H.Yamazawa | Concept Artist

山澤英幸。空間のコンセプトアーティスト。swarm inc.共同主宰。 sun &am…

H.Yamazawa | Concept Artist

山澤英幸。空間のコンセプトアーティスト。swarm inc.共同主宰。 sun & winter 代表。

最近の記事

ミラノサローネサテリテ2022出展で得たもの

もう1年前になってはしまいましたが、 Salone del Mobile Milano2022(通称:ミラノサローネ)の若手部門であるSalone Satelliteに出展したことについて、報告や感想などつらつら書いておこうと思います。 概要なんかはほどほどに、自分の備忘録とデザイナーとして何を感じて得たのかがメインの手記になります。 たった数点の家具ですが、これを作るために20人を超える方に協力していただきました。製作、鉄工所、学生アルバイト、運送、現地でのコーディネートや

    • 君は、君のアートでどのように社会を変えるんだ?

      気がついたら2022年! せわしない、という言葉で形容できないほどに加速した時間の中で毎日を送っている。 日々の話とか考えていることとかをつらつらと。今日はそんな話。 2021年の上半期はコロナの影響で売上が下がったものの、下半期はコロナ禍でも最適化されてきた社会のおかげなのか、コロナ以前と比べても飛躍的に仕事が活発になった。2022年は勢いそのまま続いていけば、おそらく過去最高の売上になる。 逆に言えば、あぁ今年が今の俺が稼げるデザイナーとしての限界値なんだろうなと思う

      • 新境地コンセプトアート

        ひさびさに落ち着いた日々を送っている! 年明けから気づけばほとんど息継ぎなしで駆け抜けて、一段落した。7月から2週間大阪、2週間千葉というサイクルの二拠点生活が始まり、せわしない時間の中でいろいろなことを考えていた。 息抜きがてらピーター・ズントーの本を読み返して文章を書きたい欲がムクムクと沸き上がってきた。 学生の頃、特集された雑誌に載せられたズントーの手記を読んで血が沸き立ったのを今でも思い出す。卒業制作の時、その手記のコピーを穴があくほど読み返していた。来年イタリ

        • 答えるためか、問うためか

          ドッグイヤーと心の海本の読み方には、人それぞれいろんな方法があるとおもうけれど、私は本を読むとき、良かった表現があった頁の端を折る、いわゆる「ドッグイヤー」をつけている。大学のある先輩は響いた単語の場合は赤付箋、響いた文章の場合は黄色付箋、という具合に細かくやっていると聞いて、うわぁすごいなと真似してみようと思い立ってみたものの挫折した記憶がある。 なんにせよドッグイヤーの多い本は私にとって大事な本で、いや、少ない本だとしても、目が覚めるようなその瞬間に出会うために本を読ん

        ミラノサローネサテリテ2022出展で得たもの

          空になりたい少年

          今秋に出展を控えている展示会のテーマ「DESIGNING FOR OUR FUTURE SELVES」 未来の我々のためのデザインというテーマは、鬱屈としたこの世界の中で希望を示さんとする主催者の意志が感じられてとても好きだ。 コロナ禍では、真綿で首を絞められるようなストレスがしんしんと降り積もっている。加速し続ける世界観だった地球が、ウィルスによって鈍足になった今、これまでは聞こえなかった_あるいは聞き流していた_一人一人の声に耳を傾けることができるのかもしれない、とい

          空になりたい少年

          ゲームエンジンは空間設計の黒船だし2021年は熱狂の年になる/#雑記

          あけましておめでとうございます。 ベッドに入っても何だかいろんな考え事をしてしまって眠れないので、とりとめもないことをつらつら書いておこうと思う。なんてことを書いていたら、そういえばずっと私はそんなことをしていたなぁとしみじみする。文体も特に気にせず書こう。 前回書いた記事が11/22ということに! 驚きが! 隠せない! 12月なんて無かったんだ。今年も終わると書いていたら本当に終わってしまった。 今や化石的な扱いになっているmixiは、大学に入ったころに流行っていて、

          ゲームエンジンは空間設計の黒船だし2021年は熱狂の年になる/#雑記

          デザインの機械 信じたいフィクション

          早すぎる2020年が終わる。デザインをしていて、あぁ幸せだと思うことがとても増えた2020年だった_まだ終わってないけれど。 気がつけば、前の会社をやめてフリーランスになってから、もう4年以上も経っている。2010年3月に大学を卒業して設計事務所で働き始め、2016年9月に独立。 2016年と2017年は色々な事務所、大学の友達の事務所の手伝いをしていた。2017年からの案件の続きで2018年に突如巨大な物件に発展して、各地を奔走しながら、2019年に法人設立。気がついた

          デザインの機械 信じたいフィクション

          アニメーションとデザインとカステルヴェッキオ

          書き止めていた文を掘り起こして。 *** ジブリを知らない人はほとんどいないと思うけれど、京アニを知らない人、あるいは京アニの作品を観たことがない人は多いのではないだろうか。 京都アニメーション、京アニで起きた凄惨な事件から1年。ということに改めて時間の流れの早さに驚くのは、きっと歳をとったせいだ。 ご冥福をお祈りします。 去年の7/18は暑かったような記憶があるが、今年は冷たい雨が降っていた。 京アニの作品では、ヴァイオレット・エヴァーガーデンがやっぱり好きだ。

          アニメーションとデザインとカステルヴェッキオ

          終わりのない物語の話

          物語が好きだ。 物語に触れ、それが終わり、日常に戻る、という感覚が私にはあまりない。ということにいまさら気づいてハッとする。さながら読みかけの本を何冊も読み続けるように、いろいろな物語の続きを生きているんだなぁ。と思う。 終わりのない物語。 現実と虚構の区別がつかないというのは、様々な批判のための言葉として使われるけれど、とても素敵な言葉じゃないだろうか。この世のものとは思えない。あるいは、信じられないけど存在することのように。もちろん「倫理」として区別をつけるのは当た

          終わりのない物語の話

          ローソンのPBデザインと、デザインという言葉の話

          デザインという言葉は、日本語や英語と同じくらい_あるいはもっと_私たちの周りに溢れているのに、いやはや無理解に満ちているものだなぁと虚しくなる。 考えてみれば、デザインはひとつの言語であるということをちゃんと考えたのは10年前の学生の頃からだし、私も美術大学に行っていなければわからないこともあったので、誰かに責任があるとか、誰かを見下したいとかそういう話ではないのだ。 私がアラビア語を読めないように、一般の人がデザイン語を「間違いなく」読めなくても、それはいいのだ。ただた

          ローソンのPBデザインと、デザインという言葉の話

          美しさの群という発見

          デザインの何を価値とするか。 美しさはデザインに不要か。 <デザインの複雑さ> デザインはある命題に対して合理的な解を求める行為だと考えています。ですから、デザインをするということはあらゆる無駄なこと、命題に沿わないことをそぎ落としていくことになります。 例えば、椅子のデザインする場合、究極的な命題は「人間を座した姿勢で支えるもの」になります。これに答えるとき、どのように支えるか、どのような姿勢とするか、どのように感じさせるか、という副題を設定し、確からしい解を求めて

          美しさの群という発見

          デザインと世界のメモを始めよう

          はじめまして。 空間デザイナーの山澤英幸です。建築やインテリアのデザインを仕事として10年経験しています。日々デザインを通して色々なことを考えていますが、デザインを作り上げる過程で様々なものが零れ落ちていくのを感じます。 そういう零れ落ちたものは心の中、底のほうに静かに蓄積していって、あるとき覗き込んでみると、おどろおどろしい「何か」に変わっていることがあります。一体これはなんなのか。 デザインという仕事は、様々なものを命題に向けてそぎ落としていく作業です。出来上がるも

          デザインと世界のメモを始めよう