見出し画像

【work】 時代の変化でNGになった過去のデザインTシャツ

過去の作品を紹介してきていますが、今回は時代の変化によって人々の認識が変わったことによりアウトなデザインになってしまったものを紹介します。 まずは画像を見てみましょうか。

商品名を失念した!
デザイン部拡大

デザインタイトルを失念してしまったんだけど、このデザインについて簡単に解説しますね。

Tシャツは天竺(メリヤス)編みと呼ばれるニット生地で作られることが一般的ですが、これは織物と違ってハサミなどで切ってもその端がほつれにくくなっています。 そんな特性を利用してTシャツをカットアウトしてショート丈にしたり、襟のリブを切り落として肌着としてシャツへの響きを無くしたりすることがあります。 中には複数の切込みを複雑に施してまるで別の物のようにアレンジしてしまう人まで居るんですよね。

今回紹介しているデザインは、襟の真ん中を下にハサミでカットしていくと、その深さに応じて見る人の印象が変わるよねっていうことを、男女それぞれにありがちな評価を左右に分けて表示したもの。 男性が胸元に深い切込みの入ったTシャツを着てたらなんか気持ち悪いけど、女性が同じようにしてたらつい目が行ってしまう的な状況をデザインしたものです。

このデザインを作ったときは恐らく面白く感じてたんでしょうね。 これを最近HDDの中から見つけたときには違う印象でした。
「あー、これはアウトだよね」
多分今この記事を読んでくれているあなたも同じように感じたことだと思います。 これをデザインしたのは多分2000年代の終わりから2010年代のはじめ頃だと記憶してますが、その頃はまだこういう題材を面白く扱うことに対して世間が寛容というか鈍感だったんです。 2023年現在は皆さんご存知の通り、ルッキズムやジェンダーの問題は世界的な課題となっています。

今後はこうした問題はどうなるのがいいんだろうと考えます。 僕個人としては、マジョリティかマイノリティかなんてことを考えなくていい状態が理想的だとは思う。 しかし、世界は多様な個の集まりで本来それぞれのあり方は尊重されるべきですが、人類には個であるときと群れであるときでは物事に対する反応が変わることもあり、なかなか個をあるべき姿で許容することが難しくなっているのが現状なんでしょう。 だからこそ論争や対立を生むわけです。 理想を実現するにはやはり時間をかけて教育していくことが世界の人々の認識を変える方法なのかもしれないですね。 但し、何かの物事に対する認識や評価は時代の気分や研究によって容易く変化します。 未来が楽しく優しいものになるといいなぁ。

ところで、このデザインでは男性を青、女性を赤の文字で示していますが、画像を見て思い出したことがあります。 白地に青と赤……そう、床屋さんのサインポールと同じです。 このサインポールが、古くは床屋が医療行為も行っていたことから動脈と静脈を表す赤と青が用いられているっていう話はどこかで聞いたことがあるかもしれません。 しかし、床屋が医療行為?って思いますよね! なんと、行われていた医療行為とは瀉血(しゃけつ)と呼ばれる民間療法だったんですって!
Wikipedia: 瀉血
この瀉血も当時は効果があると信じられていたそうですが、現在では効果は否定されています。 時代が進み、様々な分野での研究や人々の知識の蓄積で常識も物事への認識も変わっていくんですね。

さて、次回は何を紹介しようかな。

サポートしてくれる人が増えると、新しい作品を作る余裕も出てきます。余裕は新たな可能性を見出す機会をもたらしてくれますね。新たな可能性からは今までと違った視点も生まれるかもしれません。