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冷えとり初心者のかたへ

冷えとりをたのしみ、続けていくためには、
基本をしっかり理解することがたいせつです。
にわか仕込みでやると、途中で挫折したり、
間違った方法のまま行うことになり、
結果、ムダ骨を折ることになります。

一方、仕組みを理解して実践すれば、
自分の自然治癒力を信頼できるように。
続けるうちに、自分のからだやこころを自分でケアできる、という
知恵や自信や勇気も身についていきます。

冷えとりを通じて、衣食住から生きかたまで、
自然や宇宙の理に沿い、
本来の自分に戻っていく心地よさを体感してください。

1. 冷えとり健康法とは

 冷えとり健康法は、愛知県で耳鼻科の医師をしていた進藤義晴さんが開発しました。病気の原因は、上半身と下半身の温度の差=「冷え」によるとし、心身の冷えをとることで、万病を治し予防するものです。 

冷えとは?

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 「冷え」とは「冷え性」のことを指すのではありません。

 人間は上半身に内臓が集中しているため上半身のほうが常に熱く、下半身との間に体温の差(5〜6℃)が生じます。冷暖房により10 ℃以上違う場合も。 こうした上半身と下半身の温度差、または、からだの奥と表面の温度差を「冷え」といいます。足元があたたかくても、それ以上に上半身が熱ければ「冷え」の状態です。

 お酒を飲んだり、冷えが進むと、からだの恒常性を保つ働きから体表がほてりますが、体内は冷えています。暑がりで顔が赤くなってのぼせている人は、相当冷えた「冷えのぼせ」の状態なのだとか。

 偏った食生活や食べ過ぎ、自分本位な生き方をする、こころが乱れていても頭に血がのぼる原因となり冷えを生むといわれています。

冷えとるとどうなる?

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 冷えがあると、体内の血管が縮み、血流が悪くなります。

 血液はからだ全体に養分を供給し、老廃物を運び去る働きをしているため、血のめぐりが悪くなった部位では細胞の働きが鈍ります。
 さらに食べすぎが重なると、血管内にコレステロールがたまり、血液が停滞して臓器に不調が生じるように。

 また、冷えは自然治癒力を弱らせるため、大食をしたり、足元を冷やしたり、と本能の狂いが生じ、一層冷えをつのらせる行動を取らせます。冷えは冷えを呼ぶのです。

 こうして自覚されない冷えがたまり、ついには万病の原因となっていきます。

内臓との関係

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 冷えがあるのは万人共通ですが、人それぞれ、生活習慣やからだとこころの性質によって血液循環が悪い部位が違うため、不調を抱える臓器が異なります。

 また、冷えとり健康法では、五臓六腑はお互いに支え合う関係(相生)や、冷えの毒を押し付け合う関係(相互)をもっていると考えます。
 冷えの毒で、弱っている内臓の機能がさらに低下すると、その臓器が負いきれない毒を別の臓器が分担するので、思わぬ場所に症状が出ることも。
 内臓の毒は生死に関わるので、肩代わりとして皮膚や手足に症状が出ることもあります。

 症状には、あやまった生活習慣への警告、心身の鍛錬という役割も。
 症状のある部分だけに注目するのではなく、からだ全体を見て心身の冷えをとることが、根本的な改善につながると考えます。

五臓の相生・相克関係
◉冷えとり健康法では、中国の伝統医学と同様に、内臓全体を五臓六腑に分けて考え、各臓器はそれぞれ支え合う関係(相生)、押しつけ合う関係(相克)をもっているとしています。各臓器は体調だけでなく、感情やこころの乱れ、性格とも関係しています


◎関係する内臓/肝臓・胆のう ◎悪くなると/肝炎、中枢神経系疾患 ◎こころの乱れ/傲慢 ◎排毒しやすい季節/春


◎関係する内臓/心臓、循環器、小腸 ◎悪くなると/心臓疾患、リウマチ ◎こころの乱れ/冷酷 ◎排毒しやすい季節/夏


◎関係する内臓/膵臓、脾臓、胃 ◎悪くなると/糖尿病、胃・十二指腸疾患 ◎こころの乱れ/利己 ◎排毒しやすい季節/季節の変わり目


◎関係する内臓/肺、大腸 ◎悪くなると/潰瘍生疾患、便秘、皮膚病 ◎こころの乱れ/強欲 ◎排毒しやすい季節/秋


◎関係する内臓/腎臓、膀胱 ◎悪くなると/腎不全、膀胱炎、婦人科系疾患 ◎こころの乱れ/恐れ、不安 ◎排毒しやすい季節/冬

こころの乱れ

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 自己本位の考えかたをしてイライラ、クヨクヨ悩むと、感情が波立ち、頭に血がのぼります。すると足元が冷え、血流が循環不全となり、冷えの状態になります。こうしたこころの毒(冷え)は、一説ではからだの冷えや食べすぎでたまる毒の5000倍にあたるとか。

 冷えとり健康法では、こころの冷え=我執には傲慢強欲利己冷酷の4つがあるとしています。

 傲慢で人に感謝せずいばっていると、肝臓や胆のうに影響が。卑屈さも傲慢さの裏返しです。
 お金やものをためたがり、努力以上の成果を求める強欲さは、肺や大腸、潰瘍性の疾患、ぜん息や便秘につながります。
 冷酷で他人への思いやりに欠ければ心臓や血管の疾患を引き起こしやすくなるそう。
 自分さえよければという利己的な態度は自分を甘やかす食べすぎにつながり、消化器を害しやすくなるといわれています。

 これら4つの我執は人により程度は異なりますが、もたない人はいないのだそうです。自己本位の考えかたがある水準を越すと腎臓・膀胱が病み、さらに冷えが進めば腫瘍になる場合もあるといわれています。こころが冷えるほど、足元を冷やすなど、健康のためによくないことをしたくなることもあるそうです。

冷えとりをすると

1 めんげんのこと
 冷えとりをはじめて排毒力が高まると、からだの奥にあった冷えが出てくるため、一時的に心身の調子が崩れることも。
 快方に向かうときに、より強く症状が出ることを、これを「めんげん」といいます。

 病気と見分けるポイントは、症状が一見派手でも本人に重症感がなく、顔色がよく、日常生活を送れること。また、くしゃみ、鼻水、湿疹、発熱、下痢など、からだから出るものはすべて排毒作用(毒出し)ととらえ、臆せず最後まで出しきることが大切です。毒を出しきったからだは強くなり、同時により深いところの毒を出せるように。

 ただし重篤な病状や心配がある場合は(心配や不安もこことの冷えの原因となるため)専門の医師にご相談ください。

2 出すのがよい
 冷えとりでは、症状は抑えずに出すのがよいと考えます。湿疹はとにかくかく。くしゃみ、せき、鼻水も出す。熱も出す。下痢も出す、という具合に、です。押し入れに入ったままのゴミは、自分で捨てないとなくなりませんが、体内の毒も同じです。出して出して出し切れば、症状は終わりになると冷えとりでは考えられています。

このほか、症状の意味、女性のからだと「冷え」などについて、くわしくは進藤義晴さん、進藤幸恵さんによる冷えとり健康法に関する著書、『冷えとりスタイルブック』(エムエム・ブックス)をお読みください


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