不安が不幸になる前に

まわりの同世代よりも給料は多くもらっているような気がするし、長く付き合っている恋人もいるし、生活していくには不満はない。だけど、このままでいいのかなんとなく不安・・・という悩みをよくもらいます。

なんとなく不安があるのなら、その「不安」が「不幸」になる前に打ち手の選択肢を増やしておきましょう。

たとえば(すっかり胡散臭い言葉になってしまいましたが)副業(復業)収入の幅を拡げておけば、いつか本当に仕事がイヤになったときでも、身軽に動けます。旅をたくさんしていろんな場所のことを知っていれば、転勤になっても戸惑わないかもしれませんし、悩んでいる時間はなにも生産的ではないので。

ひとりで行動を起こすのが困難なら、人を巻き込みましょうあ。やりたいことを常にアピールし続けて、やっている最中のメイキングを公開して、自分の力を増幅させてくれる道具や手段を「てこ」として利用するのもアリです。

たとえば就活生なら「新卒」という肩書きはそのときだけの強い「てこ」ですし、会社員なら会社の名前や事業規模が「てこ」になります。ただし、てこが外れたときは大きなケガをしてしまうので、あくまでその力は増幅されたものだと認識しておいて、自力を鍛えるのを忘れないようにしておくことです。

また、てこの支点とは良好な関係でいるべきです。SNS で会社の悪口ばっかり書いてた人が、退社エントリで「私はあの会社で学びました」みたいなことをアピールするのはみっともないし、信用されないと思います。

もし、将来像がイメージできていないなら、その理由を考えてみましょう。それは、将来を知らないからです。人が将来像を見るのには、3 つしか方法はありません。

1.本を読む。2. 人の話を聞く。3. 実際に体験する。

先人の人生を疑似体験するという意味で、伝記物とか、いろんな人の失敗談・成功談を読んでみてください。

「読ませる」より「踏ませる」なネットの煽りメディアやまとめサイトばかりではなく、本屋さんに並んでいるような何年も読み続けられている本に目を向けてみましょう。ヒント満載です。

「本なんておもしろくない」と言われるかもしれませんが、そのとおりです。本なんてだいたいがつまらないです。期待してはいけません。本はこの先を生きるための、考えるためのマニュアル本だからです。取り扱い説明書に興奮する人じゃあまりいないと思うので。

マニュアルを読めば、知ることができます。知らないことは想像できません。パンを見たことない人に、パンは作れないのと同じことです。

本を読んだら、その本を書いた人、その人に影響を受けた人に会えないか動いてみてください。SNSは便利ですよね。ただし礼儀はわきまえて。

もし、会うことができたり、やり取りができたなら(意外と返って来たりするんですよ。)本に載っていた話をもうちょっと深く聞いてみるとよいです。そうすると、ぐっと解像度が深まります。把握した上で身につけましょう。

現場に行く。本に登場した場所へ、足を運んでみましょう。伝記だったらお墓や史跡へ、経営者の失敗談だったら、その会社があった場所へ。

そうすると、まわりの空気を含めて体全体にビンビンに伝わってきます。アニメファンは「聖地巡礼」劇中に登場した場所を訪ねますよね。あれです。みんな、解像度を深めたいから現場に行っているんです。

本を読めばあなただけの聖地がたくさん増えます。街を歩くだけで誰かの人生を思い出し、考えることができます。

そうやって少しずつ、将来像を垣間見ることができるようになってきたら、その上で「やりたいな~」が「やりたい」に変われば、やってみましょう。もし、「やりたくない」になったなら、その原因をしっかり分析する。

なんでやりたくないんだろう? 儲からなさそうだから? 有名になれなさそうだから? もう誰かがやってるから? 

やりたくない理由の中に、やりたいことのヒントが隠れています。「なんとなくやりたい」という状態だったら、時間があって立ち直る体力があって、恥をかいても許される若いウチにやっておくのをオススメします

「なんとなく不安」というままで過ごすのは健康的じゃないし、いつか「本当に不安」になったときに身動きが取れなくならないように、手を打っておきましょう。

行き止まりの壁はどれだけ押しても動きません。まわり道、抜け道を探しておきましょう。たまにはバックしてもいいいじゃないですか。


※これは2016年に書いた「人生に主導権を取り戻す90分の授業」(三才ブックス)を2020年版にリミックスしたものです。

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