「レジリエンス」の本質とその社会的重要性～個人、組織、社会

　「レジリエンス」という言葉を日常で耳にすることが増えてきましたが、その本質や重要性を理解している人はまだ少ないかもしれません。この言葉を紐解くと、我々が直面するストレスや困難、そして変化する時代においてどのように対応すればよいのか、そのヒントが隠されています。

レジリエンスの本質

　レジリエンスとは、文字通り「復元性」や「弾力性」を意味します。心理学の文脈では、これは「精神的な回復力」や「何かあってもすぐ平常心に戻すことができるか」といった能力を指します。具体的には、ゴムボールが押さえられて凹んだ状態から、再びもとの形に戻るような力をイメージできます。この力は、ストレスや困難、脅威といった外部からの負荷や負担を乗り越える力として考えることができます。

個人にとってのレジリエンス

　レジリエンスの高い人は、ネガティブな予測よりも「今、どうすべきか」という行動を重視します。また、他者の期待や評価を気にしすぎず、自分の意思で生きることができるのです。これは自己肯定感やポジティブな認知、楽観的な思考が背景にあると言えるでしょう。
　レジリエンスを高めるためには、推測や偏見に基づいた思考を排し、事実ベースで物事を考える習慣を持つことが有効です。また、問題の原因を追求するのではなく、解決策を模索することが、レジリエンスの向上に繋がります。

組織にとってのレジリエンス

　レジリエンスの考え方は、個人だけでなく組織にも適用されます。レジリエンスの高い組織は、ミスや失敗をポジティブに捉え、それを学びの機会として受け入れることができます。その結果、組織全体としての回復力や柔軟性が高まるのです。いわゆるBad News Firstが浸透している組織は、レジリエンスが高い組織といえるでしょう。

社会にとってのレジリエンス

　社会全体としても、レジリエンスの考え方を取り入れることは非常に重要です。特に現代は、VUCA（Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity）と言われる変動的で不確実な時代になっており、レジリエンスは個々人だけでなく、社会全体でも意識しておくべき概念となっています。

まとめ

　レジリエンスは、単に「強い人」や「優秀な人」を指すわけではありません。むしろ、困難な状況でも精神的に立ち直ることができる能力を指します。この能力は、現代の変動的な社会で求められるものであり、個人や組織、社会全体としてもその重要性が増しています。