#18 コロナで重症化するってどういうことか調べることにしたPart.3(最終回)

これまで、同じタイトルでPart1(科学的に正しい情報を得る方法)、Part2(発症からどのような経過を辿るのか?治療法はあるのか?)、さらに「感染症のステージを三つに分けて、それぞれで何に注意すべきか見える化してみた(note11日目)」(<感染ステージ><発症ステージ><重症化ステージ>それぞれで、自分あるいは他人の命を守るために何をすべきか)という記事を書いてきました。

<感染ステージ>では3密を避けること、マスクをすること、不特定多数の人が触ったものをできるだけ触らないこと、手洗い・うがいをすることなどで、“そもそも身体の中に入れない”ことが大事です。

<発症ステージ>ではバランスの良い食事をする、不足するものはサプリメントで補う、適度な運動をする、ストレスを溜めない、質の良い睡眠を取るなど、“そもそもの免疫力を高めておくこと”が大事です。

※ちなみに、<発症ステージ>で提言している内容については、阪大のドク論の審査官だった宮坂先生がおっしゃっている内容とおんなじでした(^^)

重症化ステージについて切り込んでみます

今回は、最後のステージである<重症化ステージ>について、現時点で分かっていることをまとめたいと思います(まだ分からないことが多いのが正直なところですが)。

参考にした資料は以下のとおりです。

<公的機関、研究機関、学会、専門誌等>(信頼性高)

新型コロナウイルスがどのように致死性のCOVID−19を誘導するかの考察論文を発表(北海道大学プレスリリース、2020/4/24)

まず、免疫応答のキホンから

本題に入る前に、まずウイルスや細菌・真菌などの異物が体内に入ったときの生体反応を簡単に示しておきます。

ウイルス・細菌・真菌等 →  感染 →  発症 (→重症化 or 回復)

3密を避け、stay homeでいることは、最初の感染のきっかけさえ作らないので、一番強力なのは言うまでもありません。が、一方で経済が止まるので、それとのトレードオフになる難しい問題だと思います(正解はないかと)。


さて、病原体が体内に入ってくると、免疫細胞を介した異物の排除が行われますが、免疫系の働きは大きく①自然免疫と②獲得免疫に分けられます。

①自然免疫はあらゆる異物に対して先制パンチを繰り出すもの。代表的な細胞として、マクロファージやNK細胞、樹状細胞などがあります。

一方、②獲得免疫は、過去に感染した場合にそれを記憶しておくもので素早い異物排除が可能になります。代表的な細胞はT細胞やB細胞などがあります。

ここで、異物が体内に入ってきたときには、「サイトカイン」と呼ばれる生体物質が放出されるのですが、これによって種々の免疫細胞が活性化し、感染に対して闘う態勢が整います。

※サイトカイン:主に免疫細胞から分泌される低分子のタンパク質で、細胞間の情報伝達の役割を担っている。インターロイキンやインターフェロンなどが放出され、それがほかの免疫細胞を活性化させるなど、さらなる免疫反応を引き起こす。

コロナで重症化する人の特徴

コロナで重症化する人は、このサイトカインが異常に放出され、過剰な炎症反応が全身で起こることによって多臓器不全で死に至ってしまうことが分かってきました。

新型コロナウイルスがどのように致死性のCOVID−19を誘導するかの考察論文を発表(北海道大学プレスリリース、2020/4/24)

このサイトカインが過剰に放出される現象を「サイトカインストーム」(サイトカインの嵐)と呼ぶのですが、このサイトカインストーム、症状が改善したかな?と思うぐらいの発症後期(発症から10日ぐらい)に現れることが多いそうです。

また、サイトカインストームによって過剰な炎症が起こると、「ミトコンドリア」の機能不全および破壊が起こり、ミトコンドリア破砕物がさらなる免疫暴走を引き起こすようです。

※ミトコンドリア:ほぼ全ての細胞に存在するエネルギー工場。私たちの身体のほぼ全てのエネルギーを作り出している。最近では、このエネルギー産生における重要性以外にも、自然免疫系における役割が明らかになってきている。

つまり、重症化を抑えるには、「サイトカインストーム」を抑えること、次に「ミトコンドリア」の機能不全や破壊を抑えることが非常に重要になってくると思われます。

ちなみに肥満症や糖尿病の患者さんなどでは重症化しやすいことが言われていますが、宮坂先生曰く、これらの患者さんでは炎症細胞が多く、これらの細胞はより炎症を増幅させすいので重症化しやすいのではないか?と提唱されています。

なるほど。タバコなんかもよくなさそう。

まとめ

まずは、<発症ステージ>でも述べたように、免疫力を高めておくことが大事です。

特に自然免疫を上げておくことで、感染・発症初期の症状悪化を抑え回復力を高めることが期待できます(←一般的な風邪と同じ)。COVID−19は感染力は強いものの8割の患者さんは軽症もしくは無症状であり、多くの人は自然免疫によってウイルスを排除できていた可能性があります。

次に、重症化のリスクとして考えられているサイトカインストームやミトコンドリアの機能異常や破壊をいかに抑えるか、ということが重要なことのように思います。

いま、サイトカインストームを引き起こすサイトカインである、インターロイキン6(IL−6)の働きを抑える抗体を使った試験や、その他、幾つもの試験が行われていますので、その結果に非常に期待したいところです(抗IL−6抗体を使った一部の試験では有効な結果が出ているようです)。

また、ミトコンドリアの数を増やしたり働きを高めることも重要と思います。

一般に、運動はミトコンドリアを増やすと言われていますし、ミトコンドリアは筋肉に多いので筋トレも有効と思われます。

ちなみにミトコンドリアの機能に重要な成分もありますし、ミトコンドリアそのものの数を増やしたり大きくしたりする報告もあったりします。

Ubiquinol Effects on Antiphospholipid Syndrome Prothrombotic Profile: A Randomized, Placebo-Controlled Trial
この報告は病気の方(抗リン脂質抗体症候群)を対象にした試験で、還元型コエンザイムQ10を摂取させたところ、ミトコンドリアの数が増え、サイズも大きくなったことが報告されています。

一般の人でどのぐらい意味のあることなのか分かりませんし、感染防御にどれだけ影響があるかは分かりませんが、特効薬もワクチンもない中、多少なりとも効果がありそうな成分があればそれらも参考にしつつ、食事、運動、睡眠に気をつけて、また、ストレスを溜めない生活を維持して、強いカラダとココロを作っていけたらなぁと思っています(^^)

ではまた明日!

<了>


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