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第10話(最終話) 黒い砂 テケテケ誕生の物語【伏見警部補の都市伝説シリーズ】

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畑中が入院してから、一週間が過ぎようとしていた。
瑞江は、警察から事情を聞かれたものの、伏見からは、証拠は何も残っていないから、由美のことは話さなくていい、むしろ変に疑いを向けられると言われ、黙っていた。実際、瑞江自身が犯行にかかわっていないことは明白で、テケテケがやったなど、意味もなく騒がれるだけで、誰も信じはしない。

「……」

夕食を終え、一人部屋のベッドに腰掛けて、俯く。
畑中が入院して以降、殺人事件は起こっていない。由美も、どこにいってしまったのか分からない。あのとき、由美は確かにいたはずだが、今は……

「……?」

何かいる……
反射的に顔を上げると、ベッドの向かい側の壁際に、上半身だけの女がいた。

「由美……!」

立ち上がって近づこうとしたが、足が止まった。
様子がおかしい。
姿は確かに由美だが、雰囲気が違う。

「由美……?」

返事はない。
女は、下に向けていた顔をゆっくりと上げると、瑞江の目を見た。
その目は、瑞江の知っている由美のそれではなかった。
優しさではなく、狂気……

「ゆ……」

間合いが詰まる。

「おっと、そこまでだ」

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