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【書籍】今に生きる教訓ー石川真理子と祖母の智恵

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp286「9月5日:明日を案ずるより今日を最期と生きるのです
(石川真理子 作家)」を取り上げたいと思います。

 石川真理子さんの言葉から、今日を最期と生きることの重要性について語られています。祖母の言葉を通じて、日々を感謝の心を持って生き、些細な心配ごとにとらわれず、目の前の一歩を最良にする心がけが強調されています。昭和初期の不安定な時代背景の中で、祖母は不安や心配を払いのけ、今に集中することの大切さを教えます。この教えは、武士道のストイックな倫理道徳に通じるものであり、毎日を最後と捉え、少しでも良い自分になること、良い選択をすることの積み重ねが、どんな時代でも良き人生を送る秘訣であるとされています。祖母は、不安や心配を吹き飛ばし、現実の生活に集中することの重要性を説き、今日を精一杯、明るく幸せに生きることを勧めます。この教えは、どのような未来が待っていようと、今日を充実させ、感謝とともに生きることが最も重要であるというメッセージを私たちに伝えています。

とどのつまり、今日を最期と一所懸命になっていないということですよ。明日はもうこの世におらぬと思えば、つまらぬ心配などそっちのけで、やりたいことやっておかねばならぬことをするはず。これが最期と思うなら、精一杯、明るく幸せに終わりたいと思うだろう。よいですか、明日のことなど案ずることはありませぬ。それより今日を最期と生きなさい。そうである限りは、どんな世であろうとも、良き人生と相成りますよ

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p286より引用

人事の立場として考えること

 石川真理子さんの言葉は、人事の立場から見ても非常に価値のある教訓を含んでいます。日々変化するビジネス環境と組織内のダイナミズムの中で、人事担当者は常に変化に対応し、組織とその構成員の最大の可能性を引き出す役割を担っています。この中でも、「今日を最期と生きる」という精神は、人事業務の様々な側面において重要な指針となり得ます。

採用と人材開発

 例えば、採用において、今日を最期と生きる精神は、候補者に対して短期間で最大限の努力を尽くし、組織にとって最適な人材を確保することの重要性を示します。短い面接時間の中で候補者の真の価値と潜在能力を見抜き、彼らが組織に与える長期的な影響を予測することは、まさに今この瞬間に全力を尽くす姿勢から生まれるものです。

 人材開発においては、社員一人ひとりが自己のキャリアと個人成長において、毎日が最後の日であるかのように全力を尽くすことの大切さを促進します。これは、自己啓発プログラムや研修の企画・実施においても、参加者がその瞬間、その学びに全てを投じることで、最大の成長を遂げることができるという考え方を反映しています。

組織開発とエンゲージメント向上

 組織開発に関して、「今日を最期と生きる」精神は、変化に迅速に対応し、組織文化を柔軟かつ効果的に進化させる必要性を強調します。組織が目の前の課題に対して最善の解決策を模索し、実行に移すことで、持続可能な成長と発展を実現できるのです。

 また、社員のエンゲージメント向上においても、「今日が最後の日であるかのように仕事に取り組む」姿勢は、個々の仕事に対する情熱と責任感を高めることに繋がります。社員が各自の業務において最高のパフォーマンスを発揮しようとする文化は、組織全体の生産性と創造性の向上に寄与します。

福利厚生と報酬管理

 福利厚生や報酬管理における「今日を最期と生きる」精神は、社員の健康、幸福、そしてワークライフバランスに対する企業のコミットメントを反映します。社員が毎日を充実させ、仕事だけでなく人生を全うすることができるような環境を提供することは、組織にとって最も重要な責務の一つです。

まとめ

 石川さんの言葉は、人事管理の各領域において、現在に最善を尽くすことの価値を再確認させます。これは、組織とその社員が直面するあらゆる挑戦に対して、最高の準備と最大の努力で臨むことの重要性を強調しています。人事としての私たちの目的は、組織とその構成員が、毎日が最後の日であるかのように、その瞬間に最大限生きることを通じて、彼らの全潜能を発揮する手助けをすることに他なりません。人事という立場に身を置くものとして、改めて気を引き締めなければなりません。

石川真理子さんの教え、つまり毎日を最後の日のように生きることの重要性を象徴しています。柔らかな画風で、昭和初期の日本の伝統的な家屋内での祖母と孫娘の温かい会話の場面が描かれています。祖母は、感謝の心を持ち、今に集中し、明るく幸せに生きることの大切さを孫娘に伝えています。背景には平和な庭が見え、日本の伝統的な要素、たとえば滑り戸や畳、小さな祭壇や盆栽などの詳細が、この教えの象徴として描かれています。このイラストは、不安や心配を吹き飛ばし、現実の生活に集中すること、そして今日を精一杯生きることの重要性を優しく強調しています。


1日1話、読めば思わず目頭が熱くなる感動ストーリーが、365篇収録されています。仕事にはもちろんですが、人生にもいろいろな気づきを与えてくれます。素晴らしい書籍です。




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