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人事・経営支援関連

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私の経営・人事支援関連の記事です。
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2024年3月の記事一覧

新時代の新卒採用戦略ー変化を受け入れ、革新を追求する企業の姿

 日経ビジネス2024/03/29の記事に『日立はもう「ガクチカ」を聞かず 新卒ミスマッチ防止へ採用の常識がらり』が掲載されていました。この記事は、新卒採用の風景が過去数年で劇的に変化してきたことを生々しく描き出し、その変化の本質に迫っているもので、私にとっても大変興味深いものでした。  注目すべきは、日立製作所が従来の「ガクチカ」を全面的に排除し、学生一人ひとりのプレゼンテーション力を重視する選考プロセスを導入したこと、ベンチャー企業のカヤックが伝統的な大企業とは一線を画

リーダーシップの拡大:自己研鑽と組織の進化

 リーダーの器の大きさが組織の成長と密接に関連しているという点は、人事の立場から見ると、非常に重要な視点です。組織のトップに立つリーダーの資質は、その組織の運命を左右すると言っても過言ではありません。以下に、リーダーの器の重要性と、それが人事に与える影響について、詳細に述べます。 1. 器の大きさが組織の限界を決める  リーダーの器の大きさは、その組織が到達できるレベルを大きく左右します。器が大きいリーダーは、広い視野で物事を見ることができ、大きなビジョンを持ち、組織全体

従業員の可能性を最大限に引き出すー多角的な育成戦略

 個々の従業員の可能性とその育成についての考えを深めるには、多角的なアプローチが必要不可欠です。これまでの経験から得た教訓、導入した新しい制度、そして成功事例をもとに、従業員一人ひとりの能力開発と組織全体の成長を促進するための包括的な戦略を詳細に検討していきたいと思います。 従業員の潜在能力の発見と育成  従業員の潜在能力を発掘し、それを伸ばしていくためのアプローチは、組織の持続的な発展において極めて重要な役割を果たします。単に業績評価の枠組みにとどまらず、従業員が自身の強

中途採用の新潮流ーリファラルとアルムナイ採用戦略の革新

 中途採用市場の拡大に伴い、従来の採用方法に変革を求める動きが活発化しています。特に、リファラル採用やアルムナイ採用といった新しい形式の採用戦略が、企業と求職者双方の間で高い評価を受けています。これらの戦略は、人材の質の向上、採用コストの削減、組織への迅速な適応といった複数の利点があります。日経ビジネスの2024/03/29の記事『富士通、社員の仲介で400人採用 「ネオ縁故」はコスト低く定着率向上』を読み、改めてその重要性を認識したところです。 リファラル採用の進化と実践

組織成功の鍵ー「目的」と「手法」のバランスの考えた人事管理アプローチ

 「目的」と「手法」のバランスに焦点を当てた人事管理のアプローチを深く掘り下げることで、組織が直面する多様な人的資源の課題に対して、より効果的に対応する方法について考えてみます。  組織が持続的な成功を収めるためには、戦略的な人材管理が不可欠です。これには、組織の目的を達成するために必要な人材を適切に確保し、育成し、維持し、そのパフォーマンスを最大化することが含まれています。「目的」と「手法」のバランスを取るための具体的な戦略を検討します。ここをきちんと考えておかないと、ある

未知を探検するーキャリア形成旅行者のためのガイド

 人生の旅とキャリアのパスは、未知と不確実性の霧に包まれていることが多く、その中を進むには内なる羅針盤と外的なツールが必要になります。キャリア形成における重要な要素を理解し、それぞれの要素がどのようにして霧の中を進む旅人を導くかをみてみます。 懐中電灯:価値観と信念  キャリアにおける懐中電灯は、個人の価値観や信念です。これらは、厳しい環境や不確実性の中で、自分自身を照らし出し、安全な足元を確保する役割を果たします。価値観と信念は、個人が直面する挑戦や選択の中で一貫性を持

変わるリーダーシップ、変わる組織ー未来への挑戦

 川上真史ビジネス・ブレークスルー大学教授の「企業と心理学 トピックス #4 変わるリーダーシップ」というテーマを取り上げます。  2023年のプロ野球における阪神(岡田監督)が大差をつけて優勝したことを例に取り上げています(ちなみに、川上教授は阪神タイガースの大ファンでもあります。)。これは、変化への適応と、状況に応じた対応策の設定・周知、そしてそれを実践へと移す過程において、リーダーシップの形が大きく関係していると見ています。ここから学べるリーダーシップの変化とは何か、

デジタル時代の人間学ー人事領域におけるテクノロジーと人間性の融合

 現代の人事業務は、デジタル技術の急速な進化とともに大きな転換期を迎えています。私の長年に及ぶ人事分野での経験から見ても、この技術革新は業務のあり方を根本から変えつつあります。  一方で、「人間学」という学問領域がこのデジタル時代において新たな重要性を帯びてきたことは、非常に注目すべきトレンドです。人間学は、人間の心理、行動、社会的関係性を研究する学問であり、この知識を人事業務に応用することは、従業員と組織のより深い理解という点で、大きな価値を持ちます。以下に、デジタル技術

即効と思慮の狭間でー人事部門のダイナミックな調和

 人事部門は、企業の心臓部とも言える部署であり、その業務は「すぐやること」と「じっくり考えること」のバランスを取る必要があります。このバランスを適切に管理することで、企業は効率的な運営と持続的な成長を実現できます。私のこれまでの人事経験から得た洞察をもとに、これらのタスクを効率的に管理するための具体的なアプローチを深掘りしていきます。 人事における「すぐやること」  人事部門における「すぐやること」は、日常的なオペレーションと緊急性の高い問題に対応する業務です。これらの業

組織と個人の成功を支える継続力の育成

 成功への道は、個々の継続力だけでなく、組織がその力を育成し支援する体制を整えることによっても大きく左右されます。人事としての立場から、継続力の培養とその維持に役立つアプローチをさらに詳しく掘り下げ、組織と個人の双方における成功の実現に向けた戦略を展開します。 組織文化と継続力の関係  組織文化は、従業員の行動様式や働き方、職場の雰囲気を形成する基盤となります。継続力を核とする文化を構築するには、リーダーシップが重要です。リーダーたちは、目標達成に向けた継続的な努力、誠実

人事の立場における「運命をひらくもの」を考えてみる

 「運命をひらくもの」というテーマは、『致知』2024年4月号(致知出版社)でも取り上げられ、私自身も多くの示唆を得ました。  一方、このテーマは、人事の仕事において極めて象徴的であり、従業員と組織の未来を形作る重要な役割を果たしています。人事担当者は、個々の従業員のキャリアパスを形成し、組織の成長と発展を支える決定を行います。このプロセスは、採用から人材開発、給与・福利厚生、パフォーマンスマネジメント、組織開発に至るまで、多岐にわたります。改めて、個々の局面でのポイントを

知識と実践の循環ーキャリア開発と組織強化のための学習戦略

 勉強と仕事の関係性を深く掘り下げることは、人事の観点から見ても、組織と個人の両方にとって極めて重要なテーマです。私も長く人事業務に携わってきた経験から、勉強によって得られる知識や思考力が仕事の成果にどのように影響を及ぼすか、また、その逆に、仕事を通じての学びが個人の成長やキャリア開発にどう貢献するかについて、具体的に考察してみたいと思います。 勉強と仕事の相互関係 勉強と仕事は、相互に影響を与え合う関係にあります。学習によって得られる知識やスキルは、仕事をこなす上で直接的

従業員教育の新時代-「勉強してはいけない」という挑戦

 川上真史ビジネス・ブレークスルー大学教授の「企業と心理学 トピックス #3『勉強』してはいけない」というテーマは、企業や組織における教育と学習のあり方に対する深い洞察を提供しています。  この視点は、私が長年関わってきた人事領域においても非常に重要な示唆を与えるものでした。従業員のスキルアップについて、教育の機会・メニューを取りそろえること中心に考えがちですが、それだけでは不十分です。  川上教授の提言を掘り下げ、企業における学習の実践にどのように応用できるかを考察します

人事戦略としての「言葉」の使い方ー組織文化と従業員エンゲージメントの向上

 現代の職場において、「言葉」は単なるコミュニケーションツールを超え、組織の成功および従業員のウェルビーイングの核心を成す要素となっています。自己認識の向上から職場環境の改善、リーダーシップの強化、研修プログラムの適用、パフォーマンス評価の最適化、そして組織のエンゲージメントの向上に至るまで、ポジティブな言葉を使うことは、効果的な人事戦略の不可欠な要素になります。組織内での言葉の力を理解し、言葉を活用して健全で生産的な職場環境を創造する方法について考えてみたいと思います。