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映画アワード2023!

今年見た新作映画は40本。
その中から際立った映画を表彰して行きます。
これをあーでもないこーでもないと考えるのが年末の何よりの楽しみです。

まずは部門賞を、次いでベスト10を発表します。

これを発表するまで僕の中で2023年は終わっていないので、表彰式の間は2023年のことを「今年」、2024年のことを「来年」と呼びます。

部門賞

最高のはじまり部門

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』より、若い頃の活躍から一転、落ちぶれまくった老人インディ。

『3時10分、決断のとき』や『ローガン』で、落ちぶれて誇りも失った男と、その生き様を撮り続けて来たジェームズマンゴールド監督。
彼がインディの最終作を撮ると聞いて期待していたものがそのまま出て来て「これこれこれ!これが見たかったのよ!」ってなりました。
授業をしても学生は誰も聞いちゃいないし、隣の部屋の若者はうるせーし、独りぼっちだし、本当に惨めで悲しくて最高でした!!

他の候補も、それを選ばなかった理由付きで書いておきます。

・『ウィッシュ』の前に流れた『ワンスアポンアスタジオ 100年の思い出』
始まり方じゃなくて別の映画だろうということでやめておきました。

・『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』より、グウェンによるこれまでのあらすじ。
これもマジで良かったんですが、スパイダーマンには他にも表彰の機会があるので、ここではインディに譲ってもらいました。

最高のおわり部門

『バビロン』より、歴代名作映画メドレー

最後の爆発力で全部持っていく、デイミアンチャゼルの十八番ですよね。
今作に関しては、これだけで全部持っていくには尺が長過ぎた感もありますけど、やっぱりこういうラストに全賭けタイプの映画は大好きです。それに狂気の道を突き進み破滅する、そのことを良しとするような精神性も大好きです。
主人公は1人狂気の夢から覚めてしまって、破滅すらも出来なかったけど、それでも確かに自分は映画と繋がっていたんだっていう、素晴らしい終わり方でした。

他の候補には
・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』より、それぞれの門出
・『ロスト・フライト』より、仕事を終えタラップに腰掛ける機長
もありました。

最大瞬間風速部門

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』より、part2のカオス状態、からの石

今年のこの部門を決めるのは非常に難しかったですが、これに決めました。去年一昨年は考えるまでもない、「これしかないだろ」って瞬間があったんですけどね。
めくるめく暴走する画面にこっちの理解が追いつかなくなってきたころに、虚をつくような石。そして静寂。
生理的に気持ち良くなっちゃいますよね。ほぼ射精です。

他の候補には
・『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』より、終盤全部。
がありました。こっちとのW受賞でも良かったかもしれません。

歌曲部門

『リトル・マーメイド』より、"パート・オブ・ユア・ワールド"

オリジナル版を見たことがないので、間違いなくディズニーを代表する一曲であろうこの曲もこれまで聴いたことがありませんでした。
めっちゃ良い曲!!!!
「分からないことたくさん 教えて欲しいことたくさん」
の部分が超好き。「分からないこと"たくさん!"」って、ちょっとセリフっぽくなってるのが良い。

他の候補には
・『ウィッシュ』より、"This Wish"
・『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』より、"CMラップ"
がありました。

・『グリッドマンユニバース』の"uni-verse"
・『アクロスザスパイダーバース』の"REALiZE"
も凄い良かったけど、劇中歌じゃなくて主題歌なので選外に。
主題歌部門を作っても良いかもしれない。

主題歌部門

というわけで急遽作りました。主題歌部門。
受賞したのは2曲。

『グリッドマン ユニバース』より、"uni-verse"

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』より、"REALiZE"

"uni-verse"
グリッドマンの放送当時の興奮だったり、それ以前の、高校時代のなんてことない日々だったり、"あの頃"の思い出を呼び覚ます名曲でした。
『グリッドマン ユニバース』自体には(特に新条アカネの扱いについて)思うところがあるものの、まあ良い映画だし、幸せなシリーズだったなと思えたのは、この曲の力によるところが大きいです。

"REALiZE"
絶体絶命の大ピンチ!!からのバンド結成!!!!こっから捲土重来だ!!!!
という熱い展開の後にこんなのが流れたらもうテンションブチ上げですよね。
「時間だ」
からサビに入るのが、さあ行こうぜ?って感じを出していてカッコいいです。

「これは僕にしかできないんだ」
と言い切った後に
「これしか僕にはできないんだ」
と言い直すのもカッコ良過ぎます。

でっか……!部門

『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』より、アルチンボルドモンスター

デカいものは恐ろしい、デカいものは面白い、つまりデカいものは素晴らしい。
圧倒的にキモいけどどこか愛嬌があって、貼り付けられた動物達が不憫な表情をしてるのが堪らないですよね。「なんで俺こんなことになってるの?」みたいな。特にキリンの表情が好きでした。

他の候補として
・『バビロン』のラストの"映画史"
なんかも考えていましたが、それはひねり過ぎだろうということでやめておきました。
また、デカいと言えばゴジラ-1.0のゴジラだけど、KoMやGvKのゴジラの方が好きなので選外に。

最高の悪役部門

この部門にも受賞者が2人いるので、それぞれ表彰します。

『長ぐつをはいたネコと9つの命』より、死神

厳密には悪役ではない感じもするけど、カッコ良すぎる。しかもモフモフで可愛い。つまり最高。
突然現れ、場の空気を全部持っていく存在感が最高でした。
吹き替えの声もめっちゃ良い!

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』より、ジョブ・トゥパキ

こっちも悪役かと言われると微妙なところなんだけど、でも最高に魅力的でした。
コロコロ変わる表情や衣装も良いし、遭遇したら即アウトって感じの恐ろしい存在感がありました。
ただ恐ろしいってだけじゃなくて、馬鹿馬鹿しくもあるのが良いですよね。
しかもその馬鹿馬鹿しさは、「この世界に意味なんてない」という彼女の持つ強烈な虚無感から来ているということで、ちゃんと必然性を持って演出されています。
特に
「ン〜〜〜〜オーガニック🤘😉」
が最高でした。新たに「最高のセリフ部門」を作って、そこで表彰しても良いかもしれません。

他の候補には
・同じく『長ぐつをはいたネコ』より、ビッグ・ジャック・ホーナー
・『ヴァチカンのエクソシスト』より、演出過多な悪魔
とかも居ました。

君たち楽しそうだね部門

『逆転のトライアングル』より、漂着したセレブ達の鹿狩り

立場も何もかもはぎ取られたセレブ達が、厳しい自然の中で惨めに縮こまっている様子が見られるのかな?と思っていたら、意外にも連帯して困難に立ち向かって、結構楽しそうに暮らしていました。
気持ち良く予想を裏切られたのもあって、凄い面白かったです。

この部門は候補がめちゃくちゃ多かったです。
他の候補には

・『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』より、人気者になろうとする4人

・『バビロン』より、無声映画の撮影

・『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』より、チョコレートカルテルのミュージカル

・『ザ・マリオブラザーズ・ムービー』より、式場へと急ぐマリオとドンキー

なんかがありました。

君たち楽しそうだね部門の審査基準として、楽しそうなことの他に、輪が広がる余地がある感じも重要だったりします。
デートシーンだったりで、良い感じの2人が楽しんでる(=関係が閉じている)のはなんか違うということです。

逆に「それ何が楽しいの?部門」は
・『アステロイド・シティ』より、偉人の名前を暗唱するゲーム
が受賞しました。


そして遂にベスト10の発表です。

2023映画ベスト10!

1位『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

2位『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

3位『マイ・エレメント』

4位『アステロイド・シティ』

5位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』

6位『長ぐつをはいたネコと9つの命』

7位『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』

8位『君たちはどう生きるか』

9位『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

10位『苦い涙』





最下位(該当作なし)

10作品を選ぶのってこんなに苦しかったっけ?と毎年思っている気がする。

中でも、大好きなシリーズの最終章、みたいな特別な思い入れのある映画、具体的にはガーディアンズオブギャラクシーとジョンウィックの扱いが凄い迷いました。
枠を2つも奪っちゃうし、それに人生に深く食い込んでいる作品を順位というまな板の上に晒すのは辛い。
もう別枠にしても良いんじゃないかなとも思ったけど、「いいや!それは逃げだ!」と自分を叱咤して泣く泣くランキングの対象にしました。
一応順位は付けたけど、シリーズに対する愛情はこの順位には収まりきっていない、ということにしておきます。

『ヴァチカンのエクソシスト』も、『ミッションインポッシブル』も入ってないなんてマジ!?
とは思うものの、何はともあれこういう結果になりました。
以下、それぞれの作品に簡単なコメントを書いていきます。

1位『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
アカデミー作品賞を獲った映画を1位にするのは気恥ずかしいんですけど、でもめちゃくちゃ面白かったし、めちゃくちゃ好みでした。
マトリックス的なアクションに、「"全て"を乗っけたベーグル」なんかの『銀河ヒッチハイクガイド』的なナンセンスギャグがプラスされていて、『銀河ヒッチハイクガイド』のファンとしてはそれだけで最高!
そして『銀河ヒッチハイクガイド』は「この世界に意味なんてない!」ということを言っているのに対して、こっちは「それでも世界に意味はある!」ということを言っているように感じます。
正直その世界を肯定するロジックが成立しているようには思えないんですけど、映画の後半で、訳の分からないことを物凄い熱量で捲し立てられて、意味も分からないまま泣く、という貴重な経験が出来ました。

2位『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
本当に最後の最後までこれとエブエブのどっちを1位にするか迷っていました。
しかし、これは明らかに繋ぎの回なので、一本で完結してないものを1位に置くのはどうなんだ?ということで席を譲ってもらいました。
来年完結編が公開されるんですよね。だからもう今から言っちゃいますけど、来年の1位はスパイダーマンです。来年もよろしくお願いします。

3位『マイ・エレメント』
素敵過ぎましたね。何度か泣きました。
両親のことが本当に大好きで大切で、だからこそ追い詰められてしまう。エンバーのそんな苦しみが痛いほど伝わって来ました。
めちゃくちゃ完成度高いし、めちゃくちゃ刺さって来たし、これが1位になる世界線も全然あり得たと思います。

4位『アステロイド・シティ』
2022年にどんばまりしたウェスアンダーソン。
彼の映画をようやく劇場で見ることができました。
物語とそれを物語る人々の隙間にある何かを手探る、みたいな、『ライフ・アクアティック』にも通じるような終盤も良かったです。

5位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
MCU、ひいてはヒーロー映画にハマるきっかけになったシリーズです。青春の思い出がまた一つ完結しました。寂しいけど晴れやかな気分です。
そしてこのGotGの完結によって、僕の中でMCU全体も完結しちゃった感じがしちゃいました。
なんか5位になっちゃってますけど、心の中では圧倒的に1位です。

6位『長ぐつをはいたネコと9つの命』
基本的にはずっとカラフルで楽しい画面が続くけど、主人公が死と1人きりで対面するようなシーンでは一気に色が落ちこみ、その色彩の対比によってどちらのシーンの印象も強まっていました。
話の内容も、落ちぶれたヒーローの話はめっちゃ好みです。主人公も悪役も魅力的でした。

7位『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』
これが7位止まりなの?マジで?って感じです。どうなってるんでしょうねほんと。
冒頭の、時間稼ぎが見苦しい身の上話で一気に心を掴まれて、最後まで笑いながら見ていました。ずっとめちゃくちゃ面白かったです。

8位『君たちはどう生きるか』
後半で一気にギアあげてきててめっちゃ面白かったです。物語を通じて時を越え交流するっていう話もすごい好きです。テッドチャンの小説みたいな、品の良い寓話仕立てのSFっぽい感じもしました。
物静かで、少し狡さも持っている眞人が少年主人公としてかなり良いですね。あと鳥人達がわちゃわちゃしてるのが可愛い。

9位『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
お疲れ様でした。
シリーズが続く毎にアクションがどんどん過激化していって、それに伴って話の印象がどんどん薄くなっていって、前作の内容とかほぼ覚えてなかったけど、それでも問題なく楽しめました。
哀愁が根底にあるのが良いですよね。ツッコミどころの多さも愛おしい。
シリーズの中で1番好きなシーンは、その両方を兼ね備えた、1作目の「埋めた銃をすぐに掘り返すジョン」です。
新キャラのノーバディもすげー良かった!
彼が主役の新シリーズを本当に期待してます。

10位『苦い涙』
なんか好きなんですよね。
純真で残酷なピーターが、アミールによって本当に心の底から傷付けられてる様子がめっちゃ可愛い。だけど、大柄な彼が暴れ出すと普通に怖かったりする。そしてそんな彼とアミールとのパワーゲームの隅で妙な存在感を放っているカール。
短くまとまってるのも良い。

最下位(該当作なし)
つまらない映画やムカついた映画はあったんですが、去年の『ジュラシックワールド』や、一昨年の『竜とそばかすの姫』のような、許せねー!!ってほどの映画はなかったです。
許せない映画の選定基準として、事前の期待度の高さとかも重要なのかもしれません。

一応最下位候補として
・『シン仮面ライダー』
・『アリスとテレスのまぼろし工場』
・『カンダハル 突破せよ』
がありました。

まとめ

面白い映画がいっぱいで満足!!!


2022版

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