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NHK BS1「マルクス・ガブリエル コロナ時代の精神のワクチン」哲学徒のメモ

番組はカントの『純粋理性批判』を引いて始まる.

自由とは好きなように思い通りに行動することではない
自由とは誰かに命令されることなく
自らの意志で自らを律して生きることだ
——カント

マルクス・ガブリエル(以下MG)は

私たちには、新しいグローバルな啓蒙の理念が必要なのだ.
私たちを分断する精神の毒に、 ワクチンを打たねばならない

と地元の新聞で述べた.

第一章 10段階あなたはどれを選ぶ

MG
・理性(ratio)とは危険な両極端なものを比較すること.
ゆえに科学の知識のみは合理的ではない 

・限りなく複雑な状況の中で多くの物事にフォーカスを当てながら考えるように心掛けている.

第二章 精神のワクチンが求められるとき

精神のワクチン=哲学

第三章 見逃されてきた現実

MG 
・思考について思考すること
=最も高次の思考
=哲学すること
=(消費行動に影響している)唯物主義から自由になること

・思考には限界がない

第四章 呪縛からの解放

MG
・消費,物や商品の幻想よりも,より良い錯覚を

・ウイルスは人の目に見えないから,COVID-19のパンデミックは反唯物主義

・物質とは安定したものだが,現実は安定していない

第五章 ウイルスが誘う意味の場とは

MG
意味の場【fields of sense】=およそ何かしらのものが現れる場

「意味の場」の存在論=新実在論
とは
「イメージはここにある」ということ.

Q. 全てのイメージが同じ対象を現しているとなぜ分かるのか?
A. イメージを結びつけるもの(引力のような,なんらかの力のようなもの)こそが「対象」

・対象はイメージの外に在るわけではない
よって,世界という実在は消える.

Q. 過去,現在,未来をつなげるものは?
A. それぞれのシーン(過去,現在,未来)は結びついていない.
過去は未来とも現在とも完全に切り離されている.
結びつける法則は存在しない.

・現実は相互に繋がっていない.
ある実在は独立した断片で構成され,
断片同士が時に重なり合っているということ

「意味の場」の存在論をわたしたちに適応すると...
私たちは消費資本主義に押し付けられるアイデンティティは持っていない.
私たちは変化する複雑なプロセス.
未来の「わたし」のアイデンティティはわからない.
わたし達は個人として存在していない.
個人として存在しているというのは,消費資本主義による幻想である.
他人と重なりあっている.
人間は蜜蜂のようなもの.
私たちは共にあり道徳的に結びついている

現実 Wirklichkeit
私たち Wir

私たちをつなげているのは現実そのもので,
わたし達は現実から逃れられない.

「新実在論」は
現実の外側にある現実は存在しないと考える.

最終章 コロナがくれた最後のチャンス

相手が正しい可能性はある
——ガダマー
MG
・わたし達はウイルスの呼びかけを聞いている,それを「形而上学的なパンデミック」と呼んでいる.
・大事な事は相手の視点からどう見えているか知ること.
他者の視点を取り入れることで自分の視野を広げることができる.
それが倫理的な進歩につながる

番組はまたカントの『純粋理性批判』を引いて終わる.

哲学は教えられない.
哲学することしか教えられないのだ
——カント


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