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人事・経営支援関連

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私の経営・人事支援関連の記事です。
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2023年12月の記事一覧

評価者間の「目線合わせ」の重要性ー人事制度における公正とイノベーションの促進

 人事制度の運用で「評価者間の目線合わせ重要である」ということがよくいわれます。「評価者間の目線合わせ」とは、人事評価を行う際に、評価者同士の評価基準や見解を統一することを指します。その効果、注意点について考えてみたいと思います。 公平性の確保と組織内の一貫性の強化  その主な効果は、公平性の確保と組織内の一貫性の強化です。公平性が確保されることで、従業員は自身が公正に評価されていると感じ、モチベーションの向上につながります。また、一貫した評価基準によって、組織全体で共通

支援実績:人事課題(人事制度、給与制度)ー2023年、卸売業

 2023年に、某企業A社様(卸売業)の人事課題支援を行いました。簡単に内容を紹介します。当内容の公表は支援企業様からの承諾済みではありますが、大枠の内容に止めていることはお許しください。 支援企業・実施概要  業種、従業員規模:卸売業、従業員100名程度  場所:(自身の居住地である)福島県外の地方企業  実施期間:2023年4月~12月  方法:現地訪問(数回)+オンライン(1回/1~2週)  主たる窓口:人事担当取締役および課長        (給与制度は社長、他取

会議における「意見交換」と「合意形成」のバランスを考える

 近年、多くの組織や企業での日常的な活動として行われている会議。しかし、多くの人々が会議の真の目的やその有効性に疑問を抱いているのではないでしょうか。  情報技術の進歩と共に、通信ツールの発展もめざましく、多くの情報共有や報告は電子メールやチャット、動画などを用いることで効率的に行えるようになりました。この変化の中で、会議の役割とその有効性について考察してみたいと思います。 合意形成の場としての会議  会議は、情報共有のためだけではなく、合意形成の場としての大きな価値があ

技術進化と伝統の狭間で-日本のジョブ型雇用の挑戦と方向性

 ジョブ型雇用の取り組みは、日本の労働市場や企業文化に大きな変革をもたらす可能性があります。しかし、そのメリットを最大化し、デメリットを最小限に抑えるための戦略や方策の検討が必要です。技術進化と伝統の狭間で、日本の良さを踏まえた方向性(案)を考察してみたいと思います。 1.対象産業や企業の特性に応じた選択 技術進化が速い業界  ITやAI、バイオテクノロジーなどの分野では、技術の進化が非常に速く、新しいスキルや知識が頻繁に必要となります。このような業界では、ジョブ型雇用を

「企業の個性」を形成する:組織アイデンティティの力

「組織アイデンティティ」とは何か  「アイデンティティ」とは、なかなか説明が難しい用語ですが、自分が自分であること、そして、そのような自分が、他者や社会から認められているという感覚を指します。「自我同一性」あるいは、「存在証明」と呼ばれたりもします。  では、そこに「組織」を結びつけた、「組織アイデンティティ」とは何か。組織にもアイデンティティがあるのです。最も簡単にいえば、「社員が認識している、自社の個性・らしさ」といったところでしょうか。 この概念を深掘りしていくと

テクニカル・ヒューマン・コンセプチュアルスキルー柔軟性と変化に対応する人材育成戦略

 テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル。聞いたことがある方も多いかも知れませせん。これは「カッツモデル」という理論から出てきたものです。 カッツモデル カッツモデルとは、アメリカの経営学者ロバート・L・カッツが提唱した理論です。職位による3つの階層と3つの能力で形成されており、役職に応じて必要な能力の割合が異なります。  3つの階層は、経営者や幹部クラスの「トップマネジメント」、中間管理職クラスの「ミドルマネジメント」、それ以外(管理職でない層)「ロ