マガジンのカバー画像

人事・経営支援関連

185
私の経営・人事支援関連の記事です。
運営しているクリエイター

#人事制度

「人事課題を解決したい」企業の方に対し、私がお尋ねする観点

 私は、地方企業様の人事課題の解決支援の活動をしています。その際、経営者の方、担当の方とも多くのコミュニケーションをさせていただいています。その際、話題として、人事関係(制度等)の話はもちろんですが、基本的な経営の状況の話もさせていただいています。  最近でこそ、「人事は経営の根幹の一つ」という経営者の方も多くなってきました。総論としては理解されているものの、なかなか深く突っ込んで議論をするのは苦労します。とはいえ、最初から「サーベイシート」のような、こと細かい資料を使って

中小企業の人事制度において、社長が最終決定権を持つことの意義と課題

 中小企業において、社長が人事制度の最終決定権を持つことは、企業の成長と安定に対して大きな影響を与える重要な要素です。この決定は企業の規模、業種、社風、そして経営理念に応じて多角的な視点から検討する必要があります。以下にその具体的な意義と課題について詳述します。 1. 社長が決めることの重要性:迅速性と責任  中小企業は大企業に比べて意思決定のスピードが求められる場面が多くあります。市場の変化や競合の動向に迅速に対応することが求められるため、社長が最終決定権を持つことはそ

中小企業の人事制度ーシンプル化で成功を掴む戦略と具体的事例

 中小企業における人事制度は、企業の成長と従業員のモチベーションに直結する重要な要素です。しかし、大企業の複雑な制度をそのまま導入することは、かえって逆効果になる可能性があります。限られたリソースの中で最大限の効果を発揮するためには、中小企業ならではの特性を活かしたシンプルな人事制度の構築が不可欠です。  私も多くの中小企業の人事制度構築の支援を行ってきましたが、多くの企業の人事制度は複雑で、運用が難しくなっている状況を見てきました。 シンプルな人事制度がもたらすメリット

組織と社員の双方に利益をもたらす人事制度の「運用」戦略

 人事制度の適切な「運用」が、組織における社員のモチベーションやエンゲージメントに及ぼす影響は非常に大きいです。仮に優れた人事制度であっても、その内容が社員に十分理解されず、また適切に運用されなければ、制度の持つポテンシャルを十分に活かすことは難しいでしょう。したがって、人事制度の策定だけでなく、その運用方法についても深く考え、かつ、組織全体で取り組む必要があります。私もこれまで、制度自体は素晴らしいのですが、運用がうまくいっていない人事制度をたくさん見てきました。 制度の

評価者研修と被評価者研修-優先順位のバランスを考察

 評価者研修と被評価者研修の優先順位に関しては、意外に話題になりやすいです。私もいろいろなところで話を聞いて、それぞれの状況に応じて構築・アドバイスしています。 被評価者研修の重要性  被評価者研修の重要性については、被評価者が評価制度を理解し、自己評価や目標設定のスキルを身につけることの重要性があります。この研修は、被評価者が自己のキャリアをより効果的に管理し、組織内での役割を積極的に担うことを促すでしょう。また、組織全体のパフォーマンス向上にも寄与するものと思います。

「行動評価」の多面的影響ー目標達成から文化醸成まで

 私も長い人事経験の中で、多くの企業の人事制度に触れてきましたが、行動評価の運用がうまくいっている企業は、人事制度全体の運用においても成功していると感じています。行動評価は、個々の従業員が組織内でどのように振る舞うべきか、どのような価値観や行動様式が求められるかを明確にするものです。このような評価システムは、組織全体の目標達成、文化醸成、そして個々の従業員の成長と動機付けに直接的な影響を及ぼすからなのでしょう。 行動評価は人事制度の根幹目標達成への明確な道筋  行動評価は

評価者間の「目線合わせ」の重要性ー人事制度における公正とイノベーションの促進

 人事制度の運用で「評価者間の目線合わせ重要である」ということがよくいわれます。「評価者間の目線合わせ」とは、人事評価を行う際に、評価者同士の評価基準や見解を統一することを指します。その効果、注意点について考えてみたいと思います。 公平性の確保と組織内の一貫性の強化  その主な効果は、公平性の確保と組織内の一貫性の強化です。公平性が確保されることで、従業員は自身が公正に評価されていると感じ、モチベーションの向上につながります。また、一貫した評価基準によって、組織全体で共通

支援実績:人事課題(人事制度、給与制度)ー2023年、卸売業

 2023年に、某企業A社様(卸売業)の人事課題支援を行いました。簡単に内容を紹介します。当内容の公表は支援企業様からの承諾済みではありますが、大枠の内容に止めていることはお許しください。 支援企業・実施概要  業種、従業員規模:卸売業、従業員100名程度  場所:(自身の居住地である)福島県外の地方企業  実施期間:2023年4月~12月  方法:現地訪問(数回)+オンライン(1回/1~2週)  主たる窓口:人事担当取締役および課長        (給与制度は社長、他取

テクニカル・ヒューマン・コンセプチュアルスキルー柔軟性と変化に対応する人材育成戦略

 テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル。聞いたことがある方も多いかも知れませせん。これは「カッツモデル」という理論から出てきたものです。 カッツモデル カッツモデルとは、アメリカの経営学者ロバート・L・カッツが提唱した理論です。職位による3つの階層と3つの能力で形成されており、役職に応じて必要な能力の割合が異なります。  3つの階層は、経営者や幹部クラスの「トップマネジメント」、中間管理職クラスの「ミドルマネジメント」、それ以外(管理職でない層)「ロ

多面的な視点で捉える現代の人事制度:続・三位一体の取り組み

 以前に、人事制度について、会社、被評価者、評価者の三位一体の取り組みが大切という話をしました。  この内容をもう少し深掘りして、もう少し多面的な視点の深掘りをし、現代の人事制度のあり方について考察をしてみたいと思います。 会社目標と直結させる  多くの人事制度では、会社の組織目標との直結が重視されます。このアプローチでは、個々の従業員の貢献度を評価することが中心で、上司が部下の業績を評価することで昇進や賞与が決定されます。  このシステムは長年にわたり確立され、効率性

会社の成長と人事制度:三位一体の取り組みがカギ

 人事制度の適正な運用には、会社、評価者、被評価者が三位一体になることが必要です。そのために何が大切なのかを考察してみます。 人事制度の適正な運用は、会社の成長や労働環境の改善に大きな影響を与えます。このため、会社、評価者、被評価者が三位一体となり、共同で取り組むことが必要です。そしてそのバランスも重要です。  まず、会社側は公平な評価基準を設定する必要があります。評価基準は明確で透明性があり、全ての従業員に公平に適用されるべきです。また、評価基準は定期的に見直され、現実

「被評価者研修」は自社の人事制度の「成熟度」を考えて実施検討することが望ましい

被評価者研修の在り方と実態  人事制度の適正な運用において、評価者のみならず、被評価者の理解を深めるということが非常に重要です。評価者研修とともに、被評価者研修をしっかりすることが理想です。以下にて記載しました。  一方、実態として、「評価者研修は真面目にやっているけれど、被評価者研修には追いついていない」という企業も多かろうと思います。以下記事でも紹介したとおり、「2016年 評価制度の運用に関する調査」によると、被評価者(評価される側の従業員)に対しての研修は22.6