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自伝小説 ままごとかあさん6 家族(2)

思い出すのは
タバコを吸っている母の横顔。

「一緒に遊ぼう」
と話しかけても
いつも返ってくる返事は
「一服してからね」

タバコを吸い終わると
今度はテレビに夢中になる。

諦めて独りで積み木で遊ぶ。
ひらがなが一文字ずつ大きく書かれた
四角い木の積み木。
ホコリまみれの床に並べて
長いドミノを作る。
椅子の脚に沿って上手くカーブして
並べることができた。

「お母さん見て!ドミノすごいよ!」
と母を見る。
「へぇ~。スゴイね」
母はこちらをチラリとも見ずに
今度は食事の準備をしている。

「お母さん見てよ!」
金切り声を上げると
「うるさい!オオカミが来るよ!」
と祖母が怒る。
「オオカミはゼツメツしたんだよ」
と言うと。
「ヘリクツばっかりで救急車が来るよ!」
と訳のわからない事を言う。
ワタシの方を全く見ず
何かブツブツと怒っている。

夕方、仕事から父が帰ってくる。
いつも父は‘’ただいま‘’も言わず
家に入ってくる。

母の一服時間が長かったから
まだ夕飯は出来ていない。
それを見た父は
「なんだ!1日家に居て何してたんだ!
まだ夕飯できてないんか!」
とブチ切れる。

父の怒りに
ワタシの全身が強ばる。

「なんでそんな言い方するん?
りかが長いドミノ作ったんだよ。
見たら?」
母は何故か
突然話しをワタシに向けようとする。
「そんなん見れるか!もーう。ホントに!」
父の怒りは収まらずブツブツ言いながら
別の部屋へ消えて言った。

‘’こんなん‘’と言われ
ワタシはドミノを続ける気が失せた。
父の怒りに触れて
身体は強張ったまま。

不快な毎日だった。


つづく

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