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大学生活を振り返って

  「大学生活、君はどう過ごす?」
何気なく過ごしていた大学生活の最初のスパイス。ピリッとしたこの問いから始まり、ヒッチハイクや、海外の旅、全国の大学生との出会いや、沢山の素敵な方々とのお話。全て懐かしく、かけがえのない思い出。苦しいものも多かったが、懐かしく思える。それを懐かしく思えるのはその時の自分を今は受け入れることができるからだろう。大丈夫だよと、温かく。大切に眺めることができるから。そんなことを思いながら、自分の変遷を振り返ってみた。

初年次2016年4月ではAO入試で大学に入学し、それまで行ってきたサッカーを辞める決心をしたことから学力的にも技術的にも劣る自分に、漠然とした不安を抱いていた。その不安をガソリンに、進んだ一歩がつかんだホリエモンの一冊、そこにヒッチハイクの話が書いていた。これなら僕にもできるかなと勇気を出して路上に向かった。
様々な土地をめぐり、海外にも旅をして、世界の広さと自分の小ささを実感した。世界の広さは自分の知らない素敵な世界がまだまだあることへのわくわくを。自分の小ささは他者との比較からくる苦しみと焦りを。僕に与えてくれた。さて、厄介なのは後者である。

水平な現実世界と垂直な異界(過去、未来)との繋がり、他者との比較は一般に人間関係などの、水平の観点で語られることが多いが、加えて僕は垂直の偉大な方々とも比較し両者の苦しみを感じていた。そして、両者の思想から導かれる行動原理の差異によるいわゆる、理想と現実の違いによる悲しみや苦しみから、極めて個人的な深い悲しみを感じていた。
感動映画であれば稀有な出会いから一気に解決!そんなこともなく、深い悲しみはじわじわと僕を自己否定という泥ぬまへ導いていった。

素直と真面目さだけが取り柄の僕はそんな自分を救いたいと。悲しみからの救いを、ひたすらに読書や身近な人との対話に求めて耽った。
すると、極めて真面目に、普段目にしていた風景が色を変え、何気ない会話が目的を持ち、不変なものに惹かれていった。
3年ほどの月日の中で、現実と理想の境目で三段階ほどのパラダイムシフトを繰り返し、今に至る。
当時の悲しみ残骸は分解され養分となって、自分の心の奥底で灯りをともしている。故郷のような安心感で自分の芯として佇んでいる。
大きく茂った木々は見事に咲かす葉花はされど、下支えする幹にこそ魅力がある。そんな愛情を自分の奥底に抱いて。

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さて夢十夜、空を見上げて草枕を思い出す。住みにくい人の世を飄々と生きていく。昔は抵抗があったゲーム感覚の生も今ではわかる気がしている。

現実世界の困難と、目を背けたくなる自分も受け入れて、身近な人こそ大切に。一隅で力強く、そっと生きていく。

最後に僕の好きな句を。

「うらをみせ おもてをみせて ちるもみじ」(良寛)

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