宗麟ランプ (オチ②)
宗麟:「困った。うーん困った。」
作者:「どうしたんですか?」
宗麟:「いや、実はザビエルが「ランプ」をくれたんだよ。」
作者:「戦国時代にランプってすごいですね。確か松明(たいまつ)とか提灯(ちょうちん)、行灯(あんどん)の時代ですもんね。」
宗麟:「馬鹿にしないでよ。当時の豊後の国は世界地図に記入されるくらいの大都市だよ。国中をロウソクで灯そうってしたこともあるんだから。」
作者:「へーすごいですね。」
宗麟:「ロウソクもハチミツで作ったやつだったから高かったなあ。で、風でロウソク倒れて寺が燃えたりしてね。」
作者:「それで寺、焼けたんですか!」
宗麟:「宇佐神社(うさじんぐう)と英彦山(ひこさん)がね。燃えたなあ。」
作者:「罰当たりですね。」
宗麟:「うっかりだよ。みんなが綺麗って言うから。神社ライトアップしたかったんだよ。」
作者:「燃えちゃダメでしょ。」
宗麟:「まあそうなんだけど。いいじゃない。そんな話。今日は違う困った話なんだよ。」
作者:「どうしたんですか?」
宗麟:「この前の風の強い日にね。妻のイザベルが「こんな日は側室の方は心細いだろうから泊りに行ってやったらどうです?」っていうんだよ。」
作者:「え、宗麟さん側室いたんですか?」
宗麟:「ええ、まあ7人ほど。この頭がピカッとしていいとかでもてるんだよね。」
作者:「すごいですね。」
宗麟:「妻のイザベルが妬むから、側室にはさ、それぞれ屋敷を用意しているんだけどさ。側室もイザベルの気性を知っているからそんなに「来てね♡」って言ってこないし、いい関係なんだよ。で、イザベルが、あなた、側室の家に泊まってきたら?って言うから。どうした?今日のおまえ、心が広いねえって感心して側室のところに行くことにしたんだよ。」
作者:「宗麟さんの女好きをやめさせる為に祈祷をしたイザベルさんとは思えない発言ですもんね。そりゃ側室に会いに行きますね。」
宗麟:「でね、側室のところに行こうってなったんだけどちょっと暗いんだ。で、誰か連れて行かないとってなったんだよ。」
作者:「あ、そこでザビエルがくれたランプですか?」
宗麟:「そう。ザビエルがくれたランプ、あれ持って行こうってなって、ランプ持ちに侍従(じじゅう)のエステバンを連れて行くことにしたんだよ。」
作者:「エステバンさん!神社のお札取りに行けって命じられて「おらキリシタンだからいかね。」って断って斬首される直前に宗麟さんが助けたあの人物?」
宗麟:「そう、エステバン。たまたま夜更かししてたのが彼しかいなくて提灯持ちならぬ、ランプ持ちをさせて側室の元に行くことにしたんだよ。」
作者:「エステバンさんがランプ持ちって自体がなにかやらかしそうでドキドキしますね。」
宗麟:「エステバンは悪い子じゃ無いんだよ。熱心なキリシタンだし。ちょっと口が悪いだけど中身は素直ないい子なんだ。」
作者:「それで、エステバンさんのランプ持ちで側室の家に行ったんですか?」
宗麟:「そう、エステバンが扉をたたいてね。「開けろー。エロ坊主が来たぞー。あんたの大事な金づるだぞー。」って。」
作者:「かなり口が悪いじゃ無いですか。」
宗麟:「そしたら側室が扉から顔を出して、「あら宗麟様どうしたんですか?」って聞いてくるから、「いやイザベルが「こんな風の強い日は側室の女は心細いだろうから泊りに行ってやったらどうです?」っていうから来たんだよ。さあ開けておくれ。」って言ったんだよ。すると側室の奴がいやな顔をして、「あたしはいつもイザベル様を姉様のように慕っています。いつも私には着れない、お古の着物をいただいています。口の水分がなくなる焼き菓子「ザビ〇ル」が大量に着払いで届いたりして、本当に感謝しているんです。宗麟様が来てくれたのはうれしいのですが、イザベル様は本当は宗麟様と一緒にいたいと思っています。それを我慢して「こんな日は側室は心細いだろうから泊りに行ってやったらどうです?」と言われて、素直に宗麟様をお泊めしたのでは側室の分際では恐れ多いじゃありませんか。だから開けられません。」って言って扉を閉められちゃったんだ。」
作者:「側室の方もイザベル様にかなり気遣いしているんですね。」
宗麟:「そうなんだよ。さすが元人妻だってね。気遣いのできるいい奴なんだけど、仕方なくまたイザベルの元にかえったんだよ。」
作者:「夜中の徘徊ですね。」
宗麟:「エステバンがイザベルの家の扉をたたいて「開けろー。出戻りのはげ坊主が帰ってきたぞー。宗教勧誘じゃないぞー」って。」
作者:「めちゃくちゃ口が悪い。よく斬首されなかったですね。」
宗麟:「そしたらイザベルが扉から顔を出して「あら留守でしたの?」っていうから、いやね、側室のやつがあたしはいつもイザベル様を姉様のように慕っています。いつもお古の着物や焼き菓子「ザ〇エル」を大量にくれるし本当に感謝しているんです。だから今日のようなイザベル様の心遣いが恐れ多い。側室の分際で素直にお泊めしたのではイザベル様に顔向けできませんってことで帰ってきたんだよ。さあ、開けておくれ。」って。」
作者:「側室の方がイザベル様に感謝してる件(くだり)は伝えちゃダメですけどね。」
宗麟:「そしたらさ、今度はイザベルがイヤな顔をして「余計な心配をなさらないで下さい。あなたには向こうに泊まってもらわないとこちらの顔が立たないので、今日はどうしても向こうで泊まって下さい。だから開けられません。」そう言うと、扉を閉ざしてしまったんだよ。」
作者:「どちらも引っ込みがつかなくなりましたね。」
宗麟:「そしたらエステバン。ランプを消さないで待ってんの。」
作者:「先読みしたんですね。まあ、予想通りの展開ですし、エステバンさんにしては迷惑な徘徊ですからね。」
宗麟:「冗談じゃ無い。やいエステバン!何ランプつけてんだ!って怒ったのよ。」
作者:「いやいやいや、「エロ坊主。」「金づる。」「出戻りのはげ坊主。」「宗教勧誘。」。こんだけ言われて怒らなかった宗麟さんが「ランプ消さないで待ってた。」で怒るんですか。」
宗麟:「いいかエステバン。1つのロウソクですむところを2つのロウソクを使うような奴が君主として務まりますか。君主とは国の無駄を省き、民のために働くのです。その君主に務めるおまえが無駄をしてどうするんだと・・・。」
作者:「はあ。まあ正論ですが・・。」
宗麟:「そしたらエステバンが「あのー言葉を返すようですが宗麟様、1つの奥様ですむところを2つの奥様を持っている君主が今後国主としてつとまりますか?」って。」
作者:「エステバン。馬鹿じゃ無いですね。」
宗麟:「悔しいから「2つじゃありません。7つです。」と言ってやったらエステバンが驚いて、「神父様が言ってたぞ、神は1人の夫に1人の妻をもてって。色事に溺れると国が滅ぶっていってた。7人てのはまさに色事に溺れるって奴なんじゃ無いか。」って。」
作者:「エステバン!えらいじゃないですか。」
宗麟:「だから滅んでないし。領地、最大にしてますけど~。って言ってやったらエステバン「どうだか。今に滅ぶんじゃねえのか。」って。」
作者:「うんうん。」
宗麟:「馬鹿言ってないで、ランプを持って側室の方のところに行くよ。と」
作者:「また徘徊ですか。もう町民、ランプを持った怪しい2人組がうろうろして何かと思いますよ。」
宗麟:「側室の方の扉を「開けろー寝たふりすんな。色事に溺れただめ国王が来たぞー。滅びる前に入れてやれー。」って」
作者:「エステバン。馬鹿にしすぎ。絶対まわりに聞こえていますよ。」
宗麟:「すると側室の方が「いい加減にしてください。ご近所に筒抜けじゃありませんか。女には女の意地って奴があるんです。今日はお帰りください。」って。また扉を閉められちゃって。」
作者:「まあ予想通りですけどね。」
宗麟:「そこで元来た道を帰ろうかとエステバンに「ランプに明かりをいれとくれ。」って言うと。エステバンが「その必要はねえ。」と。」
作者:「ほう。」
宗麟:「「もう夜が明けた。」ってさ。」
宗麟とランプ でした。
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