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少女漂泊~Monologue by HARUKA γ

入学してから、はじめて学校を休んだ。

・・というより「出席停止」

朝、起こされても
どうしても起き上がれない
身体がものすごくだるいのだ

そして、ひどく寒い。
・・・尋常ではない・・

祖母があたしの顔をのぞき込んだ。
「はるかちゃん、どうしたの?」

あたしは、その旨を告げると、
祖母はあわてて階下に降りた。

ほどなくして、体温計を持ってくる。

39度7分・・・

どおりでだるいはずだ・・。寒いはずだ。

早速近くのかかりつけの医院に連れて行かれた

小さいときからかかっている医院だが、
あたしは好きじゃなかった。

行くといつも注射され、痛い思いをする場所だったからだ。
お医者さんが「鬼」に思えた。
あとで気づいたが、そこの医院は

「おにづか医院」という名前だった。

小さいあたしも、今のあたしも、
この医院名にはきわめて納得している。

診断名は「インフルエンザA型」

この段階で学校は病欠から「出席停止」に変わった
あたしの「無欠席」はかろうじて継続した。

でも、現象は「学校を病気で休んでる。」

普通の風邪と、感染症のインフルエンザで、
書面上の違いが出るのは、人の都合でしかない。
病気は病気であって、
どれも「区別」はないのに。

すごく不思議に感じた。

祖母が学校に連絡すると、
あたしが出席停止になったことで、
「罹患率超過」になり、学級閉鎖になるそうだ。

たしかにこれで、
あたしのクラスの「病欠」はないことになった。

だけど、病気自体がなくなったわけではない。
インフルエンザじゃない、ほかの病気も
なくなったわけじゃない。

だけど、この学級閉鎖期間。
インフルエンザ以外の病気でも

「病欠じゃない」
ということになってしまうのだ。

病気があったにもかかわらず
そこに病気はなかったことになった。

全体ではこうなってしまう。

病気はあるのに、病気と気づかない
あるいは、隠れて見えない。
病気って人が作る定義なのかも知れない。
なんだか、不思議だな。

そういうこともあるんだと、
熱にうなされながら思っていた・・。

それで見えてきた
第二の門からの
あの「メッセージ」

「病まない存在はない。
人は病からは逃れられない」


うん、確かにその通りだよ。
で、それを隠すことも人はできる。
いや、都合の悪いことはみない。
あるいは便利に「病気」で片付けてしまう

意外とそのことに気づいてないんだ・・。
近い未来に、こういった小さな矛盾が
ものすごく大きなうねりで
あたしたちをおそうかも知れないな

熱の朦朧気分で、よくもまぁ考えたよ
あたし・・。


TO BE CONTINUE

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