サイン色紙ほしすぎるのだけれどライブレポートを書く才能はない

ーー書く才能はない。ところで今週のしいたけ占い読んだ? 蠍座、《「どこまでの完成度を求めるか」にすごく取り組んでいきます》って書かれてたよ。完成度って何〜!? ……までがタイトルです。なが。

さて。

神様みたいな推し作家と、神様みたいな推し作家が対談をするという告知を受け取ったとき、私は職場の多目的トイレのなかにいた。自主的休憩時間という名目で、ツイッターをチェックしていたときだった。
……対談? 一穂ミチ先生と有栖川有栖先生が? え、どうして? せりあがってくる焦燥感を必死で抑えつける。
ツイッターで告知をRTしたあと、『そんなことある?』とつぶやいて、しばらくトイレのなかで放心した。TLを更新し続ける。同僚にはちょっとお腹が、と言うしかないほどの時間がいつの間にか経っていた。同じく一穂ミチオタクであり有栖川有栖オタクでもあるフォロワーが、『そんなことある?』とつぶやいているのを見て、ようやくほっとした。同じ感情を抱いている人間がこの世にいることを可視化できるととても安心する。

意外な組み合わせ、と言葉にしてみるとあっけない。全体像を知らない一ファンの私が勝手に意外と思っているだけで、どこかしらに繋がりや理由があるのだろう。自分の見えないところに、自分の推し作家と自分の推し作家を繋ぐ糸があるというのは、妙にどぎまぎすることだった。え、そうなん?という動揺。え、そんなん私ごときが知っていいことなん?というアイドルの秘密を打ち明けられたときのような後ろめたさ。
推しの新しい一面を見たとき特有の焦燥感が、ずっと胸に渦巻いていた。

対談当日は、一穂先生がツイッターで緊張している的なことを呟かれたタイミングで、こちらまで動悸がとまらなくなった。私が緊張する必要はちっともないのに。どうにも時間が経たず、普段つくらないような手の凝った夕飯をつくり、食べ、コーヒーを淹れ、飲み、トイレへ行き、意味もなくアイブロウを整えなおし(まじで意味がない)、再度コーヒーを淹れたあたりで十九時だった。

対談自体は、ほけーっとしているうちに終わってしまった。

一穂先生が有栖川シリーズについてあれこれ質問をしていたことははっきり覚えている。スケッチブックに「火村の禁煙」と書かれる一穂先生、コマチさんに「何よその女」と発言される一穂先生、アリスの服装に言及される一穂先生。先生、めっちゃ楽しそうにしてみえる……。

当たり前のことなのに、一穂先生も何かの作品のファンなんだ、ということを目の当たりにして驚いた。いや、当たり前のことなんやけど。私にとって一穂先生は、魔法のようにぽんっと超おもしろい作品を生み出す神様みたいな存在だったので、こう、何ていうの……? 何かを好きで、何かのファンで、サイン会に行って担当編集さんに捕まっちゃうような方だというのを、ふしぎな気持ちで眺めた。アイドルのドキュメンタリーを観るのと同じような感情だったと思う。

後半は、一穂先生が有栖川先生に小説を褒められ、「そんなことないよと言ったら、私の神様の言葉を否定してしまうことになる」とおっしゃってみえたのが印象的だった。私が一穂先生を神様と仰ぐように、一穂先生も誰かを神様と仰いでみえるんやと思うと、たまらない気持ちになった。

このあたりで感情が一周して、「え〜〜〜、なんで一穂先生と有栖川先生が対談してはんの!?」と冒頭に戻ったりした。オタクあるある:一から確認しないと気が済まない病の発病である。
感情が過去を遡りすぎて、 2020年のBLfesで一穂先生がご自分のことを「小さな書き手だった」って表現してみえたのを思い出して、ちょっと泣きそうにもなった(一穂先生、デビュー当時から人気やったし、小さな書き手やったんっていつのお話なん……デビュー前……?) ほぼデビューから応援してる作家さんが、その推し作家さんとうれしそうに対談してみえるのを観ることができるって、何!?!! 

有栖川先生の書斎、めっちゃうらやましい空間やな。はえー……。というか有栖川先生のおうちから放送って、何……?(何度もスタート地点に戻るオタク)

リラックスしたご様子の有栖川先生と、背中だけしか見えなくても楽しそうなのが伝わってくる一穂先生。私の大好きな作家さんと私の大好きな作家さん。あまりにも自分に都合がよすぎて、現実感がやっぱりわいてこないけれど、とても楽しい時間だった。

最後に一言いいですか。

有栖川先生と一穂先生のサイン色紙まじでほしい!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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