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ホモ・サピエンスの涙/ロイ・アンダーソン監督

2021-01-11鑑賞

スウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン監督の『ホモ・サピエンスの涙』を見た。また奇っ怪なタイトルを付けたものだが、英語では『ABOUT ENDLESSNESS』。ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)。
http://www.bitters.co.jp/homosapi/

実はロイ・アンダーソン監督作品は今回初めてなのだが、これはすごい…。1シーン1カット。固定カメラで撮影された33編からなる映像作品だ。当然のながら人物の配置から背景までが計算し尽くされていて、その背景がまた「雑然とかつ整然と」作り込まれている「自然な不自然さ」を不思議に思ったのだけど、それらは全てスタジオセットでの撮影で、かつ模型と書き割りなのだという。シャガールの絵のような「男女」が上空から見下ろす戦禍の街の廃虚も、全てがそう。

それぞれのシーンで、ナレーションがあったり無かったりする。「男を見た」あるいは「女を見た」。そして簡単な説明。それぞれの人は傷ついていたり、また傷ついていなかったりする。あるいは「エネルギー不変の法則」を説明する。雨が降り、雪が降る。踊る。

人間の弱さ。それでも人生は永遠であり、かつ「美しい」のだという。あるいはスタックした車のボンネットを開ける。早くも今年一推しの傑作か。

監督:ロイ・アンダーソン  
出演:マッティン・サーネル | タティアーナ・デローナイ | アンデシュ・ヘルストルム

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