アスカ役宮村優子さんの記事を読んでホッとした
自分がアスカファンかと問われるとどうだろうと思うけど、アスカ役の宮村優子さんには注目していた。というのは、Youtubeで宮村さんがこんな話をしていたのを耳にしたのだ。
旧劇には復活したアスカがエヴァシリーズを決死の戦いで全機倒したと思ったら、なんと量産機は全機復活して弐号機を喰い散らかすというトラウマ必至の壮絶なシーンがあるのだが、宮村さんはこのシーンがショックで10年も旧劇場版を見れなかったと話していた（下記リンクで11分くらい）。
レイ役の林原めぐみさんも同意しているように、TVシリーズや旧劇場版の収録は出演者にとっても相当辛い現場だったようだ。
声優という職業は動画に声だけではなく、まさしく魂を吹き込むのだなあと実感したのはその時だ。単に仕事として役柄の声を入れて、ハイおしまい次の仕事、というわけにはいかないのだろう。そのくらい、壮絶な想いで倒した敵がニヤリと笑って（そう見えた）全機復活して立ち向かってきたあげくの顛末は観客だけではなくアスカ当人と言える宮村さんにもトラウマだったのだろう。
全身全霊で演技をするということは、アスカのリアルな感情を声優当人が生み出さなくてはならないのだ。そこは創作だからといってあの庵野監督が絵空事の演技で許すとは到底思えない。役を演じるというよりも、本当にその瞬間のその役を「生きて」いるんだと思えた。この発言を聞いて以来、旧劇場版で自分が感じた胸を引き裂かれるような痛みには意味があったと感じることができた。アスカと宮村さんをグンと身近に感じられるようになった自分が居た。ラストの「気持ち悪い」も含めて、旧劇場版の衝撃を引きずったままだった自分は、宮村さんのとても人間らしい感情に救われたのだと思う。
その後も声優としての宮村さんの発言に注目していたのだが、シン・エヴァンゲリオン劇場版を見た宮村さんの記事が上がっていたので読んでみた。
TVシリーズの頃から感じていたが、エヴァのメインヒロインの一人でありながら、アスカの報われなさはヒドい。シン・エヴァンゲリオン終劇までは誰も報われては居ないのも確かだが、その中でもアスカの報われなさはひどすぎる。特にアスカ推しではなかった自分にも最初に心の奥深くまで突き刺さったのは「アスカがかわいそう過ぎる」ということに尽きる。それは監督自身の投影であると同時に、見ている我々自身も頑張っても報われない自分自身を投影してしまうからだと今は理解出来るが、エヴァはそんな鏡のような厄介な作品なのだ。
今回の記事を読んで、やはりアスカ本人とも言える宮村さんも同じように（むしろ誰よりも強く？）それを感じており、英語版のアスカ声優のティファニー・グラントとお互いの体験を語り合って
「はじめてアスカの気持ちをこんなに分かってくれている人に会えた！」という気持ちになって、すごく助けられました。
という部分を読んで、本当に良かったと思えた。
かつて聞いたエピソードも語られていた。
私にとって『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』って結構苦しいこともあって……とにかく怖くて何年も観られなかったくらいなんです。
けど、あの量産型にやられてしまうシーンが好きだと言ってくれる方が多いことは知っているので(笑)、あのシーンの台詞を言えるようにするために、見直したりもしています。でも、そういうファンの方からの声がなかったら、二度と観なかったかもしれないくらい、惣流ちゃんがかわいそうで辛かったですね……。
その分、今回で幸せになってくれたんじゃないかなぁ。今まで、アスカはそのままで良いと言ってくれる人は誰もいませんでしたから。
ある場面でシンジとしっかり会話させてくれたのも嬉しくて、ある種スッキリとした気持ちにもなれました。
本当に、シン・エヴァンゲリオン劇場版で、旧劇ラストのシンジとアスカの海辺のシーンが回収されたのは本当に良かったと、世界中？のファンが安堵しているに違いない。宮村さん始め、世界中のアスカ役の声優さんたちも報われるだろうか？（日本以外ではまだ公開されていないが）
最後のシーンで駅のホームにアスカが一人で居たのと、タイトルの反復記号が気になるのではあるが(苦笑)。
ただ、今回の舞台挨拶で、緒方さんがもう１人のシンジは、皆を送り出したあと残っているという話をされた時、「大人のアスカで迎えにいってあげたい！」という気持ちも強くなりました。
もう宮村さん優しすぎるでしょ！自分にとってはトラウマなシーンでもそこが好きだと言ってくれるファンのために見直したとかも含めて、なんていい人なの？ほんとにエヴァ出演者の声優さんたちみなさん素晴らしい人ばかりだし長年の絆も素晴らしい。庵野監督がひとりひとりに「この役があなたで良かった」と感謝を伝えたのも、監督自身としても視聴者代表としてもそう言ってくれたのが嬉しい。
だけどこの記事では、宮村優子さんアスカを演じて（生きて？）くれてありがとう！良かったね！と言いたい。
(5月24日追記。ウェブニュータイプにもインタビュー記事が出ていたのでリンクを追加)
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