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#73 配送料の圧縮による生産者支援

5月半ばに書いた「本当の意味で支援になっているのか?はよく考えないとね」という記事では、各地の農家から農産物を買うことで生産者を支援できる一方で、送料が高くて、これが生産者支援を妨げているのでは?といった主旨の記事を書きました。

記事から一部抜粋します。

(略)購入画面に進んでいったところ、商品代2000円に対して配送料が1000円。。。(略)
いま自分が住んでるのが千葉、生産者さんは那須。そんなに遠くないのに、配送料が高い。生モノなので運送に相当気を使っているのかもしれないですが、今回はパスしてしまいました。
コロナ禍で巣ごもりが増えて通販も増えているので、運送業者さんに相当な負荷がかかっていることは理解していますが、もう少しどうにかならないものでしょうか?
実は、業者が相手の場合ってもっと配送料って安いんですよね。これは同じ場所に大量に送るから、等の理由があるものの、個人向けにも何か効率の良い配送方法ってないんでしょうか?
結局、生協さんみたいな方式になるのかな。生協さんにリクエストして、こういったルートを開拓してもらうってことができればまた違った展開になるかもしれないですよね。

生産者に優しい産地直送サイト

その記事から約3ヶ月後。

日経新聞と日経産業新聞に面白い記事が載っていたのでシェアします。
(下記の日経新聞の記事は無料会員又は有料会員で全文読めます)

記事はビビッドガーデンという会社が運営する「食べチョク」という産地直送サイトに関するもの。

このサイトでは、直近で最多の5月には2月の35倍の流通量に達したとのことですが、「既存の産直サービスの多くは生産者が個別に宅配便を利用しているケースが多く、配送料が成長のネックになっている」ことを問題意識として持っていたようです。

配送料を下げるユニークな取り組み

興味深いのはその解決方法です。

①消費者が多く集まる施設との連携

例えば、消費者が多く集まる施設との連携。消費者が注文した品を受け取る作業を施設などが代行し、さらに評価の高い生産者に絞り込むことで1回当たりの配送を多くし、結果として配送を圧縮することが期待できるということです。

これはいわゆる生協方式といって良いと思います。

②宅配業者との連携

あとはヤマト運輸と連携し、配送伝票の作成を自動化するサービスを9月からはじめるとのこと。

これを利用する場合には、配送料を最大で通常料金の50%近くまで抑えることができるようです。

③複数の生産者がまとめて配送する仕組み

そしてこれが一番面白い取り組みだと思ったのですが、7月にはじめた「ご近所出品」と呼ぶ機能。

これは、複数の生産者が異なる商品をまとめて出せるようにして、送料が圧縮できるようにする取り組みなので、私が考えていた「購入側」がまとめて仕入れる方法(上記①:生協方式)ではなく、「生産者側」がまとめて出荷するという逆転の発想をしていて非常に面白いと感じました。

この機能は、若い既存の登録者が近隣の高齢生産者を誘うといった使い方も想定しているようで、地域の活性化にも役立つ良い取り組みになる予感がします。


なお、「食べチョク」では生産者の取り分が8割と、他の一般相場の3割よりも多いということです。

他にも地域単位での支援(例えば8月からは佐賀県と組んで、サイトの使い方や梱包、出荷の方法等を指導することなど)も始めるとのことで、今後この会社の動きに注目していきたいと思います。


ちなみに昨日、noteでビビッドガーデンの創業者秋本里奈氏のインタビュー記事が挙がっていましたので、併せて紹介しておきます。

私が特に気になった、『ご近所出品』に関する秋本氏の発言を一部引用します。

秋本氏:最近始めた『ご近所出品』では、ご近所で野菜を持ち寄ってひとつのパッケージにできるので、たくさんの品目がそろえられますし、ITに疎いお爺ちゃんの野菜も若い生産者の方が入れてあげることができます。特徴的なのは、この『ご近所の野菜を集約する人』というのも、現役生産者で『食べチョク』の出品者でないといけないんです。
(商品をまとめる専業の人がいたほうが効率的に広げられそうですけど、そこにはこだわりが?という問いに対して)
秋本氏:そこを崩してしまうと、私たちのポリシーに反してしまいます。別に中間業者が悪いというわけではなく、中には生産者さんを支援したいという純粋な想いでやられているところもたくさんあるのですが、1つ認めてしまうと際限がなくなってしまうので、そこは貫いています。間違えると『誰々を介さないと売れない』というような既得権が生まれてしまうんですよ。だから必ず、まとめられる側の人も『食べチョク』出品者で、まとめる側の人も『食べチョク』出品者である必要があります。

ほかにもヤマト運輸さんとの連携などを含め、いろいろと深掘りした情報が得られますので、もしご興味があればインタビュー記事を読んでみてください。


今日の記事が参考になれば、「スキ」を押してもらえると嬉しいです(^^)

それではまた!

<了>

#生産者支援 #農家支援 #ビビッドガーデン #食べチョク #送料 #配送料

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