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人に寄り添うロボット・Ballie(バリー)が発表されました

Samsungが、現在ラスベガスで開催されている「CES 2020」の基調講演で、コロコロと転がる球形のロボット「Ballie(バリー? ボーリー?)」を発表しました。同社が公開した映像をひと目見て、かわいいなぁ……欲しいなあ……って思いました。

とはいえ、現段階では、コンセプトモデルのような状態なので、実際に何ができるロボットなのかや、詳細な仕様は未発表です。そんな中「Ballie」が何者なのかを、数少ない情報を集めて、その一端でも垣間見れたらと思います。

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■Ballieの性能

Ballieは『機動戦士ガンダム』に出てくる「ハロ」のような可愛らしさをもった球体ロボットです。カメラを内蔵し、AIというか画像認識により人や動物などを見分ける能力を持つようです。また、おそらく家庭内の無線LANに接続し、ネットワーク内のテレビやエアコンなど、家電製品を操ることができます。会話も可能なので、想定としてはSamsungが独自開発しているAIアシスタント「Bixby」を搭載するのでしょうね。


コロコロと転がりながら、ユーザーの後をついて移動する様子は可愛らしいです。球体のロボットが自在に移動すること自体は、すでにSphero(スフィロ)社の各製品が実現しています。例えばスター・ウォーズの「BB-8」などは有名です。

Samsungの公式Twitterでは、「ユーザーを理解してサポートし、要求に応えます」としています。あまりにも漠然とした内容で、どんな要求に応えられるのかは、さっぱりわかりません。

ということで、同社の紹介動画を観てみましょう。

動画では、朝になるとBallieがカーテンを開いてくれます。またアラームを鳴らして、起こしてくれてもいますね。ユーザーが出かける用意をして玄関に向かうと、後ろをついていきバイバイしています。

ユーザーが出かけると、Ballieとペットの犬だけになります。ペットのためにテレビをつけて、犬の動画を選んで映しているようです。さらにペットが楽しそうな表情をしているのを写真に写し、ユーザーのスマホへ届けています。こうした「見守り」機能を備えているので、おそらくユーザーが外出先からペットの様子が気になったときにも、Ballieが部屋の様子を知らせてくれるのでしょうね。

その後は、犬が部屋を散らかすと、ロボット掃除機を起動します。Samsungは世界最大の家電メーカーの一つです。さらに最もIoTに力を入れているメーカーでもあります。例えばテレビやレコーダーなどのAV機器はもちろんですが、同社の強みは冷蔵庫などの生活家電製品も無線LANに接続している点にあります。そうした多くのIoT家電をBallieを介して、どこからでも操作できるようになりそうです。

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■Ballieのどこが「すごそう?」なのか

ただ、単に外出先からでも様々な家電製品が操作できるとか、単にペットを見守ってくれるといったものなら、それらを可能にする機器は既に存在します。

ではBallieは、何が「すごそうなのか?」を考えてみました。

いま開発されている家庭用ロボットが目指していることを、Ballieも目指しているんだろうなと思います。

Ballieの紹介動画の中で、「すごいかもしれない」って思ったのは、「ペットが部屋を散らかしたことを認識したこと」です。「ペットの餌が床に散らばり」部屋が汚くなったから「ロボット掃除機に指示して掃除した」わけです。

Ballieは、これをどういうふうに認識させるんでしょうか? 「あるべき状態ではない」という思考でしょうか。もしくは日々Ballieを使う中で、「ペットの餌が床に散らばった」状態が、ユーザーにとって「不快な状態」だと学習させたのかもしれません。

後者であれば、Ballieには、感情認識が可能だと言っても良いかもしれません。AIの専門家からすれば違うのかもしれませんけどね……。例えば、日常の中で、ユーザーが不快な表情をしながら「Ballie、ロボット掃除機でココを掃除して」と「ペットの餌が床に散らばっている状態を」指さしながら指示したのかもしれません。これによって、Ballieは「ペットの餌が床に散らばった状態は、ユーザーが不快なのだ」と認識し、そうであれば「ロボット掃除機で床掃除するべきだ」と学習したのかもしれませんね。

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ロボットが次なるステップに進むには、こうした感情認識の精度を高めていってほしいものです。

そうした意味では、ソニーの犬型ロボット「aibo」が先行しています。例えばaiboは、ユーザーが何をすると喜ぶのかとか怒るのかといったことを把握できるとしています。リアルな飼い犬と同じように、ユーザーがaiboを撫でてあげると「褒めてくれた」「喜んでくれた」と認識するようにプログラミングされているんです。例えば「お手」をしてユーザーが褒めると、頻繁に「お手」をするようになります。

そのほか、感情認識については、ソフトウェア開発が進んでいます。aiboの場合は「aiboを撫でる」ことで、ユーザーが喜んでいると把握しているようですが、そのほかにもユーザーの表情を読み取ったり、声から解析したりと、人間の感情は様々な方法で読み取れるようです。こうした機能をブラッシュアップして、ロボットに組み込んでいってもらえればと思います。

そうして「自律」して「先回り」してユーザーが求めることを、実現していってもらえると嬉しいです。つまり、ユーザーが何もしなくても、快適な環境や状況にロボットが導いてくれるといいなぁと。

■結局のところ、Ballieの実力は?

Samsungは、スマホ「Galaxyシリーズ」を擁し、世界で最も売れているテレビを開発し、既に様々な家電製品に無線LANを搭載しているメーカーです。まだ発売時期は未定としつつも、この1-2年内には販売されるのではないでしょうか?

ただ、実際のBallieがどれだけ有用なロボットになるか分かりません。

まぁでも、どうも僕はロボットに利便性を求めがちです。ただ現段階で、ロボットに利便性を求めるべきなのか疑問でもあります。

だって利便性を求めるなら、既に僕らは「スマホ」や「スマートスピーカー」という利便性がピカイチの「ロボット」を持っているんですからね。特にスマホは、自律して移動はできないし、ユーザーの感情を読み取る機能もありませんが、確実に近々発売されるかもしれないBallieよりも、利便性が高いです。スマートスピーカーも同様ですね。Ballieを介して家電製品を操作するには、おそらくSamsung製品で揃えるか、GoogleやAmazon対応の家電製品を揃える必要があります。

利便性を中心に、コストパフォーマンスで考えると、Ballieはもちろん、前述のソニー「aibo」も、シャープの「RoBoHoN」でも、スマホやスマートスピーカーに勝てるわけがありません。

さらにBallieについて発表された項目を読むと、「オンデバイスAI」を搭載するとありました。

これは、スマホやスマートスピーカー、多くのIoT製品が、クラウドを活用しているのと違い、Ballie本体に搭載されたAIを使うという意味です。これをそのまま信じるなら、確かにセキュリティ面では心配が減るかもしれません。また、可能な範囲であれば、レスポンスが良くストレスも少ないかもしれませんね。

ただ、AI機能で様々な制約が出てきそうです。Ballieの発表会を見て、勝手に想像している「ウォーリー」や「BB-8」、「ハロ」のようなロボットにはならないだろうなぁ……と。

なんで5Gを推進するSamsungが、わざわざ「オンデバイスAI」のロボットを開発しているのかは、ちょっとした謎です。もしかしたら、そこになにかイノベーティブなカラクリがあるのかもしれませんが……。

いずれにしても、こうした様々な「人に寄り添うロボット」(Samsungは「知能型コンパニオンロボット」と表現)が発売されるのは嬉しいです。発売されるたびに賛否や是非を問われると思いますが、確実に「ハロ」や「BB-8」のようなロボットへと近づいていきますからね。今後も、こうしたチャレンジングな製品を、温かく迎えていきたいと思います。

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(RoBoHoN欲しいな)

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