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第9話 黒い砂 テケテケ誕生の物語【伏見警部補の都市伝説シリーズ】

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「できないって……なんでだよ、金ならいくらでも払ってやるって言ってんだ!!! なんとかしろよ!!!」

東京郊外にある西園聶寺(さいおんじょうじ)、その来客用の和室に、畑中の声が響き渡った。
畑中と江口は、警察では自分たちを守ることはできないと判断し、いくつもの困難な除霊を行ってきたという寺を見つけ出し、テケテケの“始末”をするように迫った。

「今まで山程除霊してきてるんだろ? なんとかしろよ!!!」

畑中は、いつもの調子で圧をかけたが、住職は目を伏せて、首を横に振った。

「残念ですが……」

「そんな一言で納得できるか……! なんでできない? 金なら払うって言ってんだぞ!?」

「そういう問題ではありません」

住職は言った。

「あなたたちは、いったい何をしたんです……?」

「何? 何をしたって……」

「あなたたちを狙っているモノは、表現する言葉が見つからないほどの怒りで満ちています……神にも匹敵するかもしれないほどの力をもったモノが、怒りのすべてをあなたたちに向けている……私では、どうすることもできません」

「神? 神だって!? ふざけんな! 相手はただの都市伝説のバケモンだ。そんな力あるわけ……」

「おそらく……」

「……?」

「彼女は今まで、人々の畏れを受け入れて、都市伝説で語られるような恐ろしいものになることを拒絶してきた。ところが、何かのきっかけで、彼女はそれを受け入れた。さらにはそこに、彼女自身の激しい怒りが混ざり合って、恐ろしい存在に変貌したのです……そしてその怒りはすべて、あなた方に向けられている……」

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