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記事一覧

※講読途中【書籍】『致知』2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)読後感

 致知2024年6月号(特集「希望は失望に終わらず」)における自身の読後感を紹介します。なお、すべてを網羅するものでなく、今後の読み返し状況によって、追記・変更する可能性があります。 「希望は失望に終わらず」とは?  今月号のテーマである、「希望は失望に終わらず」という言葉は、様々な解釈が可能です。いくつか例を挙げたいと思います。 1. 希望は、どんな困難にも打ち勝ち、必ず実現する  キリスト教徒の聖パウロの手紙に由来すると言われています。パウロは、どんな苦難の中でも神

経験学習によるポテンシャルの解放ー部下の強みを育てるマネージャーのガイド(松尾睦氏)

 Aoba-BBTの番組で、松尾睦氏による『部下の強みを引き出す育成力養成講座』というテーマ。部下の強みを引き出し、その成長を後押しすることは、マネジャーにとって最も重要な役割の一つです。組織の持続的な発展のためには、一人ひとりの部下が持つ独自の才能や強みを見出し、それを最大限に活かしていくことが欠かせません。しかし、現実には、部下育成に悩むマネジャーが少なくありません。「どのように部下と向き合えばよいのか」「部下のやる気を引き出すにはどうすればよいのか」といった疑問や不安を

【書籍】流れる星の奇跡ー藤原咲子氏の物語

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp157「5月4日:咲子はまだ生きていた(藤原咲子 高校教師・エッセイスト)」を取り上げたいと思います。  藤原咲子氏の物語は、苦難と誤解を乗り越えた母娘の関係を描いています。咲子は、病との戦いを乗り越えて作家となった母の厳しい育て方に苦しみながらも、自分が母に愛されていないと感じていました。特に、母が書いた『流れる星は生きている』の中で自分について触れられている部分を読んだ時、咲子は母から

スマートに主張するー現代のマウンティングリテラシーの技術

 『プレジデント2024年5/17号)』は、「毎日ラクになる 任せるコツ」でした。その中でも、「現代の新しい「教養」マウンティングリテラシー」(p80)は大変興味深い内容でした。  「マウンティング」とは、自己の優位を示すために他者に対して行われる言動です。この言葉はもともと動物行動学から来ており、サルが群れの中で優位な個体が劣位の個体に乗ることで社会的な序列を示す行為を指します。現代では、人間社会においても同様の行動が広く見られ、特にSNSの普及によって個人が自己の優位性

石井遼介氏『心理的安全性のつくりかた』ー心理的安全性が導く組織変革の道標

 「心理的安全性」が言われて久しいです。本書は、近年ますます重要性が高まっている組織やチームにおける心理的安全性をいかにして構築するかについて、理論的背景から具体的な実践方法まで幅広く解説した書籍です。もう1回講読してみました。 第1章 チームの心理的安全性  チームの心理的安全性とは何かという基本的な定義から始まり、それがチームのパフォーマンスや学習、成長にどのようなポジティブな影響を与えるのかを様々な研究結果を引用しながら説明しています。また、日本版の心理的安全性を測

リスキリング戦略ー従業員のスキル更新と企業の持続可能性

 2024/04/17日本経済新聞の記事に「リスキリングの現状と課題(上) 企業の説明・成果の還元 必須(守島基博・学習院大学教授)」が掲載されていました。私もリスキリング(スキルの再教育)については自分自身でも継続的に取り組んでおり、また、人事の立場でも重要な課題感を持っています。大変興味深い記事でした。  記事では、技術革新や市場環境の変化により従来のスキルが陳腐化している中、企業が従業員のリスキリングをどのように進めているかを詳細に解説しています。リスキリングは、従業

【書籍】才能を最大限に引き出す新時代のトレーニング法ー林成之さん

『一生学べる仕事力大全』(致知出版社、2023年)のp158「人生の勝負とは自分の才能を発揮することー林成之さん」を取り上げたいと思います。  従来のスポーツ界では、国内選考レースを目指して厳しい練習を積み、オリンピック本番に向けては一度ペースを落とし、体調を整える方法が一般的でした。しかし、この方法では脳が「ペースを落とす」という否定的な信号を受け取り、自己保存の本能を優先させるため、最高のパフォーマンスを発揮することが難しくなります。  新しいアプローチでは、ドーパミ

【書籍】従業員を力づけるー人材育成における経験学習の役割

 松尾睦氏の『職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門』(ダイヤモンド社、2011年)を取り上げたいと思います。私たちビジネスパーソンが日々の仕事経験からいかに学び成長していくかについて、理論と実践の両面から深く掘り下げた貴重な一冊です。  著者の松尾睦氏は、長年にわたり企業の人材育成の研究を重ねてきた専門家であり、本書では、数多くの企業へのインタビューや調査を通して得られた知見が凝縮されています。松尾氏は、人が経験から学ぶためには「ストレッチ」「リフレクション」「エンジョ

川上真史氏ーパブロフの理論からビジネス戦略へー条件付けとマインドセットの理解

川上真史ビジネス・ブレークスルー大学教授の「企業と心理学 トピックス #7 条件付けとマインドセット」というテーマは、マインドセットが条件付けによって変わっていくという興味深い視点を示しています。人事の立場においても非常に重要な示唆を得られるものでした。考察してみたいと思います。 条件付けとマインドセットの理解 条件付けとは、ある特定の刺激(条件刺激)に対して一定の反応(無条件反応)が習慣化される心理学のプロセスです。この概念は、イワン・パブロフの古典的条件付けの実験から広

人間とAIの協力ー未来の労働環境を形作る「最強のコンビ」ー茂木健一郎氏

『プレジデント2024年5/3号)』は、「AI時代の生き方大全」でした。その中でも、「成功への物語 これからは「真面目に努力する人」ほど損をする」(p93)は興味深い内容でした。茂木氏は、現代社会が抱える技術的な進展、特に人工知能(AI)の進化に対して独自の見解を持っています。彼は、単に勤勉に仕事をするだけでは、AIの時代においては不利になると指摘しています。AIが得意とする最適化やルーチン作業はAIに任せるべきで、人間はその分解放されたリソースを使って創造的で革新的な挑戦を

学び方革命ー人的資本経営と自律的キャリア形成ー高橋俊介氏

 BBTの番組・高橋俊介氏による「組織人事ライブ#701 人的資本経営と学び方改革」を視聴しました。その内容から考えること、人事企画にどのように活かすかを考えてみたいと思います。 人的資本経営における学び  人的資本経営において、人は単なる資産ではなく、むしろ資本として捉えられるべきです。さらに、人は知的資本の投資家としての役割も担っています。従業員は自らの知識や能力に投資することで、企業の成長に貢献し、同時に自身のキャリアも向上させることができます。  しかし、日本の

【書籍】自律と主体性ー陳建一氏の料理哲学から学ぶ

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp149「4月28日:マニュアルの先にあるものを読む(陳建一 四川飯店オーナーシェフ)」を取り上げたいと思います。  陳シェフの管理スタイルは、指示を待つのではなく、自発的に行動を起こせるスタッフが成長するという信念に基づいています。彼は料理を提供することを最終目的とし、それに向けてスタッフが自主的に動ける能力を非常に重視しています。自分から何をすべきかを理解し、迅速に対応できるスタッフは、

マネジメントの極意ー助野会長と岡田監督の異なるアプローチー日経ビジネス記事より考察

 日経ビジネス2024/04/22-23の記事に『富士フイルムHD助野会長と語ったマネジメントの極意』(前編、後編)が掲載されていました。この特別対談では、阪神タイガースの岡田彰布監督と富士フイルムホールディングスの助野健児会長が、リーダーシップとマネジメントの哲学について深く掘り下げています。岡田監督は、自らのリーダーシップスタイルとして「選手と距離を置く」という方法を取り入れ、チームのダイナミクスと選手の自立性を促進しています。これに対して、助野会長は現場に足を運び、直接

【書籍】AIを活用するーHRとミドルマネージャーのための戦略的洞察ー小澤健祐氏の見解から

 The21 2024年5月号「仕事と人生に効く100の言葉」の中で、小澤健祐氏の「AI を部下として使う時代にマネジャーに求められるもの」(p82)は、自自身のミドルマネージャーとして、またHRの立場としても改めて考えさせられるところがあり、大変参考になりました。重要な点を取り上げたいと思います。  小澤氏は、AIが職場にもたらす変化について言及しており、AI時代におけるマネジャーの役割の変化を強調しています。彼によると、マネジャーに求められるスキルセットには大きな変化が