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#021 「AI x IoTは洗濯機の黒歴史を変えられるか?自動機能を余すことなく搭載した最新洗濯機BD-NX120E」

 【木村ヒデノリのTech Magic #021 】三種の神器と呼ばれた時代から最もイノベーションが少なかったのが洗濯機ではないだろうか。登場からほとんど形を変えることなく進化し、大きな変化といえば乾燥機能が付加されたことぐらい、という地味な印象だ。そんな洗濯機の歴史が平成の終わりとともに動き始めた。洗剤の自動投入機能やスマホとの連携、フィードバックを反映しての自動洗濯など、昨今の発展は著しい。今回はこうしたコネクテッド洗濯機の分野でPanasonicと双璧をなす、HITACHIが満を持して発表したBD-NX120Eを検証してみたい。

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IoT x 洗濯機の分野で少し出遅れたHITACHI

 他社にはない「風アイロン」という武器をひっさげ、大型にも関わらず奥行きが短い製品もリリースするなど、HITACHIは洗濯機分野ではリーディングカンパニーだった。その魅力に取り憑かれ、何代にもわたってHITACHI製を使うユーザーも多い。筆者も10年来の付き合いで、コアなユーザーの1人である。使い続けていると忘れてしまいがちだが、実家帰省時など、他社製の洗濯機を使うと違いが顕著にわかる。やはり「風アイロン」で大部分のシワを伸ばしてくれる点や、大量に洗ってもしっかり乾いてくれる点は非常に素晴らしい。

 機能性では間違いなく他社より頭一つ抜けていたHITACHIだが、IoTの分野では一歩出遅れた。洗剤の自動投入機能やスマホ連携など、革新的な機能を先駆けて搭載したのはPanasonicだった。これに追随する形で満を持して発表されたのがBD-NX120Eだ。HITACHIは前モデルであるBD-NX120Cでスマホとの連携を打ち出したものの不発に終わるなど手痛い教訓を得た。前モデルで提供されている連携機能のほとんどは、手動で行っていたものの延長。購買意欲を喚起するには少々弱く、同時に搭載したAI機能も、どの手間が軽減されるのかユーザーが実感しづらかった。

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Panasonicのイノベーションを受けてリリースされたBD-NX120C
スマホとの連携で何が便利になったのかがわかりづらかった

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アプリで提供される機能もわざわざアプリを開いて使うには魅力に乏しい

ユーザビリティを徹底的に考慮してきた新モデル

 対してBD-NX120EではアプリのUIを刷新し、同時に洗剤の自動投入機能を搭載。アプリの挙動も自動で洗ったものに対して評価を行うという形になった。(※[わがや流AI]で実現。前述のシーン別、衣類別の選択提案は引き続き搭載されている)

 このフローの追加は非常に大きい。ユーザーは開始時でなく終了後任意の時間に評価を入れればいいだけなので、効率よく使える。また、前モデルからあった乾燥ダクトクリーン機能も便利。埃が溜まりやすいダクト内を洗濯時に併せて水で洗ってくれる。前モデルでは見送っていた洗剤の自動投入機能も追加された。乾燥フィルターの形状もBD-NX120B以前では搭載されていなかった清掃しやすい形状に変わり、まさにユーザビリティを最優先に考えた製品に進化した。

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上下分離させるとワイパーでフィルターが綺麗になる画期的な構造

 実際に使ってみると特にBD-NX120B(筆者は前モデルではなく前々モデルのBシリーズを使っていた)との差は歴然で、しっかりと洗濯できるにも関わらず、洗剤は長持ち、手入れも最小で汚れづらく、さらに洗濯時間は短いと文句なしの仕上がりだった。

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洗剤のメーカーを指定すると自動的に適量を算出してくれるなど、
アプリの利便性がかなり上がった

きちんと使わないと恩恵が得られないドラム式洗濯乾燥機

 手入れしながら使わないとどんどん性能が落ちていってしまうのが、ドラム式洗濯機のデメリットだった。特に乾燥機能は、フィルター清掃の手間が面倒なのに手抜きをするとどんどん乾かなくなっていく。手入れ不足で恩恵がしっかり得られていないユーザーは潜在的に多いのではないだろうか。(乾燥機能自体を使わないユーザーも多いだろう)

 前述した通り、以前のモデルでは実用的でない部分が多い。特に乾燥フィルターや糸くずフィルターを毎回清掃するのは現実的ではなかった。しかし、ほとんどが自動化されている本モデルからは、その余裕が出てくる。フィルターが掃除しやすくなったのも相まって、『毎回手入れをする→ずっと高効率で稼働してくれる』という好循環が生まれるようになった。

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自動投入部には洗剤1000ml、柔軟剤700mlが入る
詰め替え用洗剤・柔軟剤のサイズとほぼ同量なので便利

 電気代も、乾燥まで含めて1回47円とそう高くはない。毎日洗濯〜乾燥しても月間1500円弱だ。この程度の金額で外に干す手間が軽減できるのであれば、洗濯から乾燥まで全てを洗濯機に任せてしまう方がいいだろう。その分毎回、フィルター等の手入れをする方が圧倒的に効率もいいし、時間が生まれる。ちなみに筆者宅では風アイロンで仕上がったシャツをLG Stylerに入れることでアイロンの手間すらゼロになっている。

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風アイロンでシワを軽減しておくと、LG Stylerで完全にシワが伸びる
(※服の素材にもよるので全てではない)

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ワットチェッカーで調べたところ、1回の電気代は乾燥までの工程で約47円だった

先入観を捨てて買い換えて欲しい最新モデル

 洗濯機はそう頻繁に買い換えるものではない。筆者も元々使っていたものが2018年製と新しかったので買い換えるのに躊躇したが、BD-NX120Eを使ってみて、古い考えだったと痛感させられた。とにかく洗濯が楽になるし、洗濯機自体のメンテもしやすい、時間を作り出してくれる、という感覚が体感として得られたのだ。参考として、実際に感じた点を列記しておく。

・以前は衣類が少なくても長かった乾燥時間が最適化されかなり短時間で仕上がる
・乾燥までかけてもドラム内のホコリが断然少ない。
・洗剤を手動で入れないので誤って本体にこぼしたりして汚れない。
(この汚れ、意外と取れない)
・シワが以前より伸びる。
・フィルターの掃除がしやすい。圧倒的にしやすい。
・仕上がり時間を決められるので、家事に合わせて洗濯ができるのが便利。
・仕上がり後、予運転をしてくれるので少しほっておいてもふわふわのまま。
・仕上がったことをアプリで通知してくれる機能は意外に重宝する。

 以上、ざっと示したが率直に「今までのドラム式洗濯乾燥機とは別物」と感じた。こんな製品は稀だが、皆さんにぜひ買い替えと洗濯〜乾燥までのワークフロー導入をおすすめしたい。

 今回紹介したBD-120Eの後継機として今月中旬にBD-120Fが発売されたが、こちらはマイナーアップデートのようなので、残っていれば安くなっているBD-120Eを購入するのもいいだろう。余談だが洗濯機は例年9月ごろ新製品が発売されるので、安く買いたい方は6〜7月ごろに量販店で交渉するのが良い。とはいえ、新型に革新的な機能が搭載される可能性もあるので、新モデル発表後、比較した後に旧モデルをウェブ上で探してみるのはいかがだろうか。

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