Ballads / John Coltrane Quartet

大学最後の歳、卒業旅行の資金をためようと塾のバイトをした。23歳だった。先輩の先生、おそらく40歳半ばぐらいの方でおそらく奥さんと別れたのだろうか一人暮らしといっていた。その先生は生徒の送り向かいもやっており時折交通手段がない私も便乗して家まで送ってもらっていた。ある時その先生の家に寄った。当時CDに変わりつつある時代だったが、LP盤を本棚から取り出しレコードプレイヤーでかけながらウィスキーをショットグラスに入れ飲み始めた。「いつも帰ってきたらこれをかけるんだ」と。
やがて先生はショートホープに火をつけ吸い始めた。煙がジャケットの写真を一瞬白くそめた。JAZZを意識して聞いたのはこれが初めてだった。
「なんという世界だ。」
先生からウィスキーを勧められ一口飲んだがストレートは23歳の若輩にはまだ早かった。咽た。苦しかった。
でも今思うとその苦しさはこの音楽が奏でる美しさと表裏一体の人生の苦しさだった。つまり大人の世界はこれからくる「苦しみ」も兼ね備えていることをあの時はわからなかった。先生は何も言わなかったが辛かったことをColtrane,ウイスキー、煙草で中和させていたと思う。
なぜなら今の私もそうであるからである。
(少し酔っぱらって過去を懐かしみ投稿していて少し乱文お許しください)

Ballads / John Coltrane Quartet

1. Say It (Over And Over Again)
2. You Don't Know What Love Is
3. Too Young To Go Steady
4. All Or Nothing At All

John Coltrane Quartet
John Coltrane (tenor sax)
McCoy Tyner (piano)
Jimmy Garrison (bass)
Elvin Jones (drums)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, November 13, 1962

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