ジョーカー/トッド・フィリップス監督
それで『ジョーカー』見てきましたよ。
https://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/about.html
自分はどちらかと言えば映画を観ることが多い方だと思いますが、実は映画『バットマン』のシリーズって見たことがありません。もともとアメコミで、実写版としても1943年からあるらしいのですが、「ジョーカー」というのは要するに常にバットマンありきの、ヒーロー像に合わせて規定されてきたネガティブ・キャラクターです。
設定は1980年代のゴッサムシティー(これは『バットマン』の設定でもあります)ということですが、初めに気がついたのは「ピエロ」という職業(?)は、アメリカではすでに人材派遣業が仕切っているのですね。主人公のアーサーは(ホアキン・フェニックス)は、すでに2極化したアメリカの経済構造の中で、弱者の層に属する人間であるわけです。その中でも彼は「心優しい」人間だといえます。
私たちは、一般的に物事を単純な「善・悪」に二分して理解することが多いわけですが、この『ジョーカー』という映画でいえば、「悪(それも凶悪ですね)」が人の心の中でいかに立ち上がり、それが破壊的で破滅的なまでの大きな力となっていく、その「過程」が描かれています。
先日観た是枝監督の『真実』はベネチア映画祭のオープニング作品でしたが、このトッド・フィリップス監督の『ジョーカー』が今回のベネチア金獅子賞です。この映画が描いた過去(80年代)の架空の都市は、不正義ばかりが横行するまさに「現在」の私たちのリアルな世界でもあるわけです。その意味でもかなり「怖い」映画ではありました。とはいえ、映画の現実と物語とを交差させる「仕掛け」が、最後の最後までよく練られた作品でもあります。今、観るべき映画。
監督:トッド・フィリップス 出演:ホアキン・フェニックス | ロバート・デ・ニーロ
2019年10月24日鑑賞
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