文献なしのオペラ入門5 ワーグナー入門

ワーグナーのオペラ入門について書いてみました。
リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)はドイツの作曲家で、おもにオペラ、楽劇の作曲家として知られています。おそらくドイツのオペラ作曲家の中では、もっとも有名な人の一人だと思います。

代表作としては、ローエングリン、トリスタンとイゾルデ、パルジファル、そして、ニーベルングの指環(ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリート、神々の黄昏の4部作)などがあります。


リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)

今回は、ワーグナーのオペラへの入門方法について書いてみます。
というのも、ワーグナーの作品は長いものが多く、トリスタンとイゾルデ以降の作品は大抵、4時間以上の時間がかかります。また、神々の黄昏やパルジファルは第1幕だけで2時間程度の演奏時間が必要で、下手すると1つのオペラ程度の時間を要することになります。

というわけで、いきなりワーグナーのオペラを全曲聞くとなると、退屈するのが普通でしょう。(なかにはルートヴィッヒ2世のようにローエングリンをはじめてみて、いきなり観劇できるような鑑賞能力の高い方もいらっしゃいますが。)

それではどうやって入門するかですが、ワーグナーのオペラの序曲、前奏曲だけを抜粋した管弦楽曲版を聞くという方法がまず考えられます。でも歌唱が伴わないことが多く、実際のオペラを聞くのとは違いますのであまりお勧めしません。

とするとオペラを聞けとなりますが、はじめは短いところから聞くのがやはり良いと思います。となると、ワルキューレの第1幕だけ聞くというのは一つの入門方法だと思います。ワルキューレの第1幕は登場人物がジークムント、ジークリンデ、フンディングの3名だけで演奏時間も1時間程度です。ベートーヴェンの第九を聞きとおすことができる人なら、まあ、耐えられる?演奏時間と言ってよいでしょう。

演奏なら、最近の映像作品で鑑賞するというのは一つの方法だと思います。たとえばメトロポリタン歌劇場で上演されたワルキューレのディスクで、第1幕だけ見るというものです。


CDならかなり古いですが、クナッパーツブッシュの1957年のステレオ録音の演奏もお勧めです。音質は結構よくて、鑑賞にも支障ないと思います。歌手も伝説のワーグナー・ソプラノのキルステン・フラグスタートやこれまた有名なヘルデン・テノールのセット・スヴァンホルムが歌っていて良いと思います。
CDはユニバーサルから出ている適当なものがなかったので、ほかの復刻を一応貼っておきます。これを買えばよいという意味ではないです。二つ目のリンクはユニバーサルからのものですが、やや高めですね。安値で再発売されるのを待った方が良さそうです。


では個人的にワルキューレが好きかというと実は、それほどでもなく、ニーベルングの指環なら、後半のジークフリート、神々の黄昏の方が聴きごたえがあって好きです。でも入門ならワルキューレの第1幕というのは良い選択だと思います。第1幕の後半のジークムントとジークリンデの愛の二重奏あたりを何度も聴いていけばワーグナーの良さがわかるような気がします。

ワーグナーの入門のおまけとして、ワルキューレの第3幕から、ヴォータンの告別と魔の炎の音楽も上げておきます。ワルキューレの第3幕の最後で、神々の王、ヴォータンが娘のブリュンヒルデへ別れを告げる音楽です。演奏時間として、20分かからない程度です。ワルキューレの第1幕と合わせてここも繰り返し聞くとよいでしょう。

演奏としては、最近のメトロポリタン歌劇場の上演の映像で良いと思いますが、古いものを1つだけ紹介しておきます。クナッパーツブッシュがこの部分だけ、ステレオで収録したディスクがあります。ヴォータンを歌っているのは、ジョージ・ロンドンです。

冒頭のオーケストラから迫力満点で、すばらしいワーグナーの音響を聞かせてくれます。

結論として、ワーグナーを入門するなら
(1)管弦楽曲の抜粋ではなく、オペラそのものを聞く
(2)はじめは演奏時間が長くないものが良い。例:ワルキューレの第1幕

となります。

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