RBAにおいては、なぜ「減給」が嫌われるのか
Responsible Business Alliance(RBA:責任ある企業同盟)が、グローバルなサプライチェーンにおける責任あるビジネスを促進することを目的とする非営利団体であり、今後の人事業務の重要な一つになるかも知れない点については、以下にて共有しました。
その中で、1つ取り上げたいと思います。RBAのガイドラインでは、給料やボーナスの減額を懲戒処分として用いることが認められていません。
多くの企業では、懲戒の種類として、懲戒解雇-諭旨解雇-降格・降級-出勤停止-減給-譴責のように設定されていると思います(企業によっては設定は異なります。)。
「レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範」バージョン8.0(2024年)ー下記リンク より該当箇所を引用します。
https://www.responsiblebusiness.org/media/docs/RBACodeofConduct8.0_Japanese.pdf
「減給」の設定、そして実施については、少なくとも日本の法律上は何ら問題ありません。「減給」が他と異なるのは、「働いているのに賃金を減らされている」ということかと思います。「出勤停止」であれば、働いていないわけですから、応分の給与が支払われていないとしても議論にならないわけです。
RBAが減給を嫌っているのは、以下の考えに基づくものと考えられます。
労働者の権利と尊厳の保護
RBAは労働者の権利と尊厳を重視しています。給料やボーナスの減額は、労働者の基本的な生活水準や福祉に直接的な影響を及ぼす可能性があります。このような懲戒方法は、労働者の尊厳や権利を侵害すると見なされることがあります。公平で人道的な処置の促進
RBAの目的は、公正で人道的な労働環境の促進にあります。給料減額は労働者に不当な負担をかける可能性があるため、RBAはより公正で人道的な懲戒方法を推奨しています。国際基準の遵守
RBAの行動規範は、国際労働機関(ILO)などの国際基準に準拠しています。これらの基準は、労働者に対する不当な扱いや搾取を防ぐことを目的としており、給料減額はこれに反する可能性があります。労働者のモチベーションと生産性の維持
給料減額は労働者のモチベーションを低下させ、結果として生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。RBAは、生産性の向上と労働者の福祉を両立させる方法を推奨しています。
このように、RBAのガイドラインは、労働者の権利と福祉を保護し、公正で人道的な労働環境の確保を目指しています。そのため、給料やボーナスの減額を懲戒処分として用いることは、これらの原則に反するとされています。
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