デ・キリコ展
観るのに時間が掛かり、体力・精神力を消耗させる展覧会だった。
作品自体にパワーがあり、画風の変化もある。そして見慣れない組み合わせのものを作品の中に入れ込む。遠近感をずらし違和感を生じさせ、更に時間軸も狂わせてくる。そのため観覧者は振り回される。
ニーチェやシャーペンハウアーに影響を受けたこともあり、この人は哲学を絵画で行なっているのではないか?
観覧者は作品を観て、今までの常識を壊され、物事を新しい目で見るようになる。哲学は物事を新しい目で見たり考えたりすること、と教えられた。キリコの作品を観ることは鑑賞者に哲学的な見方を強いてくる。
形而上学絵画は、見慣れている街が突然知らない街に見えたことから発想したという。
キリコと同じか分からないが、似たような経験は覚えがある。「あれ?この人、こんな顔してたかな?」、「毎日のように歩いている道だけど、何か違うような気がする」。デジャヴの反対のような感覚。キリコの作品に惹かれるのは、類似の体験をしているからかもしれない。
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