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たかが世界の終わり/グザヴィエ・ドラン監督

グザヴィエ・ドラン監督の『たかが世界の終わり』を見ました。第69回カンヌ国際映画祭でグランプリ。ドラン監督についてはすでに説明するまでもない27歳、若き天才です。12年ぶりに帰郷した主人公(34歳の作家)のルイと、母と兄夫婦と妹との5人による「会話劇」で、劇作家ジャン=リュック・ラガルスの同名の舞台劇の脚本を原作としています。
https://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/

自らの死を伝える、そのために家族に会うことにした。それ以外この家族をめぐる背景については説明されることもなく、家族どうしのひたすら緊張した、そしてその場の緊張を繕うような他愛のない会話が続きます。兄のアントワーヌだけは、苛ついた攻撃的な言葉を家族に対して投げつけるのですが。そのひとつひとつの会話そのものが主人公の苦悩や家族との葛藤を描写しているわけですが、それは同時にその家族全員の、それぞれの家族に対する葛藤でもあり、苦悩でもあり、そして「愛」でもある、という話なのだと理解できます。

それにしても美しい、それも極端に無駄のない、必要以外の背景は全て切り取られたカットの集まりです(画面の枠を強く感じます)。そして全編にわたって強い音楽、あるいはその歌詞とともに、切れ目のない濃密な時間が流れていきます。それぞれの「言葉」とともに。

そう、『たかが世界の終わり』です。強くお勧めします。それぞれの俳優の演技も素晴らしかった。

監督:グザヴィエ・ドラン  出演:ギャスパー・ウリエル | レア・セドゥ | マリオン・コティヤール
2017年2月22日鑑賞

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