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そこのみにて光輝く/呉美保監督

『そこのみにて光輝く』。佐藤泰志さん(1949〜1990)の1989年に出版された小説が原作。呉美保さんの(1977年生まれ)映画は初めて見ましたが、三作目の監督作品だそうです。女性の映画監督は少ないし(思いつくのは川瀬さんぐらいか)若手でもあるので、インタビューなどでは「女性(監督)の視線/視点」を問われがちでしたが、確かに本人もそのあたりは意識している部分はあるようです。

私から見ると達夫役の綾野剛さんはかっこよすぎる。函館を舞台にしたラブストーリー的な要素があるので、千夏(池脇千鶴さん)と達夫(綾野剛さん)の話に集約されがちだけれども、基本的には閉塞した地方都市の家族を描いた物語ですね。原作は読んでいないのですが、舞台設定は現代に合わせて大きく変更されているようです。呉監督はかなり繊細に画面の細部まで作り込むタイプのようですが、強いていえばそこに意味を盛り込みすぎているようにも見えました。カメラが近いからか。

登場人物のことを言えば拓児役の菅田将暉さんは傑出しています。菅田さんは青山真治監督の『共喰い』での演技が強烈に記憶に残っていますが、今回の映画でも重要な役どころを見事に演じていました。この俳優さんは凄いですよ。ともかく呉美保さんは「次の作品も見てみる」リスト入り。撮影は近藤龍人さんで彼は『私の男』の熊切和嘉監督のカメラも務めています。近藤さんも熊切さんも呉さんも同世代のようですね。

監督:呉美保  出演:綾野剛 | 池脇千鶴 | 菅田将暉
2014年7月30日鑑賞

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