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それでも大企業に就職すべき理由

”越境者”による”越境思考”、今回は「それでも大企業に就職すべき理由」について。
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大学時代からやりたいことが明確で、既に事業を立ち上げて、顧客から対価を受け取っているような人は例外。重要なのは後者で、やりたいことが明確なだけでまだ顧客がついていない人にとっても、大企業に就職するチャンスがあるのであれば、ひとまずは活かした方が良い。
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それは下記を体験できるから。
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(1) 大企業は日本社会の縮図
(2) システムとして維持されている唯一の「タテ糸」コミュニティ
(3) 大企業は人脈獲得の効率が凄まじく高い
(4) 新卒就職のチャンスは人生で一度しかない
(5) やりたいことは変わるし、いつでも勝手にやる
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(1) 大企業は日本社会の縮図

日本は企業システムで動いている。企業が人を雇い、設備投資を行い、価値を生み出し、それを従業員に分配して、国家に納税し、国家は更にそこから必要なところに分配する。この再分配システムが強固に機能している。ベンチャー企業が台頭してきているが、この再分配システムの中では規模は小さく局所的で、趨勢自体は大きく変わらないはずだ。
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大企業は従業員の人数も多く、機能分化していて複雑な組織であることが多い。そして、それぞれの組織が有機的に連携することで、価値を生み出す構造となっている。当然、組織の間、個人の間で矛盾が発生するが、どう解決していくのかということについて知恵を絞ることになる。
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無駄に思えたり、厳しい判断を迫られたり、我慢することも多いが、もう少し視点をマクロに持っていくと、実は日本社会の縮図、コピーであることが分かる。
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大企業で切磋琢磨することで、日本社会の中でどのように生き抜けば良いのか、ということについて実体験をもとにした知恵と具体的な方法を手に入れることができる。世の中と折り合いをつけることができるようになる。もっと言えば、世の中を利用、活用することができるようになる。
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(2) システムとして維持されている唯一の「タテ糸」コミュニティ

昨今、コミュニティについての活動が様々なところで行われているが、本当に重要な価値を持つコミュニティを再構築することについて議論や活動が成されていない。
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コミュニティは多様性を持つことによって初めて大きな価値を持つ。ここでは詳しく書かないが、多様性の中に入ることによってこそ自分の個が活きる。なぜなら、自分に欠けた部分は、多様性の坩堝からひねり出して補えば良いからだ。
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大企業は残念なことではあるが、その大きさとオーナーシップの無さが故に茫漠とした人材募集をすることが多い。そもそも募集人数が多いということもあり、集められた人間は極めて多様になる。かつ、大企業は毎年採用活動を行うため、多様性も時間とともに積層されていく。意図せずとも「ヨコだけでなく、タテも多様な状態」、すなわち極めてカオスな状態になる。
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カオスな状態が発生しているコミュニティは、コミュニティ再構築を標榜する活動からは生まれない。それは、コミュニティ再構築という目的に共感した人間が集まった結果として、多様性が失われることになるからだ。年齢の幅も狭く、皆似たようなことを言う。もっと言えば、似たような顔をしている。似た者同士で得られるのはその場の共感のみで、個を組み合わせた価値提供の仕組みづくりには繋がらない。
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繰り返すが、日本の大企業が「かなり適当に、茫漠としたミッションで人を集める」という行為は、体力(金)があるからできるのであり、実はカオスを発生させる装置としては有効に機能している。負の側面として見られることが多いのが残念だが。
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(3) 大企業は人脈獲得の効率が凄まじく高い

言わずもがな。これだけ規模の大きいカオスの坩堝が自分の手が届く範囲に実体として存在しているということ。少しの勇気があれば、タテにもヨコにも繋がることができ、自分とは異なる個性から様々な知見を手に入れることができる。これほどの装置は少なくとも日本国内には他に存在しない。
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(4) 新卒就職のチャンスは人生で一度しかない

日本特有のシステムが変わるには時間がかかる。少なくとも現段階、しばらくの間は変わらない。新卒入社ができるのは人生で一度だけ。茫漠としたミッションで人を募集する大企業は、手垢がついていない人材を求めたがる傾向にあるため、様々な問題をはらむにも関わらずこのシステムは存続する。逆に新卒のチャンスを逃すと、その後は高度な専門性や経験を極めて狭き門の中で求められることになる。
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純白の状態だからこそ、カオスの坩堝を手にするチャンスがあるということ。
このチャンスを活かさない手はない。
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(5) やりたいことは変わるし、いつでも勝手にやる

ということ。やりたいことがある人というのは、やりたいことがない人と同義。本当にやりたい人は、既にやっている。大学生だろうが、場合によっては小学生だろうが、具体的にそれを実現して社会に投げかけ、対価を得ているはず。
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だから、今この瞬間に「やっていない」人は、ひとまず大企業に行けば良い。人間、本当にやりたいことがあれば、企業に属しながらでも時間を創り出してやる。その時に、大企業にあるカオスの坩堝は非常に役に立つ。タテとヨコの糸が、自分にない才能や、社会(顧客)との接点、やりくりの仕方などを提供してくれるからだ。
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昨今の企業解体論、非常に危険。
大企業が茫漠としているからこそ、個の強みが発揮される。
ベンチャーへの憧れということ自体が論理的矛盾、虚構であるということとセットで。
それはまた別の機会に。
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#越境者 #越境ニュータイプ #越境思考 #越境思考ハック

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