダメダメなシャニPは、こんな事を言います。

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彼がかつて【ポシェットの中には】のコミュで口にしたこれらの発言が今になって刺さります。

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「一緒に」

この言葉は今回のようなシャニPの一方的なサポートだけでは成立しません。

必要な時に小糸が自分の本心をしっかり伝える事こそが、シャニPが小糸にとってよりベストな選択をするための手助けとなります。今回の場合だとシャニPからSNS更新の提案があった場面ですね。


ここで一つ力技でシャニPにフォローを入れるなら、シャニPはW.I.N.G.編で小糸が自らの過去の努力を評価出来たのを見て、「過程の努力自体を評価されること」に肯定的になったと勘違いしていたのかもしれませんね。

実際は上述のように「そんな風にはまだ強くはなれない」が小糸の結論ですし、そういう点でも意思疎通が足りなかったとは言えます。


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今までのシャニPが有能過ぎてこの台詞に当てはまるシーンがあまり思い浮かびませんでしたが、G.R.A.D.編に鑑みるとシャニPには小糸の助力が確かに必要なようです。



ゆううつな受動態


人任せではなく自分の手で、自分の言葉で、SNSの更新休止をしっかり伝える小糸。そういう能動的な姿勢はこのコミュのテーマでもあります。

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それから小糸はシャニPに腹を割って話します。

どんなアイドルになりたいか考えるのが一番最初の課題だと言われ、ずっと考えてきたこと。

でも「どうなりたいか」という目標に引っ張られ過ぎて「どうやってなるか」という過程への思考が疎かになっていたこと。

特別な何かがあるわけでもないのに自分のダメなところを敢えて見せて気を引くのは嫌で、そういう矛盾を抱えたまま「どうやったら認知して応援してもらえるか」というその肝心な過程の部分をシャニPに丸投げしてしまったこと。

今までは「何か」のために頑張って努力を積んできたが、一方でその「何か」が向こうからやってきて風向きを変えてくれるのをただ受け身で待っているだけだったこと。


思えば確かに今までの小糸の仕事はシャニPが持ってきたオーディションに受かったり落ちたりするだけでしたね。

今回のケースでは失策だったとはいえ、本来なら効果的なSNSの発信もシャニP主導で行われていました。まぁそういうことがプロデューサーの責務と言われれば間違いなくそうなのですが。


最終的に掲げた大きな目標に対し、そこに至るまでの小目標を自らで探して掴み取る。

【おみくじ結びますか】で出てきた電柱に例えると、既に誰かが立てた(誰かに立ててもらった)電柱を目標にして向かうのではなく、手ずから電柱を築き上げていく。

そんな偉大なる自発的な一歩を踏み出したのが小糸のG.R.A.D.編だったのでは、と思います。

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まず自分の理想への偉大なる一歩として、小糸はG.R.A.D.での優勝を宣言します。

元々最初のコミュでは手段と目的が逆転していた小糸。「何か」に向けて頑張るため(頑張っている状態を維持するため)にG.R.A.Dに出るのではなく、G.R.A.D.に優勝して目標に近付くために頑張る。こういう宣言が小糸からなされたわけです。


実際にG.R.A.D.の決勝に出て優勝することは《福丸小糸》というアイドルを認知してもらう事に繋がります。

決勝後コミュ 敗北①(エリア満足度総合201%以上=多くの人に認識された状態で敗北)ではSNSで応援される小糸が確認できますし、優勝後コミュでは優勝したことでTV曲のディレクターに名前を覚えてもらって番組出演の口約束までします。

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結果を出すことで即座に大人気になるなどして劇的に環境が変わるわけではありませんでしたが、それでも自らの一歩による確かな変化の予感を確信した小糸の満面の笑顔で、G.R.A.D.編は終わります。

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G.R.A.D.編への個人的な感想


ここからはG.R.A.D.編全体への個人的な感想を述べます。

まず、G.R.A.D.編ではもう少し小糸の別の側面を見たかった欲もありますが、W.I.N.G.編の小糸の「下手な自分が頑張っている様を見せたくない」という姿勢をクローズアップしたのは、テーマとして面白いなと思いました。

手っ取り早く応援してもらうアイドルになるにはポンコツな部分を見せて同情票を買うのが一番なはずです。

そうではなく純粋に実力と結果で勝負したい、というのが自己肯定感の低かった彼女なりのプライドかつ人間的な良さでもあり、安直な道に逃げない彼女こそ、王道を行く資格がありますね。

現実でもそうですが、一度公にダメな印象が強くついてしまうと、どうしても先々に渡ってそのキャラを求められがちになるんですよね(ex.おバカタレント)。

現在まだ人気も認知度もそこまでな小糸になまじダメなキャラ付けが先行してしまうと、今後の小糸の成長の阻害になりそうな気がしたので、そういう意味でもSNSを休止する今回の選択は正解だったかな。


後は気になった点として率直に言うと、やはり全体を俯瞰するとS1・S2のシャニPが物語を動かす上での犠牲になってしまった感は否めませんでした。

これまで小糸を上手く支えてきたシャニPが犯すにはミスがまぁまぁ致命的だったので、もう少し異なるパターンでのすれ違いならより読後感もスッキリしたかもしれないです。










まぁ小糸がかわゆいので全て許せるんですけどね………。

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福丸小糸 総評


『シャニマスの中で【アイドル】を媒介に最も人間的な成長を遂げたのは誰?』と問われた時、今の私なら福丸小糸を挙げます。

たとえキッカケは不純だったとしても、彼女がアイドルやシャニPと出会わなかった場合、多分彼女の世界はもっと長く閉ざされたままだったことでしょう。

己と向き合い、人を知り、少しずつ世界を広げてきた少女が、次に見つけるものは何なんでしょうね。気になります。




その他雑記


Pカップに関してはいつも通り甘奈・灯織・小糸・恋鐘に加えて、今回はにちかの銀称号をのんびり取っただけなので特に語ることもないですが、激闘を演じて悪夢の日々から醒めた一部の方々はお疲れ様です。


G.R.A.D.編を踏まえて小糸のソロをどう捉えるか(アイドルソングorキャラソン)問題に関して。

仮にゲーム内世界でのアイドルソングだとすると、自分の普段の頑張りを歌詞に載せるのは今回の小糸の判断と真逆になるので、まぁ現状普通に考えたらキャラソンという認識になると思います。

一方で、小糸がそういう自分の弱さを丸ごとファンに晒け出せる強さを手に入れた未来の時間軸の話なら、アイドルソングとして成立します。

つまり、分からないっす。まぁ楽曲やコミュなどに対して多義的解釈が許されるのがシャニマスの一つの強みですしグレーという事で。


G.R.A.D.編で小糸とシャニPが電話するシーン。

ここの小糸はテンションが最低なので声のトーンも低く、電話越しなのもありやけに大人びて聴こえてドキドキしました。

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【おみくじ結びますか】のTrueを見て、小糸にお手洗いの心配をされたくなったPが全世界に一億人いるのは固いと思ってたんですけど、当時プロデュースした後にTwitterで[小糸 お手洗い]で検索したら一人しか言及してなくて涙が出ました。

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良いコミュ揃ってるし着物小糸も手に入るので、来たるであろう周年限定Pセレチケで交換してもろて……。



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