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【書籍】心の切り替えと集中力ー岡本綾子から学ぶ一流の秘訣

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp260「8月11日:一流プレーヤーに共通したもの(岡本綾子 プロゴルファー)」を取り上げたいと思います。

 岡本氏は、一流プレーヤーに共通する心構え、練習方法、そして彼らが持つ特別な何かについて深く語っています。彼女によれば、ゴルフは瞬間的な勝負が重なるスポーツで、そのためにはミスショット後の心の切り替えの速さが極めて重要になると言います。ミスを引きずってしまうと、その後のプレーにも悪影響を及ぼすため、ミスをしたとしてもそれを自分で認めずに前に進むこと、つまり「自分をコントロールする」ことが、自分との戦いに勝つことにつながると強調しています。

 また、練習に関して岡本氏は、ただ時間を過ごすだけのだらだらとした練習は避けるべきであると述べています。具体的な例として、彼女は18ホールを終えた後にも、満足のいくプレーができなかった場合、特定のアイアンでのショットを重点的に練習することを挙げています。ただし、これは惰性に陥らないよう、意識して行うべきであり、集中力を保つためには、良いショットが打てたらそこで終了することも重要だと言います。これにより、練習の質を高め、実際のプレーにおいても同様の集中力を発揮できるようになるとしています。

 ゴルフを「決断と実行のゲーム」と位置づける岡本氏は、クラブ選択の際の迷いを例に挙げ、決断したら迷わずに次の行動に移るべきだと説いています。この過程での経験が積み重なることで、より良い判断ができるようになり、感じたフィーリングを大切にすることの意味を説明しています。彼女は、決断力が鈍ると実行も上手くいかないとし、迷いながらの行動は決して満足のいく結果にはつながらないと言います。

 さらに岡本氏は、どんなスポーツでも、一所懸命に取り組む中で「奇跡」が起こる瞬間があると言及しています。これは、単なる幸運や偶然では説明できないような、信じられないほどの力が発揮される瞬間のことで、一流のプレーヤーはそうした経験を何度もしているはずだと言います。その回数が多いほど、トッププレーヤーと呼ばれる資格があると岡本は述べています。

 また、一流選手に共通している特徴について問われた際、岡本氏は、彼らには何か違った「光るもの」があると言います。それは外見だけでなく、彼らの存在そのものに宿る特別な何かであり、その「光」に近づくことで、何かを学び、感じ取ることができると述べています。これは、単に技術の向上だけでなく、精神面や心構えにおいても大きな影響を与えるものであると信じています。

 岡本氏の言葉からは、ゴルフに限らず、スポーツや他のあらゆる分野で成功するためには、強い心構え、質の高い練習、迷わない決断力、そして何よりも自分自身と向き合う勇気が必要であることが伝わってきます。そして、一流のプレーヤーたちが持つ「光」には、単に技術的な秀でさだけでなく、彼らの姿勢や精神的な強さが反映されていることが明らかにされています。

それと、よく一流選手に共通したものはと聞かれますが、やはり、同じ団子の中から、秀でる人っていうのは、何かが違いますね。光るものを持ってますよね。それが目であろうが、顔であろうが、その人の頭の上に霊みたいなものがあるのかもしれないですが、トッププレーヤーというのは何か、光ってますね。だから、そういう人を見るとそれに近づきたい、近づくことによって、何かを肌で感じるかもしれない、ひと言があるかもしれない。そういうものはものすごく感じます。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)p260

人事としてどう考えるか

 岡本氏の言葉には、スポーツの世界だけでなく、ビジネスや人生においても重要な教訓が詰まっています。彼女が語る一流のプレーヤーになるための心構えや姿勢は、人事戦略における人材開発、組織運営、パフォーマンス管理など多岐にわたる領域において有益な示唆を与えます。ここでは、岡本氏の考えを更に深く掘り下げ、人事の立場からの視点で、それぞれの要素が具体的にどのようにビジネス環境に適用可能かを探求します。

心の切り替えと自己コントロールの重要性

心の切り替え

 ビジネスにおいても、失敗は避けられない要素です。しかし、その失敗にどう対処するかが、個人の成長だけでなく、組織の成熟度をも左右します。心の切り替えが速い人は、失敗から素早く立ち直り、次の成功に向けて動き出せる人物です。人事部門は、この心の切り替えを促すために、失敗を責めるのではなく、その中から何を学べるかを重視する文化を育むべきです。失敗後の振り返り会を定期的に行い、失敗を通じて学んだ教訓を共有することで、組織全体のレジリエンスを高めることができます。

自己コントロール

 プロジェクトが予定通りに進まない時、個人の感情はしばしばネガティブな方向に傾きがちです。しかし、自己コントロールを通じてこれを管理することが、プレッシャーの中でも最高のパフォーマンスを発揮する鍵です。人事部門は、ストレス管理技術やマインドフルネス瞑想といった自己コントロールを高めるトレーニングプログラムを提供することで、社員がこの能力を身につける手助けができます。

練習の質と集中力の向上

練習の質

 岡本氏が述べる「だらだら練習しない」という姿勢は、ビジネススキルの習得においても同様に適用可能です。練習、すなわち学習やスキルアップの際には、集中して質の高い時間を確保することが重要です。人事部門は、社員がスキルセットを効率的に向上させるために、集中的かつ目的志向的なトレーニングプログラムを設計すべきです。これには、実務に即したケーススタディや、ロールプレイ、シミュレーション研修などが含まれます。

集中力

 集中力は、日々の業務における生産性を大きく左右します。集中力を高めるためには、適切な環境作りが不可欠です。例えば、オープンスペースのオフィスでは集中しにくい場合がありますので、集中を要する作業のための静かなスペースを提供するなど、物理的な環境を整えることが重要です。また、時間管理技術のトレーニングを提供し、タスクを効果的に管理する方法を学ぶことも集中力向上に役立ちます。

決断力と実行力

決断力

 ビジネスの世界では、迅速かつ正確な決断が求められます。この能力を高めるためには、情報収集と分析スキルが重要です。人事部門は、データ分析ツールの使用方法や、戦略的思考を促すワークショップを提供することで、社員がより良い決断を下せるよう支援できます。

実行力

 決めたことを実行に移す力は、決断力と同じくらい重要です。この実行力を支えるのは、計画立案とプロジェクト管理のスキルです。人事部門は、効果的なプロジェクト管理技術や時間管理の研修を通じて、社員が自らの決断を確実に実行に移せるような支援を行うべきです。

まとめ

 岡本氏の言葉から学べる教訓は、人事戦略において非常に重要な示唆を提供します。心の切り替え、自己コントロール、練習の質、集中力、決断力、実行力の各要素は、ビジジネス環境における人材の育成と組織の成長に直接関連しています。これらの要素を組織の文化と戦略に組み込むことで、持続可能な成長と競争力のある組織を築くことが可能です。

夕暮れ時の静かなゴルフコースでの献身と習熟の本質を捉えています。孤独なゴルファーは、自己改善と逆境に対する回復力の精神を体現しており、集中力と落ち着きを持っています。柔らかく温かみのある画風は、観る人を思索に誘い、偉大さを達成するための心構え、練習、そして決断の重要性を強調しています。美しく薄れゆく空と手入れの行き届いたグリーン、そして人生の浮き沈みとそれを乗り越えるための継続的な努力を象徴する困難な地形の組み合わせが、画像に深みを加えています。夕日がシーン全体に金色の輝きを投げかけ、静かな反省と練習の瞬間に最善を尽くす美しさを強調しています。スポーツと人生における卓越への旅を象徴し、一人ひとりが追求するべき最高の姿を示しています。


1日1話、「生き方」のバイブルとなるような滋味に富む感動実話を中心に365篇収録されています。素晴らしい書籍です。




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