日々の習慣を見直して生産性を上げる7つのルールー山葉隆久さん
『誰とでもどこででも働ける 最強の仕事術(山葉隆久、自由国民社、2023年)』の第3章に「日々の習慣を見直して 生産性を上げる7つのルール」というものがあります。非常に役に立つ考え方ですので、私も人事の立場とし て考えてみたいと思います。
これらは、個人の生産性向上とキャリア成長を促進するために非常に有効な手法です。人事の立場からこれらの原則を企業や組織に適用することで、従業員の能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能になると思います。
ルール① 学んだことを仕事で繰り返し使ってみる
学びとは、理論だけでなく実践によって初めて価値が生まれるものです。例えば、講義やセミナーで得た知識を、実際のプロジェクトや業務に適用してみることが重要です。試行錯誤の過程で、理論の理解が深まり、さらには新たなアイデアや改善点が見えてくることがあります。実践を通じて学んだことを自分のものにすることが、成長への第一歩となります。
従業員が新しい知識やスキルを学ぶ機会は多くありますが、重要なのはその学びを実際の業務にどのように活用するかです。人事として、従業員が学んだことを実践に移すためのサポート体制を整える必要があります。例えば、研修後に実践プロジェクトを設定し、学んだスキルを直接適用する機会を提供します。また、定期的なフォローアップミーティングを通じて、学んだことの実践状況をチェックし、必要に応じて追加のサポートや指導を行うことが効果的です。
ルール② 知らないことに出くわしたら、調べて理解する
知らないことをそのままにしていないでしょうか。知識の獲得は終わりなき旅です。仕事をしていれば、必ず未知の問題や用語に直面します。その都度、知らないことを認め、積極的に学ぶ姿勢が求められます。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉が示すように、知らないことを知る努力が、専門性を高め、仕事の幅を広げることに繋がります。
好奇心は、革新と成長の原動力です。人事は、従業員が自ら学び、未知の分野に挑戦する文化を醸成することが大切です。これを実現するためには、例えば、学習リソースへのアクセスを提供し、時間と場所の制約を取り除くことが重要です。オンラインライブラリのサブスクリプションを提供したり、勤務時間内に学習時間を設けるなどの施策が考えられます。さらに、社内のエキスパートが知識を共有するワークショップやセミナーを定期的に開催し、従業員同士の学びの交流を促進します。
ルール③ 自分の実績を形にして、外から見えるようにする
成果は、形として残すことで初めて評価されるものです。プロジェクトの成功、改善提案の実施、チームでの成果など、仕事で得た成果を文書化し、プレゼンテーションやレポートとしてまとめることが大切です。これにより、自身の貢献を可視化し、評価やフィードバックを受け取る機会を増やすことができます。
従業員が成し遂げた成果を可視化し、評価することはモチベーションの向上につながります。人事は、成果を共有するためのプラットフォームやイベントの提供を通じて、この文化を育成します。例えば、社内の成果発表会を定期的に開催し、プロジェクトや成果物を発表する機会を設けることができます。これにより、従業員は自らの努力が認識されるだけでなく、他者からのフィードバックを受け取ることでさらなる成長の機会を得ることができます。
ルール④ 目標とする人を真似て、少しでも近づいてみる
人は誰しも、尊敬する人物や目標とするキャリアがあります。そのような人物の行動、思考、仕事の進め方を学び、模倣することで、自分自身も望む方向に成長することができます。目標とする人物から学ぶことで、自分では気づかなかった新たな視点やスキルを身につけることができます。
成功した人物の行動や思考パターンを模倣することは、自己成長の強力な手段です。人事部門としても、メンタリングプログラムを通じて、経験豊富な社員と新入社員や若手社員を結びつけることで、知識の伝承と職場での模範行動を促進できるでしょう。メンターとメンティーが定期的に面談を行い、キャリアの目標設定、業務上の課題解決、職場での適応など、多岐にわたるテーマで意見交換を行うことも手です。
ルール⑤ 自分には無いものを持つ人の行動や考え方を真似て、自分に足りないものを補充する
自己成長のためには、自分の弱点や欠けているスキルを認識し、それを補うことが重要です。他人の優れた点や、自分とは異なる視点を持つ人の考え方を学ぶことで、自分の視野を広げ、柔軟な思考が身につきます。このプロセスを通じて、自分だけでは見つけられなかった解決策やアイデアを見つけ出すことができます。
自己認識とは、自分自身の強みと弱みを正確に理解することです。人事部門は、従業員が自身の能力を客観的に評価し、成長のための計画を立てることを支援するために、自己評価ツールなどを導入することも良いでしょう。これにより、従業員は自分の弱点を明確に把握し、それを改善するための具体的なアクションプランを立てることが可能になります。
ルール⑥ 上司になったつもりで語って、その立場になる自分を訓練する
将来のキャリアパスを想定し、今の自分よりも一段高い立場で考え、行動することで、リーダーシップや意思決定のスキルを磨くことができます。このような訓練を通じて、問題の本質を見極め、より広い視野で物事を判断する能力を身につけることができます。
リーダーシップ能力は、すべてのレベルの従業員が身につけるべき重要なスキルです。人事部門は、リーダーシップ開発プログラムやシミュレーションベースのトレーニングを通じて、従業員が上司の視点から物事を考え、意思決定の複雑さを理解する機会を提供することができます。これにより、従業員は自らが将来リーダーとなった際に直面するであろう課題への対処法を学び、より効果的なコミュニケーションやチームマネジメントのスキルを身につけることができます。
ルール⑦ 人との出会いに感謝し、いざという時に頼りになる人を増やす 肝はギブ&ギブ
人間関係は、相互の信頼と支援に基づいて成り立っています。仕事上の関係だけでなく、個人的な関係においても、相手に価値を提供することで、信頼関係を築き上げることができます。相手に与えることで、自分もまた多くを得ることができるのです。
職場での人間関係は、個人のパフォーマンスだけでなく、チームワークと組織全体の雰囲気に大きな影響を与えます。人事部門は、社内のネットワーキングイベントやチームビルディング活動を通じて、従業員間の相互理解と信頼の構築を促進することが重要です。これにより、従業員は互いに協力しやすくなり、チームとしての一体感や組織への帰属意識が高まります。
まとめ
これら7つのルールは、個人の成長、キャリアの発展、そして日常業務の効率化を目指すものです。各ルールを実生活や仕事に適用することで、自己成長の加速や、より生産的な仕事の進め方を実現することができるでしょう。
これらのルールを組織内で実践することは、従業員のエンゲージメントとパフォーマンスを向上させるだけでなく、組織の持続可能な成長と競争力の強化に寄与します。人事部門は、これらの原則を推進し、サポートすることで、個々の従業員の成長を促し、組織全体の成功を実現するための重要な役割を果たします。各ルールの適用は、従業員個人の能力開発にとどまらず、組織文化の形成と改善にも貢献するため、戦略的に取り組むことが求められます。
その他にも素晴らしいノウハウが詰まっています。是非読まれることをおすすめします。
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