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この世界の片隅に/片渕須直監督

授業で『この世界の片隅に』について生徒(高校3年生、すずさんがお嫁入りしたのと同じぐらいの歳でしょうか)と少し話をしたので、昨日、今更のようですが地元の映画館で見て来ました。

お正月休みに、こうの史代さんの「原作」の漫画を読んでみようと思い立ち、久しぶりにKindleのアプリを開いたら、前作『夕凪の街 桜の国』が入っていました。たぶん誰かのツイートで興味を持ってダウンロード購入したのだと思いますが、そのこと自体忘れていました。こちらは戦後の広島(1958年、1987年、2004年)をめぐる短編です。せっかくなので『夕凪の街 桜の国』を読み直し、『この世界の片隅に』と通して読みました。素朴なタッチの絵肌で丁寧に感情の揺れを追った素晴らしい作品ですね。

片渕須直監督の劇場版アニメの方も、原作に対する思い入れが素直に伝わる優れた作品だったと思います。漫画のコマ割りと、映画の画角やカットは仕組みが全く違うので、漫画本体には描かれてない背景描写を加える必要もありますし、アングル自体も映像の効果・特性に合わせかなり変更されていましたが、基本的に原作に素直に寄り添って、そして噛み砕いて撮られていると思います。上映時間は2時間ぐらいはあったでしょうか。ひと連なりの物語として多くの人に伝わりやすい構成がヒットに結びついたのでしょうね。

その分、漫画にある「隙間」というか、ザラッとした感覚は多少削られてはいますが、それはこうの史代さんの原作の方でぜひ。個人的には劇場版ではカットされている、リンさんをめぐるすずさんの気持ちの動きの描写が秀逸だと思います。

監督:片渕須直  声の出演:のん | 細谷佳正 | 稲葉菜月
2017年1月13日鑑賞

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