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RBAによる労働時間規制(週60時間勤務など)ーグローバルサプライチェーンにおける健康と生産性の確保

 Responsible Business Alliance(RBA:責任ある企業同盟)が、グローバルなサプライチェーンにおける責任あるビジネスを促進することを目的とする非営利団体であり、今後の人事業務の重要な一つになるかも知れない点については、以下にて共有しました。

 その中で、1つ取り上げたいと思います。RBAでは、以下が禁止されています。労働時間や休日は、国内の法律では見かけない基準、あるいは、少し違った表現ではあります。また、時間外労働が「自発的」ということについては、そこまで明確に言及されるものでもないでしょう。
・週間労働時間は、60時間を超えてはならない。
・すべての時間外労働は自発的なものでなければならない。
・労働者は7日間に1日以上の休暇の取得が認められなければならない。

「レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範」バージョン8.0(2024年)ー下記リンク より該当箇所を引用します。

https://www.responsiblebusiness.org/media/docs/RBACodeofConduct8.0_Japanese.pdf

A.労働
3) 労働時間
労働時間は、現地法令で定められている上限を超えてはなりません。また、1週間の労働時間は、緊急時や非常時を除き、時間外労働を含めて週60時間を超えてはなりません。すべての時間外労働は自発的なものでなければなりません。労働者には7日間に1日以上の休日を与えなくてはなりません。

「レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範」バージョン8.0(2024年)より引用

 それぞれが、RBAのどのような理解で設定されているのかについて、説明してみます(重複するとろこもあります)。

週間労働時間が60時間を超えてはならない

  1. 労働者の健康と安全の確保
    過剰な労働時間は、労働者の健康と安全に悪影響を及ぼす可能性があります。長時間労働は疲労やストレスを増加させ、職場での事故や健康問題のリスクを高めることが知られています。

  2. 生産性の維持
    長時間労働は生産性の低下につながることが示されています。適切な休息時間を確保することで、労働者の効率とモチベーションを維持し、全体的な生産性を高めることができます。

  3. 国際基準との整合性
    この基準は、国際労働機関(ILO)などの国際的な労働基準に準拠しています。これにより、グローバルなサプライチェーンにおいて一貫した労働条件を促進することができます。

  4. 労働者の権利の尊重
    労働者に十分な休息時間を確保することは、彼らの権利を尊重し、より人道的な労働環境を提供することに寄与します。

  5. 企業の社会的責任(CSR)の強化
    適切な労働時間の管理は、企業の社会的責任を果たす上で重要な要素です。これにより、企業は労働者に対する倫理的な責任を果たし、社会全体からの信頼と評価を得ることができます。

すべての時間外労働は自発的なものでなければならない

  1. 労働者の自由と選択権の尊重
    労働者が時間外労働を行うかどうかは、彼らの自由意志に基づくべきです。これは、労働者の自己決定権と選択の自由を尊重するための措置です。

  2. 強制労働の防止
    時間外労働を強制することは、強制労働の一形態と見なされることがあります。RBA行動規範は、すべての形態の強制労働を禁止しており、この規定はその一環として設定されています。

  3. 労働者の健康と福祉の保護
    自発的でない時間外労働は、過剰な疲労やストレスを引き起こす可能性があり、労働者の健康に悪影響を及ぼすことがあります。自発性を保証することで、労働者の健康と福祉を守ることができます。

  4. 労働環境の改善
    自発的な時間外労働の原則は、労働環境を改善し、労働者のモチベーションを高める効果があります。これにより、労働者の満足度が高まり、離職率の低下にもつながることがあります。

  5. 企業の法令遵守と倫理基準の維持
    日本を含め、多くの国では時間外労働に関して法的な規制が存在します。自発的な時間外労働の原則は、これらの法的要件を遵守し、企業の倫理基準を高めるために重要です。

労働者は7日間に1日以上の休暇の取得が認められなければならない

  1. 労働者の健康と福祉の保護
    定期的な休暇は、労働者の身体的および精神的健康を維持するのに不可欠です。休息日は疲労回復を助け、ストレス軽減に寄与します。

  2. 生産性の向上
    適切な休暇を取得することで、労働者はより休息され、リフレッシュした状態で仕事に復帰できます。これにより、労働者の集中力と生産性が向上します。

  3. 労働者のモチベーションと満足度の向上
    定期的な休暇は、労働者が仕事以外の活動や家族との時間を楽しむ機会を提供します。これは職場の満足度とモチベーションを高める効果があります。

  4. 労働者の権利の尊重
    適切な休暇は、国際労働基準や多くの国の労働法によって保障されている労働者の基本的な権利です。この規定は、国際的な基準に準拠していることを示します。

  5. 職場環境の改善
    休暇の保証は、労働者にとってより良い職場環境を提供することに寄与します。これは、従業員の離職率を減らし、職場の安定性を高めることにもつながります。

  6. 企業の社会的責任(CSR)の実践
    企業が労働者に定期的な休暇を保証することは、社会的責任を果たしていることを示します。これは、企業の信頼性と評判を高めることに寄与します。

 日本国内の基準とはやや異なり、違和感もあるところですが、この規定は、労働者の健康を保護し、全体的な労働環境を改善するために非常に重要です。また、企業の長期的な成功と持続可能性にも寄与する要素であり、RBA基準で管理が必要であれば、対応していく必要があるでしょう。

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