まだ行動を離れないコミュニケーション

スザンヌ・ランガーの『シンボルの哲学』より。

ヤーキス教授の若い類人猿であるチムとパンジーが食べ物を見て「キアー」とか「ヌガー」とか叫び声をあげたとしても、これはいわば舌なめずりの音「ウマウマ」であって「今日はバナナだぞ!」ではない。この叫び声はうれしい肯定を表す音であって、ごく限られた特別な情動的反応の音声であり、それらは食間時にあのご馳走はおいしかったねと語るのには使えない。 (ランガー, 2020, pp. 208-9)

類人猿には行動から離れてのコミュニケーションは無理。「今晩はご馳走だから、午後のおやつは控えめにしておこうか 」みたいな、「打ち合わせ」の会話もできない。目の前に存在しない対象「について (about )」、行動をともなわずに話せない/話せるには、大きな違いがある。

ジェンドリンの『プロセスモデル』第VII-A章を理解するのに役立つ。


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