花よりも 花を咲かせる土になろう
青春時代、華やかなマスコミの世界でマイクを握っていた私は、「私は花よ、見て見て」という自己顕示欲がとても強かったんですね。
それが年齢とともに「花よりも、花を咲かせる土がいい」という気持ちに変わっていきました。
「これからは、ひたむきに咲こうとする花を応援する土になろう」と決心したとき、「若い時代にさんざん悩み苦しんだ経験が、土の養分になる」と気づいてうれしくなりました。
すると、それまで一度も味わったことのないようなやすらぎを覚えたのです。
人より抜きん出て「自分が花になる」ことしか頭になかったときは、毎日が不安でした。
かたや「土になる」ことは、「人を応援する」ということです。
「人の力になりたい」と思う心が、かつて味わったことのないやすらぎをもたらしたのでしょう。
だれの人生にも、花になってエキサイトするときと、土になって安堵するときがあります。
そして私たちは、自分が花になりたくて四苦八苦しているときでさえも、本当は、だれかの土になって人を喜ばせることができるのです。
★ 著書『みんな、ひとりぼっちじゃないんだよ』(幻冬舎文庫)より★
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